STEP2 起承転結
物語の重要な基盤と言われるものを、人々は起承転結と呼ぶ。
これらを細かく解説するのが今回のSTEP2の目的である。
そもそも起承転結とは何なのか。それを解説していこう。
起承転結とは四行からなる漢詩と呼ばれる、中国の伝統的な詩。韻字における文体を元に作り出された言葉である。
その言葉は起句、承句、転句、結句という構成を一つに纏めたものが起承転結である。
ここまでの知識は中学の授業で教えられる基本知識と言っていい。
これらを漢詩の意味で区分するなら、以下のような事柄に繋がる。
・起:歴史や人事を題材とし、比喩や連想を用いて様々な展開を表現するもの。
・承:「穏健」に作るべきであるとされ、露骨な表現、平坂な主張は避けるようにしている。
・転:読み手を驚かす変化を求めるようにしている。ただし、転の句は承の句と表裏一体であり、別物であってはならない。
・結:「言に尽くる有りて意に窮まる無し」とし、適宜フェードアウトすることにより、「含蓄」という詩作の目的を達成する。
ちなみに結の句にある「含蓄」とは深い意味を持つという意味である。
この四つの区分はあくまで漢詩の中での決まり事のようなもの。しかし、日本に伝わる起承転結に通ずる事象が表れている。
この四つを日本で扱われる起承転結で表すと、このような表記に変化する。
・起:事実や出来事を述べる
・承:「起」で述べたことに関して、解説や感想、意見などを述べる。
・転:『起承』とは関係の無い別の事象を持ち出す。
・結:全体を関連付けて締めくくる。
このような並びを起承転結と呼び、物語を創作するに当たってこれを遵守することを前提としなければならない。
などと述べる人間は多い。
だが、こんなものを解説されたところで、結局何をどうすればいいのかわからない。という結論を生むものも多いだろう。難しすぎて物語を作るのは自分には無理だと挫折するものも後を絶たない。
しかし、私が物語を考えるにあたってこんな複雑怪奇な物事は一切頭の中では展開させない。書き記さない。関連付けない。考えない。頭の中では起承転結の起の部分ですら一切考えないようにしている。
それではどうやって起承転結を考えているのかを解説していこう。
ここで重要になっていることは前回、STEP1『基礎中の基礎』で解説したものを引用することになる。
STEP1では、起承転結よりも重要な事柄が存在することを私は述べている。
それは『視点キャラの目的、目標、現状の不満を作ること』である。
今回はこの基礎中の基礎を元に物語構成をしていこう。
私は物語を構成するに当たって、五段階に展開を分けて思考している。
A
視点キャラの不満、目標を記す。
B
現状の説明をする。目標を目標とする理由を記す。
C
不満を解消するための努力を示す。
もしくは打開するチャンスを掴む。
誰かと出会う、誰かに助けられるなど、
D
絶望的な展開。一歩間違えれば全てが終わってしまうような状況を作り出す。
つまり事件発生。
恋愛でいうならライバル登場など
視点キャラか目指しているものが失敗に終わるような危機。
E
意外な一手で事件を解決する。
現状が変化(改善or改悪)する。
このA〜Eを箇条書きで作っていく。
ここで一つ、例え話として一つの物語を作ってみよう。世界観はここでは考えない。敢えていうなら現実世界である。
A
視点キャラ
・ニート
・働いて独り暮らしをしたいけど、学歴がないせいで仕事に就けない(目標、現状に対する不満)
B
・親が大手企業で仕事してるため、お金には困っていない。
・インターネットで動画サイトを巡回する。気が向いたら転職サイトを開いている。
・親のコネを使って就職したなどという陰口を叩かれたくない。
C
・学生の頃からの付き合いの友人から仕事を紹介すると告げられる。
・重い腰を上げ、スーツを着込んで就職活動に勤しむようになる。
D
・友人の紹介で面接したが、見てわかる通りブラック企業だった。
・友人か転職する条件として、代わりの人間を穴埋め要因にすることとされていた。、白羽の矢が立ったのが視点キャラ。
・過去に自殺者を出している企業だった。労働環境は当時と何ら変わっていない。
E
・面接では落選してしまう。人柄が気に入られなかった。気に入られないような人柄をあえて演じていた。
・ブラック企業でも頑張っている人がいることを目の当たりにした視点キャラ。
・家で引きこもるのが逆に苦しくなり、仕事を自らの手で探すようになった。
・ハローワークにて、職業訓練を始めた。
終わり。
実際にこれが面白いかどうかを度外視するが、これだけで一つの物語として成立していることがらわかるだろう。
さっと考えた物語構成だから雑な所があるのは否めないが、何の目的もなく生きる人間の人生を書きなぐるよりは面白い展開になっているのではと自負している。
このように、A~Eを意識して作れば、意外と簡単に物語が作れる。なぜなら視点キャラが何をしたいのかが初めから決まっているのだから。
ここで一つ注釈するが、コメディやギャグをジャンルとして作るのであればパターンはまた変わってくる。これに関してはまた別の話で解析していく。
ストーリーとして構成する参考にしてほしい。
STEP2
起承転結、難しく考えるな! 主人公の目的がわかってれば自然と湧き出てくるものだ!
次回は視点キャラと主人公の話をしていこうと思う。
また気になる点があれば質問してほしい。可能な限りお答えしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます