先代:Not His Child!

 夕食が終わり、外の日がとっぷりと暮れど、メイドの仕事に終わりはない。引き続き、ミュウは金時会館の掃除を任されていた。掃除しなければならない箇所は、まだまだ沢山あるのだ。


 ――というのは表向きの話。同じく巡回しているメイドの目を盗み、ミュウは掃除道具も持たずに会館中を歩き回っていた。


 2階にある会議室らしい無人の部屋に忍び込み、境界視野を作動する。


(うーん、ここにはないなあ)


 境界クラックの存在は無し。すぐさま廊下に戻る。


 最初から『これ』がミュウ達に下された指令だった。だから、司山ヨシヒサは、自分のメイドの指揮権だけは何としても依頼人には譲渡したくなかったのだ。


 ——でも、境界クラックの反応ってご主人様のセンサーで既に分かるんですよね? なんであたし達がわざわざ探す必要があるんですか?


 食堂から戻るとき、ミュウはそんな疑問を司山ヨシヒサに訊いていた。


 ——境界クラックの早期発見は目視でないと出来ないからだ。僕のセンサーは、壊素怪火が飛び出すか飛び出さないかの段階にまで開かんと反応しない。


 ——そんな……それ、どうにかならないんですか?


 ——僕の技術力にも限界がある。今のお前の立場と一緒だ。


 ——ひい、分かりましたぁ。分かりましたから、やめ……っ!


 ミュウはそそくさと場を後にした。他のメイドに見られていない角度から触ってくるのなら撤退するしかない。


 かくして、逃げるように業務もとい任務に戻ったミュウではあるが、ここでひとつ無視できない程度の問題が。


 会館2階の廊下の奥を見ようとして、ミュウは少し息が詰まった。


 例えるならば、夜の学校に踏み入っているのと同じ。


 昼間はただ「これは落ちないなあ」程度だったシミや黒ずみが、夜闇に晒されると別の何かに見えてしまう。剥き出しの梁や天井の隙間から、見えてはいけない何かが覗いているように感じてしまう。


 自分は壊素怪火を探しているだけ。境界クラックを探しているだけ。知らず知らずのうちに言い聞かせている自分がいた。


(——!?)


 それは、突然ミュウの視界に現れた。


 長い廊下を曲がった次の瞬間、何かが廊下を渡るように通り過ぎたのが見えたのだ。


 あれは――人影? しかし、会館を警護しているメイドは自分以外には1階にしかいなかったはず。不審者? それにしては、あの挙動は人とは思えなかったような……。


(いくしか、ないよね)


 少し竦んだ足を前に出して、ミュウはその人影の方へと向かう。


 自分は警備の為にここに来ているのだ。もしかしたら、あれこそが依頼人の見た壊素怪火かもしれない。というか、ここで芋を引いて『不気味な何かがいました!』の報告だけで済ましてしまったら、主から何をされるか分かったもんじゃない。想像しただけで、両腕で胸を押さえてしまう。


 影が消えた先には扉があった。


 妙に年季の入った扉だった。


 ノブに触れることすら勇気の要る扉だった。

 

 古い倉庫のようだ。なぜ、そう思ったかというと、金属棚が何列も並んでいたから。箱詰めされた何かがそれらの中に整然と積まれていたから。


 棚の裏を覗くことすら緊張する。


 なにもない。影も無い。ただ、よく分からぬ物資ばかり。


 と、危うく忘れそうになったので、境界視野を作動する。


(あっ……!)


