第9話 ライセンス

有希ゆきは車と小型二輪の免許を取るため、自動車教習所に通い始めた。


有希はちょっと不器用で実技教習に苦労していたので、日曜日にはガラ空きの大学の駐車場で美生みおは家の軽自動車や早々に納車されたグッチーノで練習させたりした。


美生もグッチーノに試乗させてもらった。クッチョロも運転が難しい方だが、グッチーノはもっと手強かった。


スロットルは現在のグリップを捻るタイプではなくレバーで開閉するもので、変速もガソリンタンクの右脇にあるシフトレバーを操作するのに、ハンドルから手を離さなければいけなかった。美生は自分には無理だと思った。


美生はクッチョロのオイル交換で行ったバイク屋で、店主に有希がグッチーノの運転に苦労していることを話すと


「確かに、初心者の女の子には難しいかもですね。」店主は呟いた。


しばらくして、有希は免許が取れた。だが、グッチーノを公道で走らせるには、まだまだ時間がかかりそうだった。


有希は諦めずに練習を続けた。美生は気晴らしにと有希を美生のヴェスパに乗らせ、けいのモトムとクッチョロで遊びに行ったりした。


更にしばらくして、またイタリアに買い付けに行ったバイク屋の店主から、有希とグッチーノを店に連れて来るように美生に連絡があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る