第99話 歓談
料理の注文はマリィさんにお願いして僕らは出てくる料理を次々平らげていった。
「私の作る田舎料理が皆さんのお口に合えばいいのだけど?」
「文句言う奴がいたら私が叩き出します」
「この料理に文句言うやつは居ないだろ~」
デッカーさんは、さっきから美味しい物を食べてるから凄く嬉しそうだ。
もう、ニコニコしながら食べている。
さっきお皿にいっぱいパスタを盛り付けていたけど、もうほとんど残っていない。
「あ、そのパスタ、ガーリックトーストに乗せて、この魚介でとったソース掛けて食べると美味しいのよ!……って、私の分も残しておいてよ!」
「ほうほう、ガーリックトーストにね……考えただけで美味そうだな…よし、やってみるか!」
もう早速デッカーさんはパスタをガーリックトーストに乗っけている。
……僕もやってみよっと。
外側カリカリのガーリックトーストにパスタを乗っける。このパスタは色んなハーブと岩塩で味つけしてあるもので、ガーリックトーストに乗せる前提だからかな、具は細かく刻まれた肉とキノコ。
その上にソースをちょっぴり。
このソースはちょっととろみがあって、濃いめの魚介出汁にトマトと玉ねぎが刻まれて入っている。
材料自体はペスカトーレと共通なかんじだけど、トマトは生で使われていて煮込んでいるわけではないからトマトソースではないんだよね。
魚介ベースなんだけど、刻んだトマトの酸味と玉ねぎの辛味、それから香ばしいガーリックトーストのせいか、魚介の臭みは全然感じない。
「これは本当に美味しいです!僕ももっと食べたいから追加注文しませんか!?」
思わず僕の口から出た追加注文と言う単語に、デッカーさんとマリィさんはちょっと吹き出して笑った。
「普段控えめな輝さまが追加注文って言うんだから、自慢していいわよマム!」
「あらあら、そうかい。でもごめんよ、トマトがもうなくなってしまってね、違うソースになるけどいいかい?」
「あ、マム!じゃあスモークチキン使ったソースにしてよ!」
「ハイハイ、昔っからだけど、マリィは食べるのがホント好きだねぇ」
「マムの作ってくれるご飯だけよ。こんなに食べるのは!」
「ハイハイ、お世辞が上手になったわね!でも誉められて私も嬉しいわ!……じゃあちょっと待ってておくれ。燻製肉を取りに行ってくるからね」
そう言うとミシャさんは奥に引っ込む。
マリィさんはそれを眺めていたが、ふと思い立ったように僕に向き直ってこう言った。
「それより、私はひとつだけ輝さまに聞きたい事があるのですが……」
次に口を開いたときは、マリィさんはいつもより声のトーンを落として話しかけてきた。
「東の魔女は信頼できるのですか??」
────東の魔女が信頼出来るかどうか?
突然マリィさんはどうしたのだろうか。
「今回は東の魔女が裏で手を回してウチの髭マスターを派遣してくれたお陰で私たちは助かりました。そこは感謝しています」
そこでまたマリィさんはもう一段声のトーンを落として言った。、
「────でも、段取りが良すぎませんか?」
「段取り?? 東の魔女がギルドマスターをタイミングよく派遣してくれたこと?」
「それだけではなく、悪漢どもを取り押さえた後の尋問するところまで、もうすでに折り込み済みのようでしたよね……」
確かに、僕達はギルドマスターが現れた所から、もうすでに自分達で判断していない気がする。
東の魔女の手のひらの上で転がされていると言っても良いくらいだ。
「それに、現時点で今回魔女は対価を求めて来ていません。今まで私が聞いていた話では魔女が何かを誰かのために行使する際はもれなく対価を求められたと……」
そらから、マリィさんはこれ以上下げられない位のトーンで最後に付け加えた。
「この件、多分東の魔女は何かを私達に隠しています」
「ハイハイ、おまちどうさま!!」
この話はミシャさんが追加の料理を持ってきたのでここで終了となった。
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