その日の夜
Xエリア外へ出ている
「ドン、ちょっとルーチェ
縄張り戦争では、武器商人がヒットマン達のアシストをすることが必要になるため、事前に誰がどんな武器を使っているのか何を扱えるのか等を、当日までに把握していかなければならないのだ。リューヴォもそれを伝えようとしていたので、しっかりと一度頷いた。
「うん、頼むわね」
「はーいっ」
リューヴォの了承を経て、エマはルーチェの手を取り、張り巡らされた地下の通路をグングンと歩きながら引いていく。ルーチェの歩調がちょっとずつ小刻みに速くなってきた、もちろん原因は大股でズカズカと歩いているエマであるが、これは彼女の精一杯の虚勢なのだ。ルーチェは16歳で175cmと長身で、エマはまだ11歳で育ち盛りであるのに、すでに充分有能なことを考慮したとしてもエマがルーチェに引け目を感じる必要性はない。が、自信家であることが災いしてこんな珍妙な形として外に現れている。それを分かっているルーチェは、苦笑気味に目の前を行く少女の真っ白な髪を見つめていた、関係的にいえばリアナとリューヴォの2人の様相に近いだろう。まるで蜘蛛の巣のような地下通路を随分と歩きまわって、エマが立ち止まった。
「はい、ここが良いよね」
「確かに」
「じゃあ始めよー」
2人が行き着いた先にあったのはスプリーキラーが住んでいる南区と、武器商人が住んでいる東区の合流地点の1番奥だ。この場所は南区と東区の住民に、誰が何を話しているかという事を携帯端末を通じて発信できるところだ。端末には個人別のパスワードが割り当てられている、話の内容を把握したいならその番号を打ち込めばいい。まず2人は携帯端末をオープンにしてパスワードを打ち込み参加人数が落ち着くまで待つ、数値が止まるとエマが―パンッ―と両手を打ち合わせてニッコリと嗤った、それを見たルーチェの背筋には冷たい汗が流れ寒気が走る。何度経験しても、この商人魂に火がついたエマの顔にはゾッとするようだ。
「さぁて!いい感じに集まったね?それじゃ始めるよ、武器商は―」
まず始まったのが、戦闘員1人に対して何人の武器商がアシストに付くかという内容だった。本来であれば1人の戦闘員に1人のアシストが付くのが望ましいのだが、扱う武器や当人の戦闘能力によっては複数人が付かなければならなかったり、そもそも一対一で付けるかという根本的なところから見れば武器商人の数が圧倒的に少ない。その為、地上の
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