君のいた日々②
零は再び歩き出した。
正門の前を通り過ぎると、私たちがみかん坂と呼んでいた、長い長い坂道がある。なんでみかん坂と呼んでいたのかというと、この坂の両脇には、なぜか、みかんの木を植えている家が何件も建ち並んでいるからだ。
零はこれを登ろうとしている。当然、私もついていく。
もうみかんの木には、青い実がつき始めている。木自体も青々と
坂を登りきると、右手に雑木林の入り口がある。入り口と言っても、
以前は毎年夏休みになると、零と一緒にカブトムシやクワガタを採りに来ていた。一昨年もそうだった。
………
……
…
「うあぁ……、また大量のカナブンがぁ……」
零が
「いいや、次行こう……」
零はさっさと諦め、トボトボと次のトラップの場所へと歩き出した。
「あと何カ所だっけ?」
蚊が多いので、虫除けスプレーをポーチから取り出しながら、零に尋ねた。
「二カ所だよ……」
フシーーッ。
虫除けスプレーを身体に
「ばっか! 香澄! それじゃカブトムシも逃げちゃうだろ!」
「あ、そっか。ごめんごめん」
「はぁ……」
「まあまあ、こんくらい大丈夫だよ。行こう行こう!」
「はぁ……。はいはい……」
………
……
…
たしかあの後、二カ所回ったら、ノコギリクワガタがたくさん採れて、釣りが趣味の零のお兄ちゃんから借りたルアーケースいっぱいに、ノコギリクワガタを詰めて持ち帰ったんだったかな。いい思い出だ。
だが、この場所はもう
心がこの場所を
零は逃げるようにこの場所を後にした。
なぜ零は、苦い記憶の場所へやってきたのだろうか。
そんな身を切られるような思いをするくらいなら、私を殺してくれればいいのに。そしたら、私も
この
なんとなく、零の隣は歩けなくなって、後ろ数歩分くらいのところを歩く。
零の後ろ姿を見ていて、私は気づいた。
なんか零、背、伸びた……?
幽霊は成長するのだろうか。そんなことは聞いたことはないが、実際に目の前の零は、一年前よりも背が伸びて、少したくましくなったように見える。気のせいだろうか。
あるいは、この零は、幽霊じゃなくて、私の
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