第98話 ご飯食べたい
マリィさんの案内で僕らは町の外れにある食堂にやって来た。
「ここは知る人ぞ知る名店なのよ!」
席に着きながらマリィさんが説明してくれる。
「……と言うか、昔お世話になった人が開業した食堂なの」
「で、お勧めは?」
デッカーさんが目を輝かせながら質問すると
「……白状しちゃうと、実はお店に来るのはハジメテデス」
可愛らしくテヘペロするマリィさん。
「キ、キャラじゃねーなー」失笑するデッカーさん。
……なんだろ?異常にマリィさんテンション高いような??
「いらっしゃい!やっと来てくれたのね!」
席に着くと店の奥から少し大柄な女性が出てきた。
「お久しぶりです!マム!」
マリィさんは座ったばかりの席から立ち上がり、その女性の所まで小走りで駆け寄ると大きく手を広げて抱きついた。
「コラコラ、いきなり抱きついたらマリィの可愛い顔が見えないでしょう?」
「いいんです!今日はほとんどお化粧してませんから見なくても!」
マリィさんは飼い主に愛情表現する猫のように、女性の首筋に顔を擦り付けた。
「ホラホラ、それじゃお連れ様を私に紹介するついでで良いからマリィのお顔を私に見せておくれ!」
マリィさんはそう言われて頬擦りするのをやめて女性に向き直った。
「お久しぶりです。貴女のお陰で自立してなんとかやれてます……うーん、ナンカハズカシイナ……」
マリィさんが後ろ手にモジモジする。
「立派になったね!来てくれるのを楽しみにしていたんだから!」
そう言うと女性は軽くマリィさんとハグした後で僕らの方に体を向けた。
「こちらの方々にお世話になっているのかい?私に紹介しておくれよ」
そう言われてマリィさんが僕たちを紹介してくれた。
「こちらは輝さま。今回は私はこの方の護衛としてこちらに来たの。それからその隣はデッカーさん。元冒険者で今は本業は道具屋さん。彼も輝さまの護衛として今回一緒にここへ来たの」
それから今度はマリィさんが僕らに女性を紹介してくれたよ。
「私はマムって呼んでるけど、こちらはミシャさん。近所に住んでいたのだけど、私を凄く可愛がってくれていたの。私の母は私が小さな頃に亡くなったのだけど、色々私を気にかけてくれて。今でも私は彼女を二人目のお母さんみたいに思っているわ」
「私はマリィの母親とも仲が良くてね。生前は色々と語り合ったわ。マリィの事はお腹の中に居たときから知ってるの。産まれた時からマリィはお人形さんみたいに可愛らしくってね……長話になりそうだから、その前に注文聞こうかね??」
「マム!あ、あれはメニューにある!?私の大好物の!」
それを聞いたミシャさんは、いとおしそうに目を細めてマリィさんを見たのだったが、本当に母親が小さな我が子を愛でる様な、そんな優しい眼差しだった。
「ありますよ!ありますとも!!でもね、カボチャのプディングはデザートにしましょうね!」
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