 あった。棚と棚の隙間。怪しげな光を放つ亀裂が虚空に走っている。


 境界クラック。今までミュウが見てきたものと比べると、ミュウの腰から胴までの大きさしかない。司山ヨシヒサの言う通りだ。壊素怪火が出る前の境界クラックを、ミュウは早期発見したのだ。


 見つけた以上、やるべきことは決まっている。


 メイドリングを起動し、境界クラックに手を翳す。


 境界クラックを塞ぐだけなら、現世からでも造作ない。だけど、冥界から出ようとする壊素怪火を退治しなければ、新しい境界クラックがまた生成されてしまう。カビを除去するには根っこまで枯らさなければならないのと一緒だ。


 だから――ミュウは境界クラックから冥界へと移った。


 ★★★


 山道だった。


 曇天の見下ろす山道の両脇をミュウよりも背の高い笹のような植物が一面に茂り、土で踏み固められただけの地面が一本の道を形成している。笹の向こうは分厚い霧の層に覆われ、何も見えない。


 さっきまで室内だったのに……肌に触れる外気が皮膚をやたらと逆立たせる。


 司山ヨシヒサはいない。頼れるのは直感のみ。


「変身!」


 猫耳の武装メイドの姿に変え、ミュウは山道を歩く。矢櫃工業の時に学習したのだ。冥界での奇襲に備え、あらかじめ武装メイドの姿でいた方が良いと。


 歩くことしばし。開けた空間にたどり着いた。


 ごつごつとした巨大な一枚岩がそのまま足場になっているような場所だった。その空間だけ木々の類は生えておらず、代わりにあるとしたら山小屋と朽ちた木製のベンチ。


 山頂だろうか? いやもしかしたら、周囲を囲う濃い霧の向こうにもっと高い山が隠されてるかもしれない。それくらい、中途半端に広い空間。


 なんて、思いながら霧の向こうへと想いを馳せていた時、背後から気配。さっきまでいなかったはずの中央に、知らない人物が立っていた。


 紋付袴姿の恰幅の良い壮年の男だった。淀んだ冥界の空が見下ろす下、金色の羽織紐が彼の胸元で閃いている。頭部は縦向きの俵のようで、見事な『八』の字を画く豊かな鼻髭と広い額と威厳がありそうな顔にしては真ん丸すぎる目玉が特徴的。


 さっきまでそこには誰もいなかったはずなのに!? ミュウは思わず身構えた。……すぐにその構えを解いた。


 一目見てすぐに分かったからだ。この人、いやこの霊は悪いのじゃない。まして、壊素怪火になんかなるようなもんじゃない。むしろ、もっと身近で温かいような存在。例えるなら、富小路さんのような……。


「あの、どちらさまですか?」


「私が分かるのか、メイドの娘。ならば、まずはそちらから名乗りたまえ」


 つぶらながら念のこもった眼差しを向けられてしまった。とりあえず、簡単な自己紹介をせねば。


「し、失礼しました。私は、安仁屋ミュウ。司山ヨシヒサ様の下に使えるメイドです。今は、主と先輩メイドの狗美さんと私と三人で、金時武志たけゆき様の依頼で金時邸の警護を――」


 刹那、男の目の色が変わった。


「なんと! 君は、あののメイドなのか! しかも、私の息子の警護をしていると!? それは、本当なのかい!?」


「え、あ、はい」


「警戒して済まない。生前の学友に仕えるメイドに無礼を働いたことを、ここに詫びよう。安仁屋ミュウよ。私の名は、金時重望しげもち。私が金時の先代であるというのは、ヨシヒサ君か武志から聞いてないか?」


「せ、先代!? あなたがなんですか!? えと、それはもちろんです。ご主人様からは先代のことは何度も伺ってます。そりゃあもう、何と言いますか……」


 ミュウは拍子抜けした。気難しくて近寄りがたい人物かと思いきや、かなり饒舌な人物のようだ。ただ、彼ほど恰幅の良い男が捲し立てる様は、マシンガントークというよりは巨山より押し寄せる雪崩そのもの。


「やはりか! ヨシヒサ君とは何度か親しく交わらせてもらったものだ! ところで、ヨシヒサ君のメイドよ。見た感じ、君もヨシヒサ君と同じく死者ではなさそうだが、どうしてここに来た? というか、どうしてここに来れた?」


「え、ええと、それは説明するとなると長くなるのですが……」


 ミュウは自分が知っていることを全て説明した。 


 朽ちたベンチに隣り合うようにして座るふたり。


 とりあえず、このひとは信用できる。貫禄と恰幅に満ちた男だが、にじみ出る温かさのおかげか、なぜか気持ちが落ち着くのだ。


「夢の中で故人に口を聞いてはならぬ。関係を持てば冥土へ誘われる。とは生前ヨシヒサ君から聞いてたが、だから冥界でヨシヒサ君を時たま見掛けても話しかけてこなかったのか! しかし、なぜミュウはそれが出来る? おかげで、久々に生きた者と会話が出来て嬉しいぞ!」


「あの、理由は私でも分からないんです。でも、その、喜んで頂けて幸いです」


 今度は、ミュウの方から重望に訊いてみる。


「あの、ヨシヒサ君と呼んでいますが、ご主人様とはどういうご関係だったんですか?」


「さっきも言ったが、学友だった。昔から仲が良くてね。まあ、私の方が、少し年上だったがな」


 (少しどころの年上か……?)と、内心でミュウは訝しむ。


「ヨシヒサ君は、誰よりも私の理想を理解していた男だった」


 重望は、霧の彼方を見つめた。その向こうにいる誰かを想うかのように。


「弱き者は、貧しき者は、誰からも同情されないほど愚かだから、その立場にいる。だが、そんな者達でも、私達のような豊かな者達と繋がっている。私達は彼等に支えられている。彼等を豊かにさせてこそ、私達も皆も幸福に生きることが出来る。——そんな理想を、私は抱いていた」


 ミュウはハッとした。それと同じようなことを言っている人が脳裏を過ったからだ。


 ——国の舵取りすら口出せる程のモンならば、自分の儲けだけではなく、てめえ一人では小銭ひとつ得られんような雑魚共も視野に入れた物の見方をしていかなければならん。


「確かに、なんかそんな感じのことを、ご主人様もおっしゃっていました。それに……!」


 ——でも、その人達がお金を持っていたら……、そりゃ直接感謝とか期待できないかもしれないけど、巡り巡って僕達全員にも恩恵があるんじゃないかなって、足手まといって考え方そのものが足手まといなんじゃないかなって、僕は思うんだ。


「ご主人様が言っていたことは本当だったんだ! それ、立人君も言ってました! 金時武志様の御子息様! 重望様のお孫様も、同じことをおっしゃっていたんですよ」


 それを聞くや否や、重望のつぶらだった眼が、更に真ん丸に見開いた。


「なんと! 私が最期に立人を見たのは、まだ赤子の時だった。本当に、私と同じようなことを言ったのか!? 私には、教えた覚えもないというのに!」


 ミュウは首肯した。


 重望は深い溜息をつくと、また遠い向こうを見やった。そして、力強く立ち上がった。


「驚いた。まさか、私の理想が孫に隔世していたとは。こんなにも嬉しいことはない。金時の未来は明るい! いや、過言かもしれんが、日本の未来すら明るいかもしれぬぞ!」


 ——その時だった。


 霧の彼方より、ミュウは恐ろしい気配を感じ取った。


 気付いた時には、ミュウは重望の前に立ち、切り上げの軌道で墨路首領を抜いていた。


 甲高い音が響き渡る。


 弾いたのは、半透明の触手のような何かだった。そいつが濃霧の方から伸びてきて、一直線に重望を狙ったのだ。


 紅白の柄と純黒の刃を持つ冥刀を振り上げたまま、ミュウは峻刻な眼差しで目の前を睨み付ける。


 忘れるわけがない。あの醜い触手を。あの触手の持ち主を。大切な家族を皆の記憶ごと奪った忌々しいあいつの名を。


「雫石、霊心!」


 分厚い濃霧を突き破って、そいつは浮遊して現れた。


 耳の映えた金色のキツネの髑髏の仮面。唯一、青白い素肌が晒された胸元。漆黒の闇に紛れた手足。そして、背後から生えてこちらを覗く無数の青白い触手。


 霊心が現れるや、濃霧に囲まれただけの山頂だった景色が一変した。白から赤。木々が燃え盛り、背後にあった山小屋も業火に包まれる、山火事のど真ん中にミュウはいた。


 炎の熱気が容赦なくミュウの白い肌に照り付ける。だけど、そんなの今のミュウには関係ない。


 墨路首領を逆手で左手に握り、右手で拳銃を構えて霊心へ狙いを定める。


 紋様のような細工が全面に施されたステンレスカラーの大型リボルバー。司山ヨシヒサが開発し、メイドリングに搭載された兵装のひとつ。


 大口径の銃口マズル、太く長い銃身バレル、墨路首領と同じ紅白の銃把グリップ、今時らしいスイングアウト方式の弾倉シリンダーには、対壊素怪火用の強装弾が6発装填されている。猫の尻尾のように先端が屈曲した撃鉄ハンマー側にある照準サイトは猫の耳のように尖った形状をしていた。


 銃身に刻まれた銘は『Felis Lybicaリビアヤマネコ』——愛玩される猫の起源。


 人体ならば一発当たるだけで容易に致命傷になりうる拳銃。しかし、その銃口を向けられてもなお、狐の髑髏は意に介さない。


「天冥の子よ。霊心に何を向けている?」


 それだけ。ただそれだけなのに、ミュウは不可視の波動の津波に気圧されているような恐怖を覚えた。口で喋ってるようじゃなかった。冥界の空気を直に震わし、それで音の奔流を発しているかのような。


 しかし、ミュウは臆するわけにはいかない。後ろ足を踏みしめ、拳銃を強く握る。


「やっぱりあんた達だったんだね! 金時家を怖がらせて、金時グループの工場とかを襲ったのは! 金時の皆を、立人君をどうするつもり!?」


 こちらは凶器を向けていて、向こうは丸腰。そんな構図だと頭では分かっている筈なのに、気圧されている自分がいる。


「天冥の子よ。なぜ、天冥逆転の敵を庇うのか。天冥逆転は歪んだ現世の理を覆すべく、天冥逆転の敵に裁きを下さねばならぬ」


「質問に答えて! あんた達の目的は何!? 金時武志様が行うプレゼンテーションの日、あんた達は何をするつもりなの!? てか――」


 ミュウは声を更に張り上げた。


「『テンメイの子』って何!? あたしの何を知ってるの!!?」


「天冥の子よ。これは警告だ。背後の罪深き魂を差し出せ。金時邸で開かれる会合に集う罪深き者達と同じく、現世の理を歪ませる悪しき魂だ。天冥逆転が裁きを下さねば――」


「質問してんだから答えろよクソヤローがっ!!!」


 発砲。


 遅れて、何かが虚空で爆ぜる音がした。


 常人ならば撃つだけで反動で肩が外れる一発。武装メイドで強化された身体だからこそブレずに撃てた弾丸——しかし、まともに受けただろう霊心の体躯には一切の傷も無くて。


 ミュウはすぐに気付いた。弾丸が、霊心の手前で破壊された。霊心を取り巻く不可視の何かが、霊心に飛来する脅威を強引に撃破しているのだ。かつて、直接殴り掛かろうとして吹っ飛ばされた時と同じように。


「天冥の子よ。霊心に引き金を引くか。天冥逆転の敵を庇うのか。富める者を更に富めさせ、貧しき者を更に貧しくさせ、現世の理を歪ませる悪しき魂を庇うのか」


 周囲の触手が、霊心の感情に呼応するかの如く激しくうねる。触手のうねりが空間を揺らし、ミュウの方まで伝わってくる。されど、ミュウは引くわけにはいかぬ。


「はあ、何言ってんの? あんた、重望様のこと知らないでしょ? 重望様は、貧しき者をなんとかとかしないから。貧しい人でも豊かにさせることの大切さをさっきも教えてくれた人だから! それが敵とか、あんたバカじゃないの!?」


