第3話

家を出て大通りに向かって歩き始めた。特に何か目的はない。ただこの方向に進まないと何もないから向かっただけだ。そんな俺の少し目の前で事故が起きた。車と幼稚園から小学校1年生ぐらいに見える女の子の乗った自転車が接触したのだ。幸いにも車のスピードが出ていなかったのか、自転車と女の子は飛ばされた。というより衝撃によってヨロヨロと転倒したという風に見えた。そして、あっという間に人集りが出来て、女の子や車は俺の視界から消えた。俺も近寄って人集りに紛れて事故の様子を見たが、女の子はあちこちを切って血がドンドン流れてきている。ただ、意識はしっかりしているのか、周囲の人の話掛けに受け答えできている。遠くで救急車のサイレンが聞こえた。誰かが呼んでくれたのだろう。まだ小さい子だけに、トラウマや後遺症がなければいいが…。そんなことを思いながら、俺は人集りを離れ繁華街の方へ向かった。

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