第2部 エピローグ②

 その時、シェリアは無性に苛ついていた。

 自分が楽しんでいるときに何故、この様な邪魔者が入ってくるのだ、と。

 

 首長の屋敷での夕食会、この時の彼女はご機嫌だった。その理由は二つある。

 一つは、首長からもらった多額の報酬である。


 彼女が貰った報酬は金貨200枚に相当する物である。現在の彼女の月収はおおよそ金貨25枚程であり、それの八ヶ月分に相当する金額を貰うことになる。

 かなり多かったため、オリハルコンの短剣分の経費が返って来た上に、それらを貯金に回せば当分の間はゆっくり暮らすことが出来るだろう。


 そして、もう一つの理由は夕食会に出てくるであろう、豪勢な料理だ。街の定食屋で食べた料理から、首長の屋敷の料理もさぞかしおいしいに違いない、とそう考えていた。


 やがて会場に入ったとき、彼女は目の前に広がるご馳走を前に目を輝かせていた。

 しかし、そこは他の貴族もいる由緒正しき夕食会。料理に飛びついて次々に食べてく様なみっともないことは出来ない。元日本人故の周囲の目を気にするという物だ。

 彼女は心の中から湧き上がる衝動を抑えながら、ゆっくりと目的の物に近づき、備え付けてあった皿を手に取ると、行儀良く料理を盛り付けていく。


 ――あせるな、あせるな。


 そう自分に言い聞かせながら、シェリアは。野菜、肉類とバランス良く盛り付けていく。

 盛り付けが終われば後は食べるのみ。フォークを手に取り、盛り付けた料理の一つを刺すと、口に運んだ。口の中に広がるソースと食材本来のうまみが口の中に広がる。その味は街の定食屋を超えていると言って良い。それを飲み込んで再び同じ物を口に含む。

 おいしい料理に舌鼓を打ちながら行儀良く、それを食していく。それはまさに夢心地であった。ある瞬間が来るまでは。


「失礼、そこのお美しいお方。是非私と一つ踊りませんか?」


 突然、声を掛けられたシェリアは口に含んでいた食物を飲み込み、フォークと皿をテーブルに置く。そして声がする方を向くと、一人の男が立っていた。

 自身と同じ金色の髪に、青色の瞳。短く切りそろえられた清潔な髪型。形の整った輪郭に高く整った鼻。身長は彼女よりも高く、スラッとした体格だ。着ている服装も上等な布を使っている様に見えることから、どこかの貴族ではないか、と彼女は判断する。


「あの、済みませんが、どなたでしょうか?」

「これは失礼いたしました。私はリヴィエール諸国連合の中央に所属している…」

「まて、貴様! そのお人に何をしようとしている!」


 そう言って別方向から一人の男が近づいて来た。こちらも綺麗に切りそろえられた髪をしているが、髪色は黒色をしている。そして金髪の男同様、上等そうな布で作られた服を着ていた。その男は金髪の男に詰め寄り、睨み付けた。


「貴様、国に婚約者がいるというのに、良いご身分だな」

「婚約者、一体何のことだ?」

「忘れたとは言わせんぞ。我が妹を婚約者にしておいて、自分は遠い地で浮気相手を作るのか?」

「そ、それはだな……」


 そう焦った様子で金髪の男は目を泳がせる。その様子に黒髪の男は呆れたようなため息をつき彼から顔を話すと、シェリアに体を向ける。


「申し訳ない。この男は少々軟派なところがあってな。代わりと言って何だが、是非私を一曲奏でていただけないか?」


 ――お前もか!