「天冥の子よ。富める者の言葉を信ずるな。富める者は嘘も巧みだからこそ、貧しき者を足蹴にして富める者として在れる。その重望とやらも、志こそ殊勝のようだが、成せたのは手の届く範囲のみ。救われぬ者は結局救われず、挙句の果てには、後継には愚かな行為として映っていたようだ」


 この時、重望が険しい表情をしていたことに、ミュウは気付いていただろうか。


「霊心は、富める者を信じぬ。霊心は、悪しき者共に歪まれた現世の理を天冥逆転によって修正する。その為には、悪しき者達の魂が必要だ。故に天冥逆転は、会合に集まりし悪しき者達の魂を蒐集する。敬虔なる天冥逆転の信徒を以て」


 霊心の手前に2体の何かが浮遊した。ミュウは始め、異なる作業着を着た2人の男に見えた。


 だが、次の瞬間、ミュウは拳銃を握る手を強めた。


 男達の姿が変貌したからだ。醜悪な怪物の姿に。しかも、片方に至ってはミュウは知っていた。


 キノコの傘と具足に地衣類の蓑——キノコエスケピ。そいつが、まるで中身の入っていない着ぐるみのように、頭部をだらんと下げて浮遊して立っていたのだ。


 思わず発砲した。しかし、弾丸は届かなかった。そいつらも霊心と同じく、不可視の何かによる加護を受けていた。


「天冥の子よ。現世に戻ってヨシヒサ共に伝えるがよい。天冥逆転は、金時の会合に集いし悪しき魂を狩る。貧しき者を虐げる傲慢な罪人共に裁きを下すべく、我が正大師と正悟師を派遣する。止めたければ、会合を中止せよ。もっとも、傲慢な彼らが出来るとは思えぬがな」


 霊心が語り終えるや否や、火炎に染まった靄が霊心を動かない壊素怪火ごと覆い始める。「あっ! 待て! 逃げるな!」とミュウが叫ぶも、霊心を覆う靄の量は次第に濃くなっていき、霊心の輪郭すら次第にぼやけていく。


 やがて、霊心を覆う靄が周囲の曇天の空気に溶け込んだ瞬間、景色は再び例の山頂のような空間に戻っていた。


 周囲を見回す。霊心の気配は、壊素怪火の気配は――ない。自慢の猫耳すら、奴らの気配を感じ取らぬ。完全に消えた。あたかも、最初からそこにはいなかったかのように。


 ミュウは重望の方へと振り向いた。「ご無事ですか、重望様?」とミュウが確認すると、「ああ、なんともない」と重望は答えた。故人とてあの巨大企業の会長だ。あれほどの怪物を目の当たりにしてもなお露骨に動揺した雰囲気をミュウに見せないのは、流石と言った所だろうか。


「なんなのだ、あいつは。あいつらが、武志を、金時一族を狙っているのか」


「そうです。あいつら、あたし達の世界をめちゃくちゃにしようとしている悪い奴らなんです。でも、心配しないでください。あたし達があいつらをぶっ飛ばしてやりますから! そのために、あたし達はここに……金時邸に来たんですから!」


 武器をメイドリングに収納し、ミュウは重望の前で拳をぐっと握って見せる。


 とはいうものの、これ以上ここで出来ることは無いと判断し、ミュウは重望に別れを告げた。


 根源の壊素怪火こそ逃げられたものの、先代会長の魂と襲撃の首謀者に会えたのは大きな収穫だ。後はこれを報告して、肝心の境界クラックは現世側から塞ぐだけにしよう。


 ただ、それで主から何かされるのだけは嫌だな……と、ミュウは胸を押さえながら現世に戻った。


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メイド・メイド・メイド バチカ @shengrung

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