第14話三人の少女
海で遊ぶのは初めてで海岸に座ってたが前田春香と橋本知香が俺の方に歩いて来る。
「小山君、海で遊ぼうよ〜。」
俺は何回も言うが一人がいいんだが、女子の気持ちを考えてしまうと海で遊ぶのが一番の答えかと思う。前田春香と橋本知香はほぼ同時に首を傾げる。俺はため息を吐いて海に入る。昨日、俺と菜生桜で海で遊ぶ事を決めてみんなはなぜか水着を持って来ていて海で遊ぶのが一番良いと結論が出た。
「ねぇ小山君も遊ぼう。」
菜生桜、君は一体何者なんだ。時と場合によって性格を変えるのは凄いとは思うが俺としては嫌がらせに過ぎない。俺は海に足を入れて前田春香と橋本知香と遊ぶのかもと思ったんだが、気づいたら俺一人になっていた。これはもしかしてみんなが気を使ってくれたのかと思った時、右側を見るとみんなが海で遊んでいた。ただ俺が方向音痴だっただけだった。俺はため息を吐いて右側にいるみんなのところに行く。
「やっと来た遅いよ小山君。」
「悪い、少し道に迷って。」
本当の言い訳である。ただの自分の方向音痴なのに言い訳をする事になるとは思わなかった。俺は海に足を入れて前田春香と橋本知香と水遊びをする。他の人から見たら彼女と言ってもいいと思う。俺は海にいる魚を取る事に決めた。魚を手で掴むのは難しいが毎日同じものを食べるのは辛い。
「前田と橋本は俺が取った魚を持ってってくれ。俺は頑張って魚を取って来る。」
「で、でも…。」
俺は海に潜って魚を探して魚を捕まえに行く。前田春香と橋本知香は心配そうな顔で見ている。俺は魚を持って海から上がる。
「今日のご飯は焼き魚だな。」
俺は取った魚を持って自分のテントの方に歩いて行く。今日の朝ごはんは焼き魚で俺は魚を串焼きにする。俺はじっと魚が焦げないように見守っていると前田春香と橋本知香が俺の隣に座って魚をじっと見る。その時、海に大きな渦が出来て魚が海岸に上げられて行く。
「菜生何やってるんだ?」
「魚が必要かと思って、たまたま海岸に上げられた魚を拾っているの。」
俺にはすぐに分かった。菜生桜が渦を起こして魚を海岸に上げたと。俺は黙ったまま串焼きにしていた魚をじっと見ていい具合に焼けた時に発泡スチロールの皿に乗っけて橋本知香に渡す。
「食べて感想を教えてくれ。」
橋本知香は頷いて焼き魚を食べてニコッと笑って俺の方を見ている。ニコッと笑ってくれるのは良いんだが感想を言ってくれ。
「うん、いい焼き加減だよ。後は塩をかけると良いかも。」
そうだった串焼きにするにしても塩をかけるんだった。橋本知香には悪い事をしてしまった。俺はため息を吐いて菜生桜が海岸から拾ってきた魚を一回水で洗ってから串焼きにする。その時、クラスのメンバーがゾロゾロと歩いて来る。まったく人が頑張って焼いているのにどうして来てしまうんだろう。俺は火の中に木の枝を追加して火を強めて焼いて行く。
「小山君、何か手伝う事あるかな?」
手伝う事ならみんなを早く集めて欲しいくらいだろうか。俺は焼いた魚を発泡スチロールの皿の上に置いてため息を吐いてみんなに焼き魚を渡す。
「あなた何か企んでいるわね。」
何も企んでいないと言ったら嘘になるかもしれないが俺としてはサバイバル生活を利用して仲を深めるのが本当の狙いと言っておこう。
「あなたが考える事は分からない。」
その前に人が考えている事が分かる方が凄いと思う。菜生桜、俺と同じ中学に通っていた子である。性格はあまり良くはないが、優しさがあるがこの前の事で俺の見て来た菜生桜は本性を封印して来たのだろう。
「何さっきからじーっと見てるのよ」
「悪いちょっと考え事をしていてな。」
もしも菜生桜に全てがバレてしまえば俺の考えている事は水の泡になってしまう。俺はなるべく菜生桜にバレないように話すしかないだろう。この考えは誰にも邪魔をされたくない。バレてしまったら今まで俺がやって来た事が無くなってしまう。三年前、俺は変な夢を見た。夢は不思議で前田春香と橋本知香は闇に飲まれて菜生桜と俺で救った夢である。正夢なら大変な事である。夜になっていて俺はぼーっとしている。
「小山君、大丈夫本当に?」
さっきから菜生桜に心配をかけすぎではないか。俺は菜生桜の方を見ると菜生桜は心配そうな顔をしながら首を傾げる。俺は菜生桜の右手を掴んで一緒に海岸に行く。
「小山君どこに行くの?」
「行ってからのお楽しみだ。」
今いる島には良い噂がある。夜に満月が見えた時、海を見るとまるで道が出来た様に見えるらしい。俺は菜生桜と海に満月の光で本当に道に見えるかを見る。菜生桜は目を輝かせながら見ているが俺はいつもと同じような目をしていた。俺はため息を吐いて菜生桜を置いて自分のテントに戻る。
「どうして私を置いて行くのよ〜。」
菜生桜は涙目で俺の方を見ているが俺には演技にしか見えない。俺は菜生桜の涙目を見て菜生桜の頭を撫でる。
「俺が悪かった。次から気をつけるよ。」
俺が謝るのは当然だが俺としては菜生桜はもっとずっと見るかと思っていたんだが予想外だった。俺はみんなが寝た後に一人で火を起こして魚を四匹焼く。みんなに渡した後に俺も焼き魚を食べたんだが夜は結構お腹が空いてしまったので魚を焼いている。すると前田春香と橋本知香と菜生桜が起きて来た。
「小山君ずるい〜。自分だけ焼き魚食べようとして。」
「四匹あるから一人一匹食べようか。」
前田春香はほっぺを膨らませて俺の方を見ていたが俺の言葉を聞いてニコッと笑っていた。俺は焼き魚を一匹食べる。前田春香と橋本知香と菜生桜は良く焼けているかを見て食べ始めた。
「小山君が焼く焼き魚は塩の味もしてすごい美味しいよ。」
それは良かった。俺は父から焼き魚の焼き方などを教えてもらい母からは料理の仕方を教えてもらった。俺は焼き魚を食べる前田春香と橋本知香と菜生桜を見るとみんな似た様な顔をしている。三人が一緒に俺が見ている事に気付いた。
「そんなに焼き魚が食べたいなら少しあげようか?」
いいや大丈夫だなぜなら菜生桜が海岸で拾った魚があるからである。俺は魚を焼いていると今頃星がキラキラと輝いている事に気がついた。
「うわぁー。星って綺麗だね。」
言っている事は普通だがまぁ良しとしよう。俺は焼いた魚を前田春香と橋本知香と菜生桜に渡した後に俺は焼き魚を食べる。俺はお腹いっぱいになって自分のテントで寝ようとすると前田春香と橋本知香と菜生桜が俺の右手を掴む。俺は前田春香と橋本知香と菜生桜を見ると涙目で俺を見ている。多分、トイレ行きたいんだけどどうしようといったところだろう。
「夜が怖いから一緒に寝よう。」
これは想定外だった。一人で寝られるから起きて来たのかと思ったら本当は怖がりさんだとは思わなかった。俺は黙って自分のテントの中に入る。
「今日だけだぞ。明日は一人で寝てくれよ。」
俺の右隣に前田春香で左隣は菜生桜でなぜか俺の上に橋本知香が乗っている。俺の右手を前田春香が握って俺の左手を菜生桜が握って橋本知香が俺に抱きついて来る。何とも暑いものである。それともう一つ橋本知香の胸が当たって眠れない。
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