 金髪の男を引き取ってくれるかも、と思っていた彼女であったが、見事に裏切られここの中でそう叫ぶ。しかし、そう思ったのは彼女だけではなかった。


「まて、お前もか!? 貴様、俺の事をダシにして彼女にすり寄るつもりだったな!」

「それは違う。私は、私の妹とこの姫君が不幸になるところを見たくなかったからお前を止めたのだ。それに俺はまだ婚約者はいない。問題ないだろう」


 そう言って互いに牽制し合うように言い争いを始める二人。一体何をしているのかと、シェリスは表面は困惑の表情、裏では冷めた目で二人を見ていた。

 一体目の前の光景をどうしようかと、彼女が思っているとき、さらに別方向から新たな声がかかる。


「何をしている!」


 その方向に顔を向ければ三人の貴族の男達が向かってきているのが見えた。目の前で行われている醜い争いを止めてくれるのだろうと、シェリアは安堵する。そして男達はここに来るなり、言い放った。


「我らも彼女と踊ると決めていたのだ! 抜け駆けは許さんぞ!」


 ――お前らもか!


 場を収めてくれると思っていた男達は、収めるどころか嬉々としてガソリンを注ぎ込む様な連中であった。これをきっかけに言い争いは激化する。私が、いや私が、と互いに主張し全く収めることをしないため終わることはない。当然周囲の目も、何が起きたのかとその方向を見てくる。しかし、それに夢中な彼らは気づくことはない。 

 互いに恥も外聞も無く、言い争う5人にシェリアは徐々にイライラを募らせていた。


 彼女は心の中でこのように考えていた。


 ――自分は料理を存分に楽しむために周囲の目を気にしながら頑張っていた。にもかかわらず、何故こんな奴らに私の楽しい時間を潰されないと行けないのか、である。


 そんな理不尽な状況に、彼女のイライラは募っていくばかりだ。やがて彼女は彼らを殴りたい衝動に駆られる。自分の楽しみを妨害された上に、周囲の視線に晒される原因となった彼らをぶっ飛ばすことが出来れば、どれだけ気持ちいい事だろう。


 しかし、そのような事は出来ない。目の前の者たちが貴族であった場合、当然大問題になることが予想できる。今後の自分の生活に影響が出るかもしれない。ならば、せめてこの状況から脱することは出来ないだろうか、と彼女は考え始める。しかし、目の前の者たちの様子を見るにかなり押しの強そうな者たちである。半端な物では脱することは難しいだろう。


 この状況を脱するにはもう少し何らかの強力な材料が必要だ。シェリアは自身の表面に出さないようにその材料を考える。その時、彼女の視界にある物が入った。

 ゆっくりと近づいてくる人物。ウィルだ。それを見て彼女の表情が思わず歪んでいく。


 ――勝利の方程式が向こうからやってきた。


 回れ右をして逃げようとするウィルを逃がすまいと、文字通り自身の体を使って止めた。そして彼らに言い放った。


「ふふっ、申し訳ありません。今日はこのお方と過ごす約束をしておりましたの。申し訳ありませんが、皆様のお誘いにはお答えできませんので。さぁ行きましょ、ウィル様」


 そう言って彼の手をつかみ、外へと向かっていった。

 その時の彼らの間の抜けた表情は彼女のイライラを吹き飛ばす程であった。

 やがて、屋敷の中庭に出る。すでに日が落ち、空にある月は雲に隠れている。辺りはポツポツと置かれている小さな照明の光だけであり、少々薄暗い。

 しかし、彼女の視界にその程度は障害にもならない。周囲を見渡し、そこに警備の兵士しかいないこと確認すると、掴んでいたウィルの手をゆっくりと離した。そしてリラックスするように肩の力を抜くと、彼女は笑った。


「あはははははは! あのイケメン共ざまあみろ! ありがとうございます、ウィルさん!ウィルさんのおかげで逃げるだけでなく、間の抜けた表情を見ることがことが出来ました!」


 そう言ってシェリアはキラキラと輝くような笑顔を彼に向ける。

 それに対する彼の返答は一つだった。良い笑顔を向けてくる彼女に近づくと、その頭の天辺に向かって拳を振り下ろした。その瞬間、彼女の視界が白く染まり、星が見えた。ズキズキという痛みが頭全体を支配し、その痛みから彼女はその場に蹲った。


「痛ったああああ! 頭が、頭が割れるように痛い! ちょ、何するんですかウィルさん!?」

「うるせぇよ! 男の純情を踏みにじる様なことをしやがって!」

「いや、純情を踏みにじるようなことなんてしないですけど!?」

「うるせぇ、お前はもう黙ってろ!」

「は、はい!」

『まぁ、確かにシェリアちゃんが悪いわよね、これは』


 と、彼女にしか聞こえないアイリスの呟きが響く。

 ウィルは大きなため息をついて、疲れ切ったような動きで肩を落とす。 


「ったく、助けてやろうと思ったらこの有様だ。その姿になって、ちょっとは大人しくなったかと思ったんだけどな」

「うー、だって仕方がなかったんですよ。あの連中を本能に任せて殴るわけには行かなかったんですから」

「ちょっと待って、お前そんなことを考えていたの? あの表情の裏にそんな凶暴な一面をのぞかせてたの?」

「当然です、私の至福の時間を台無しにしたんですから」

「とんでもないヤツだよ、本当にお前は……。ほら、手を貸せ」

「あ、ありがとうございます」


 差し出された手を取り、シェリアは立ち上がる。頭を支配していた痛みは、彼女の回復力のためか、すでに引いていた。


「で、どうするんだ? もうあそこに戻るのか?」

「さすがにそれは難しいですね。あんなことを言って出てきてしまったんですから、すぐには戻れませんよ」

「仕方ないな、もうちょっとだけ付き合ってやるよ」

「ありがとうございます」



 そうして二人が移動したのは中庭に設置されていた3人程度が座れる背もたれが付いたベンチだ。そこに二人でゆったりと座る。そこは夕食会が行われているところよりも遠いためか、演奏の音は小さく、周囲の虫の鳴き声が聞こえるほどであった。また、周囲にいるのは見張りの兵士のみのため、気を遣う相手もいない。シェリアはそれを楽しむように目を瞑り、背もたれに体重を預ける。


「……良いですね、ここ。静かでゆったりとしていて、何より気を張らなくていい」

「何だ、先程殴るとか言っていたヤツが、一体どうしたんだ」

「さっきまでの私は気が高ぶっていたんです。忘れてください」

「そうか。じゃあ、先程の発言はしっかり俺の頭に刻みつけておく。感謝することだな」

「あはは、意地悪な人ですね」


 そして会話が止まる。どちらも話すことなく、周囲に聞こえる虫の演奏会を聞きながら、時折流れる風を体全体に感じていく。ゆったりとした時間の流れ。

 それ故だったかも知れない。

 それは一時的な気の迷いだったのか、それとも、自分が心開いている相手の前だったためか、彼女はそれを口にした。


「あのウィルさん、一つ聞いて良いですか?」

「ん、何だ?」

「もし、もしですよ。私が死ぬことがなく、どんな怪我も一瞬で治るような体だったらどう思いますか。化け物だって、思いますか?」

「そうだな……」


 そうして流れる沈黙。シェリアは後悔した。何故それを聞いてしまったのか、本来隠しておく方が良い内容を話してしまった。それだけ彼女は怖いのだろう。不老不死。不老はエルフが存在している以上、問題は無いだろう。しかし不死はどうだろうか。彼女はどんな怪我を負ってもすぐに治ってしまう。それは致命傷に等しいダメージでも同様だろう。そしてそれを見られたとき、どんな反応するか。明らかに人間離れした回復力。決して死ぬことがない、その異常性。


 彼女は自身の鼓動が早くなっている事に気づく。その理由は当然分かっていた。彼女が恐れている事、それによって嫌われてしまうのではないかという恐怖からくる物だ。しかし、すでに話してしまっている以上、取り消すことは出来ない。シェリアは平静を装いながらも、その内は嵐のように荒れていた。そしてその時が訪れた。


