賽は投げられた
「次はエマね」
情報屋の次にリューヴォが声を掛けたのは、
この戦争にやる気を
「ドン、無茶振りって言葉知ってる?戦いながらサポートし続けるなんて─まぁ、ドンの事だから、私達への報酬のあてはあるんでしょ?」
「ソコは問題ないわ、アルベルに死体回収を任せるようにするから」
この答えを聞いたエマは、にんまりと
「納得~、
「頼むわね」
「はーいっ!」
まだ十一歳だと言うのに商人らしさを存分に発揮するエマに対しては、メリッサ以外からの笑いを誘った。このエマは客との取引の際に問題が起きた場合をいつでも想定している、自分の身を守るための
「メリッサ~」
「なにー?」
「そっちの反応どう?」
「いい感じっ」
「じゃっ!コッチも始めよっ」
コレが何に関する遣り取りかというと、それぞれの下についている人間の中から何人が戦争に参加する意思表示をするか、その確認だった。情報屋のメリッサは独自のネットラインを使い、武器商人のエマは少し独特なやり方で参戦人数を把握する。ポチポチと短く携帯端末のボタンを押して床に置き反応を待っていると、画面上に3Dのサイコロが浮かび上がりクルクルと回転し始めた。そうして数分後サイコロの上には数字が表示され、その桁数がどんどん跳ね上がっていく。今回のような事態が起こった場合、武器商人たちが参戦の意思表示をするときには、各人が持っている自分の簡易情報が入ったサイコロを転がすのだ。持ち主の手を離れたサイコロは、一度地面に落ちれば内蔵されている情報がエマの持っている端末に取り込まれるようになっており、そのまま参戦意思ありと判断されて人数に加えられる。メリッサとエマの様子を黙って見守っていたリューヴォが、二人に問い掛けた。
「どう??」
「情報屋、参戦人数2400人超えでっす」
「武器商は1100人くらいかなー」
まるで鶴の一声である、こんな感じで近距離戦闘に長けたリアナの下にいる少年少女や、中距離戦特化のルーチェの下にいる少年少女達も続々と参戦の意思表示を示して、最終的に新参者を大きく上回るだろう7600名もの遊撃隊員がゲリラ師団として組織されることになった。それから一週間、この街の現状を知るほど今だけは入りたくない、関わりたくないと東西南北の暗黒街の人間達が距離を取る状態になっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます