第11話

待つことしばらく…時間も昨日と同じ…女の子が自転車に乗って近づいて来るのが見えた。俺は前を通せんぼするように女の子の前に立った。女の子は立ち止まり不思議そうにこっちを見た。

「ちょっといいかな?」

女の子の顔が警戒する顔に変わった。

「決して怪しい人じゃないからね。お兄さんの話を少し聞いてほしいんだ」

女の子は顔を怖ばめながら頷いた。

「お兄さん、予知能力があるんだ。これから起きることが分かるってことなんだけどね。

このまま真っ直ぐ行くと交通事故に遭っちゃう。怪我をしちゃうから、別の道に行ってくれないかな?」

「えっ?事故?」

女の子は不思議そうにこっちを見ている。

「うん。車とぶつかっちゃうんだ。だからダメだよ」

「分かった。ありがとうお兄さん」

これくらいの年頃の子は素直である。別の道を向かい始めた。

俺が話している間に事故を起こす車が現場を通り過ぎて行くのも確認した。さすがに別の道で事故…というのはないだろう。

女の子の運命は変わった。

この記憶があれば俺自身の運命も変えていける。そう信じて街へ向かって歩き出した。

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