「変わらないだろうな。そんな力を持っていたって、お前はお前だからな」

「……えっ?」


 信じられないとばかりにシェリアはウィルの方を向く。


「誰かに何を思われていようと、お前はお前だ。まだまだ半人前の、心が弱いし詰めも甘い。けど、優しさや誰かを思い遣る気持ちは誰にも負けない、強いヤツだ。誰がお前の事をなんて思おうと関係ない。だってよ、それは誰にも変えることが出来ねぇ不変のものだからな」

「ウィルさん……」

「だからよ、そんなことを恐れてないで前を向け。もし、何か言うヤツがいたら、俺がぶっ飛ばしてやるからよ」


 そう言ってウィルは、彼女を安心させるような温和な笑みを向けてきた。普段の彼が見せない、優しい笑顔だった。それを見て、シェリアは思わず顔を背けた。そして体の内から湧き上がってきた、それを抑えるように口を手で塞ぐ。しかし、目元から溢れてくる物までは抑える事が出来ず、ぽろぽろと流れていく。それをウィルは気づかないフリをしているのか、彼女から視線を外し満天の空を眺めていた。


 **


「すみません、ちょっと取り乱しました」

「構わねぇさ。誰だってそんな時ぐらいある」

「それにしても、本当にウィルさんには助けられてばかりですね。借りばかり作って、まったく返せていません」

「そう思うなら、早く一人前になってくれ。今のお前は危なっかしくてしょうがねぇ」

「あはは、そうですね」 


 そうシェリアが言って、立ち上がりウィルの前に立った。その時だ。それは神か、もしくは運命のいたずらか、今まで雲によって隠れていた月が顔を出す。中庭には月の白い光で溢れ、そこにある物を照らす。そしてそれは彼女とて例外ではない。黄金の髪は光り輝く白い粒子を出しているかのよう。着ているドレスとアクセサリーも光り輝き、見る物によっては女神を思い浮かべるだろう。

 そして彼女はウィルに向かって言った。


「今までありがとうございました、ウィルさん。そしてこれからも、よろしくお願いしますね!」


 そうして向けられる笑顔。ウィルは目を見開き、その姿に釘付けとなった。やがて彼の頬は赤く染まり、顔を背けだした。


「お、おう。そうだな。これからも、その、よろしく……」


 言葉に詰まりながらウィルはそう返答する。しかし、顔を見られまいとしているのか、シェリアから逸らすように動かしている。それを不審に思い彼女は近づいていく。


「あれ、どうしましたウィルさん? 何で目をそらしているんです?」

「い、いや、そらしてねぇよ。お前の気のせいじゃないか?」

「いや、思いっきり逸らしていますよね。それに何だか顔が赤い気が……」


 そう言ってシェリアは確かめるように彼に顔を近づけていく。それにウィルは逃げるように首を大きく後ろにそらす。その仕草と、赤く染まっている頬を見て感づいた。そしてニヤニヤと意地の悪そうな表情に変わった。


「あれ~、もしかして見とれちゃいました? 見とれちゃいました? へぇー、ウィルさんも可愛いところがあるんですね゛っ!」


 それは照れ隠しだったのか、それとも彼女がニヤニヤしながら言ってくることに腹が立ったのか、再びその脳天に拳が振り下ろされた。


「ぐおおおおお……、割れた、これ確実に頭が割れた!ひどいですウィルさん。同じところを打つなんて……!」

「調子に乗るからだ」


 再びシェリアはその場に蹲る。しかも先程よりも威力が上がっており、彼女が感じる痛みも増加している。そんな彼女から視線を外し、自業自得とばかりに言い捨てた。


「あら、ここにいたのね」


 そんなことをしていると彼女たちの背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。その方向に首を動かすと、そこには口元を手で隠しながら笑うレミールがいた。そんな彼女の服装はいつもの受付嬢の服であり、この場において場違いな姿である。しかし、そんなことを気にしている様子はない。


