俺の物語理論

尾裂狐

基礎編

STEP1 基礎中の基礎




 物語と聞いて、あなたは何を想像するだろうか。

 アニメや漫画、ドラマ、小説、歌唱、劇団。絵本に口語りと多岐に渡り、物語は世界中に溢れかえっている。

 このエッセイでは、そんな物語を漫画や小説を中心に、自分で分析した物を披露するものである。

 あくまで持論。だが、私が物語を作るにあたってどのように考えているのかを書き記していくので参考にして欲しい。

 様々な物語の発表を私は心待ちにしている。



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 私はある小説サイトでこんな物語を目にする。


 異世界に転移した主人公。主人公は使命を伝えられたわけでもなく、地球への帰還を望んだわけでもない。何の目的もなく適当に人と会い、適当なチート能力を得て、適当に戦って適当に生きる。

 小説家になろうやカクヨムのみに限らず、ネットで発表する小説はこのようなもので溢れかえっていると言っていい。


 私はこれを見て疑問に思う。なぜ主人公は目的もないのに、異世界で生活が出来るのだろうかと。

 これが例えば美味しい物を求めて放浪する。地球に帰ることを目標にする。などという目的があるなら話は早いが、そういった描写が一切成されていないものがある。

 もちろん人それぞれの楽しみ方。小説もとい、物語をどのように作るのかを選ぶのは作者本人の自由だ。そんな批判を求めない者もいるだろう。

 ここで疑問に思った、意味がわからない。面白くないというのはお門違いなのは私も十二分に承知している。

 だけど、自分で作った物語、他人に読んでもらい、面白いと言ってほしい。楽しいと言ってほしい。続きを気にしてほしい。それがそれぞれ作者の願望なのではと私は思う。


 作っている当人からすれば、その小説はとても面白い出来であると自身を持っているだろう。口では迷っている、どこか詰まっている、おかしな表現がある。というが、心の奥底では面白いのだ。

 だが、その面白さを読者に伝わらなければ自己満足の世界で終わってしまう。




 それではここで、私が組み立てた物語理論を一つ提示しておこう。



 物語には、土台とする前の基礎。基礎中の基礎が存在するのをご存知だろうか。

 世に出たヒット作、名作、そうでもない物。全てに当てはまる基礎というものが存在する。


 ある参考書によると、物語の基本は起承転結が物をいう。

 だが、私はそこに異を唱える。

 確かに物語において、起承転結というのは重要な要素であるといえる。人の身体で言うなら背骨であると言ってもいい。だが、私に言わせればそんなものは脳にはなり得ない。つまり、起承転結よりももっと先に考えるべきものがある。


 世界観ではないか。それは違う。ではキャラクター? それも違う。


 視点キャラが『目的、目標を持っている』。もしくは、『現状を不満に思っている』ことである。


 例えるなら、七つの玉を集めて願いを叶えたいという『目的』。幽霊が見えるのに、自分は無力で心苦しく思う『不満』。嫌われ者の主人公が、里の長となってみんなに認めさせるという『目標』。

 それらを元にキャラクター設定、世界観、起承転結を決めていく。


 逆に、それができなければ前述したありふれた小説のように、適当に生きるだけの主人公が出来上がってしまう。言うなれば、天空の城がある世界で、主人公がダラダラと適当に生きて物語が終了するようなものだ。目的がないのであれば、わざわざ海賊になってまで天空の城を目指したりしない。


 幻想を殺す不幸人間も、毎年記憶を消されるシスターの現状に『不満』を持ったから戦った。

 鋼の腕を持つ少年も、鎧姿になってしまった弟を元の身体に戻すことを『目標』にして旅立った。


 このように、視点キャラが何をしたくてどのような行動をした。という肉付けをする必要があるわけだ。

 ここで肝になってくるのは『視点キャラ』であって『主人公』でなくてもよいということだ。話の作り方によっては視点キャラでも、主人公でなくてもよい。この話はSTEP3、STEP4で解説しよう。



 そして、物語というものはその『不満』のある現状を変える、視点キャラの『目的』を果たすために展開してくるわけだ。

 ここで初めて起承転結の話になる。



 物語を作るためのSTEP1。

『視点キャラの目標、目的、現状の不満を作ろう』


 次回のステップは視点キャラの目的からどのように話を展開していくのか、起承転結を主に置いて解説していこう。

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