第10話本性
朝になると俺はあくびをしながら歩いて学校へ行く。その時、後ろから橋本知香が抱きついて来る。本当に何回抱きついて来るんだ。俺はため息を吐いて学校に歩いて行く。今日は中間テストで俺は昨日やった勉強の復習をする。前田春香と橋本知香は女子同士で勉強をしていた。教室のドアが開いて先生が入って来る。
「さぁ覚悟は出来てるか?ガキ共。」
「せ、先生…?」
涼風香里は怯えた様子で先生を見ている。これが滝川先生の本性といったところだろうか。俺はノートをバッグにしまって問題用紙と解答用紙が配られるのを待つ。俺は問題用紙と回答用紙を後ろに回して机に置く。
「さぁ、始めろ。」
先生の合図で始めて約二十分で答えを書き終えて解答用紙を裏にして机に置いて席を立って教室から出る。
「愚か過ぎるぞ小山健次。」
「そうかもしれないが、俺にはこれが適切な答えです。」
俺は教室のドアを開けて廊下に出る。大体の人が一教科のテストで終わりと思われる前に説明をするとテストが一教科ではなく五教科が一枚の問題用紙になっただけで一教科20問といったところだ。俺は問題を見ただけで答えをが浮かんで来たという訳である。学校のチャイムが鳴って俺は教室の中にもどって席に戻る。
「小山君、どうして廊下に出たの?」
前田春香は心配そうな顔で俺の方を見ているが俺としては自分勝手に行動したといってもいいと思う。俺は教室を出て行く滝川先生を見てさっき滝川先生が言っていた事を思い出した。
(愚か過ぎるぞ小山健次。)
俺には滝川先生が言った事は分からなかった。俺は黙って教室から出て行くと前田春香が俺の右手を掴む。
「小山君…行っちゃダメだよ。」
俺は振り返って前田春香を見た時橋本知香が抱きついて来る。何回目かはどうでも良いが俺はため息を吐いて自分の席に座る。俺の方に菜生桜が歩いて来る。
「小山君、放課後ちょっと良いかな?」
俺は頷いて菜生桜について行く。体育館倉庫の裏に歩いて行くと菜生桜が俺のお腹を殴る。俺はお腹を抑えて倒れる。
「自業自得でしょ。もしかして私が優しい女の子だと思ってたの?」
優しい女の子とは思ってはいなかったが女子にお腹を殴れるとは思わなかった。
「あなたに聞きたい事がある。あなたは前田春香の何なの?」
「ただの友達だ。」
菜生桜はため息を吐いてを俺の方に右手を差し出して来る。俺は菜生桜が差し出した右手に捕まって立ち上がる。
「あなたの言葉を信じる代わりに私の本性(悪魔)の事は内緒ね。」
別に内緒にするのは良いんだがそれなら最初に俺のお腹を殴らないで欲しかったと心で思う。その時、前田春香が俺達のところに歩いて来て心配そうな顔で見る。
「菜生さん何やってるの?」
「何でもないですよ。じゃぁ一緒に帰ろう。」
まったく女とは裏があるとは知っていたがここまですごいとは思わなかった。俺はバッグを持って帰ろうとすると橋本知香が抱きついて来る。
「ねぇ小山君、一緒に帰ろう。」
ニコッと笑って言う橋本知香を見て俺はため息を吐いて頷く。俺は橋本知香と一緒に帰る。俺は橋本知香を見ると橋本知香は俺に抱きついたままニコッと笑っていた。俺は黙ったまま自分の家まで歩いて行く。
「もしもの話だけど私に悪魔の人格があったら嫌かな?」
急に何の話をするかと思えば今日はなんて言う日なんだ。俺はため息を吐いて橋本知香の質問に答える。
「俺には分からないな。じゃぁ、先に帰るな。」
俺はもしかしたら選択を間違えてしまったんだろう。橋本知香は抱きついた手を離して何も言わずに帰ってしまった。多分あれが橋本知香の裏の顔なのだろうか。家に着いてベッドの上に座ってスマホを見ると橋本知香にラインをする。
〔橋本、さっきは悪かった。俺は優しい橋本が良いと思う。〕
しかしラインをしても既読もつかず返信も来なかった。
次の日、俺はあくびをしながら歩いていると後ろから前田春香が歩いて来た。
「おはよう小山君、どうかしたの?」
「ああ、昨日橋本に送ったラインの返信が来ないんだ。」
俺は前田春香に昨日橋本知香にラインをした事を言うと前田春香は首を傾げて俺の方を見る。
「橋本さんが返信してくれないんだ〜。私から後で言っとくね。」
俺は頷いて前田春香と一緒に学校に歩いて行く。俺と前田春香は学校に着いて前田春香は橋本知香のところに歩いて行った。
「橋本さん、小山君がラインしたんだけど返信が来ないんだって。」
「あ、ごめん。昨日はすぐに寝ちゃって。」
橋本知香が本当に寝ていたのかは分からないが前田春香は俺のところに歩いて来て橋本知香が言っていた事を俺に伝えてくれた。俺は前田春香にお礼を言って自分の席に座ってノートを出して勉強をする。
「小山君、ちょっと良いかな?」
「ああ、大丈夫だぞ。」
俺は橋本知香の後を歩いて教室から出る。また、体育館倉庫の裏だった。橋本知香は俺に抱きついて来る。
「小山君がいけないんですよ〜。私の質問に答えないから。ねぇー、菜生さん。」
菜生桜だと、何で菜生桜が俺達のやり取りを知っているのだろうか。
「ダメでしょ、橋本さんの質問にちゃんと答えなきゃ。」
まったく女子の作戦と言ったところだろうか。俺はため息を吐いて昨日の橋本知香の質問に答える。
「ラインしたけど優しい橋本が良いと思う。」
橋本知香は顔を赤くして教室の方に走って行ってしまった。菜生桜は俺の肩を叩いて来る。
「私の本性を誰にも言ってないでしょうね。」
言ってはないが橋本知香に裏の顔があったとしたら少し怖いだけだ。俺は頷いて教室の方に戻る。俺は席に座って勉強の続きを始める。滝川先生が教室のドアを開けて入って来る。まったく何というタイミングで入って来るんだ。俺はため息を吐いてノートをバッグの中にしまう。
「急だが明日からまた、サバイバル生活を始める。」
「先生、この前はどうして三日間で終わってしまったんですか?」
俺が辞めようと言った理由は一つある。それは島に食べ物がなかった事である。俺達のクラス以外は三日何も食べていないらしい。先生はため息を吐いて菜生桜の質問に答える。
「こっちの手違いで食べ物が不足していたんだ。」
みんなは何も言わずに滝川先生を見る。俺は窓を開けて外を見ていると隣に座る前田春香が肩を叩いて来る。
「窓を閉めてくれない?ちょっと寒くて。」
俺は窓を閉めて前田春香に謝って外を見る。
滝川先生の話が終わって号令がかかった。
「起立、気をつけ、礼」
俺は一礼して教室を出ようとすると滝川先生が俺の名前を呼ぶ。
「小山健次、ちょっと職員室まで来い。」
俺はため息を吐いて職員室に歩いて行くと滝川先生が不敵な笑みを浮かべて俺に話して来る。
「小山健次は今回のサバイバル生活をどう思う?」
俺としたらただの時間の無駄と言いたいんだがそんな事を言えば滝川先生は怒るだろう。仕方がないから他の考えにしよう。
「この前の食料不足さえ何とかなれば大丈夫だと思います。」
これで今回のサバイバル生活は少し楽しくなって来たかもしれない。
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