「レミールさん? なんでここに?」

「ええ、ちょっとシェリアちゃんに用事があったの」

「私に?」


 シェリアがそう返すとレミールは小さく頷き、姿勢を正して真剣な眼差して彼女を見つめた。


「ギルド所属、シェリア・ラグ・パストラール。今回のアリオン防衛戦において、あなたの功績は多大なものです。その功績に敬意を評し、あなたをCランクへとランクアップさせ、さらにギルドから二つ名を送ります」

「え、二つ名……ですか? あのランクアップはわかりますけど」

「二つ名っていうのはな、ギルドに所属していたものの中で大きな功績を立てた者に送られる称号みたいなものだ。そこにランクは関係ない。とにかくギルドが多大な功績を上げたと判断すれば与えられる」

「えっ、そんな物を私にですか?」

「そうよ。今回の戦いはあなたがいなければ勝つことは出来なかった。」

「えっと、ですが私は……」

「あなたのことだから、私だけの力ではないって言うんでしょ?」

「うっ……」


 言おうとしたことを遮られる形で言われたシェリアは言葉に詰まる。それを見てレミールは苦笑いを浮かべた。


「やっぱりね。確かに今回の戦いで勝てたのは、皆が協力しあって勝てたと、私もそう思っている。けどね、貴方がいなければ、私たちは勝てなかった。貴方がいたからこそ、私たちは協力して戦いに向かうことが出来たのよ。だからこれは、貴方が受けるべき物なのよ」


 その真っ直ぐな彼女の思いがこもった言葉にシェリアは何も言えなくなる。そして不安そうにウィルの顔を見る。その顔を見てウィルは小さく息を吐くと、彼女に笑顔を向けた。


「受け取ってやれよ。第一、お前がアレを撃たなかったら、俺もここに立っていないんだからよ」


 そう、あの時のあの一撃によって黒騎士の注意が削がれ、そして軍団を壊滅させたことによってウィルは助かったのだ。それがすこしでも遅くなれば、ウィルはあの黒騎士によって殺されていたことだろう。もちろん、彼だけではない、あの攻撃によって多く兵士が救われた事は間違いない。何せ、全滅の可能性があったのだから。

 その言葉とウィルの表情を見て、シェリアは小さく頷く。そして立ち上がり、背筋をただして、真剣な表情をレミールに向けた。


「レミールさん。その称号、謹んでお受け取りをさせていただきます」

「……ありがとう。そう言ってくれて嬉しいわ。ところで二つ名なんだけど、何か希望はあるかしら? ギルドで考えても良いけど、もしあるならそれにしてあげるわよ」

「自分で決められるんですか?」

「ええ。二つ名は功績を挙げた人へと送られる称号であると同時に、その人物を表す物でもあるの。だから、自分に合っていると思う物があればそれを優先して付けるようになっているわ。それで、どうする?」

「そうですね。それじゃ……」


 **


 二日後、ギルドの掲示板には一枚の紙が貼られていた。

 それをシェリアとウィルがジッと眺めている。


「本当にこの二つ名で良かったのか? ギルドに頼めばもっといい二つ名が付いたかも知れないぜ」

「良いんですよ。この名が私を表すのにぴったりなんですから」


 そう言ってシェリアは、自身が考えた二つ名が書かれた紙を見ながらそう答える。自分にふさわしい二つ名といえばこれ以外の言葉は見つからないだろう、という自信を込めて。


「さて、それじゃ仕事に行きますか!」

「おいおい、お前ここのところ休み無しだろ? ちょっとぐらい休んでもいいんじゃないのか?」

「そういうわけには行きませんよ、今は復興の真っ最中なんですから。それに私は体が頑丈なのが取り柄なので」

「そうかい、それじゃ俺も頑張って仕事に励むとしますかね」


 そう言って二人はギルドから離れると各々の仕事をこなすため、ギルドを出るとアリオンの町中に溶けていった。

 誰もいなくなり、見る者がいなくなったその紙。そこにはこう書かれていた。

 

『此度の戦闘において、多大な功績を上げたシェリア・ラグ・パストラールに次の二つ名を送る』



『――元素操作者(エレメンター)』

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