026――ULTRAMAN(特撮映画)

あらすじ

 航空自衛隊のイーグル・ドライバーである真木舜一は難病の息子、継夢に寄り添うために自衛官を辞める直前だった。そんな折、彼はスクランブル発進した空で赤い発光体と激突し墜落してしまう。だが奇跡的に生還し、退官後に民間航空会社に勤め始める。

 しかし突如陸自の対バイオテロ研究機関「BCST」に拘束された真木は同じように宇宙にから飛来した「ザ・ワン」をおびき出す囮として使われるが、誘い出されたザ・ワンは巨大化しBCSTを蹴散らす。その中で真木の中で何かが覚醒し、真木は「ウルトラマン・ザ・ネクスト」に変身し「ザ・ワン」と対峙する。




概要

 ウルトラマンネクサス、ウルトラマンノアへと繋がる新たなるウルトラマン神話。


 監督は以前レビューした『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』やアマゾンプライムで展開された『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』の小中和哉。

 脚本はこちらも以前レビューした『SSSS.GRIDMAN』ではメインライター、『仮面ライダーW』にも参加し、今作の続編に当たる『ウルトラマンネクサス』も手がけた長谷川圭一。

 音楽監修にはあのB’zのメンバーである松本孝弘が参加するというなかなかなキャストです。


 公開されたのが2004年の12月というもう15年くらい前の作品ですが幼少期に見てから個人的な名作としてずっと心に居座り続けた作品でもあるので再び本編を見させてもらいました。


 内容としてはかなり普通の作品ですが、葛藤として「息子やみんなを守りたい」という欲求と自分が人間ではないものになってしまった現実という初代仮面ライダーにも通ずる古典的なものが描かれながらも息子や妻のために戦うという等身大なヒーローの姿が書かれていて非常にリアリティがありましたし、映像的にも特撮では表現の難しい10メートルサイズを想定した撮影と戦闘、ラストのネクストとザ・ワンの戦いではCGを使った豪快でいながら緻密な空中戦が展開され、非常に印象に残りました。

 今となってはそういった部分を取り入れるのは普通のことでしょうが、15年前に試みられていたことだと思うと果てしなく挑戦的な作品でもあったと思います。


 また真木と赤い発光体との出会いが初代ウルトラマンの第1話が元になっていたり、ザ・ワンの造形がベムラーをベースにしていること、さらに「もし現代にウルトラマンや怪獣が現れたら?」という『シン・ゴジラ』的なテーマが掲げられた作品であり、かつ『ウルトラマンネクサス』へと繋がる絆の物語でもあるという背景を見ているより楽しめる作品でもあります。




ストーリーライン

フェーズ1

・BCST施設からザ・ワンとなった有働貴文が逃げ出す

・百里基地勤務の真木舜一がスクランブル待機中に幼い頃の思い出と息子のために退官の意思を決めたことを同僚の倉島剛に語る

・スクランブルがかかり、真木と倉島が百里基地からF-15Jでスクランブル発進する

・倉島の機体がマシントラブルに陥り、真木が単独で未確認機のコンタクトに向かう

・真木が未確認機である赤い発光体と衝突し、死の淵で光の巨人と出会う

・真木が墜落事故から奇跡的な生還を遂げる

・真木が夢の中で赤い発光体の記憶を見た直後、病院のベッドで目覚め、妻である真木蓉子と継夢に再会する

・真木が退院後に事故状況を上層部に説明し自衛官を退官。家族との日常を過ごす

・とある漁船がザ・ワンに襲われ、座礁したところを発見される

・民間航空会社に勤めるようになった真木の姿

・ショートフライト中に真木が水原沙羅によって脅され、陸自のヘリの誘導に従い、封鎖された一般道に着陸することになる

・突如行方不明となった真木の身を案じる蓉子たちの前に真木のセスナに乗った倉島が現れる


第1プロットポイント

・真木が一ヶ月前からBCSTの監視下にあったことを明かされ、ザ・ワンの存在や赤い発光体の正体を知らされた直後、覚醒の初期症状が出る


フェーズ2

・倉島が特殊な事情で真木が防衛庁の施設にいると蓉子に告げる

・ザ・ワンを誘き出すために真木が地下室に監禁され、ザ・ワンの接近を感じ取り、BCSTのセンサーにも反応がある

・ザ・ワンが現れ、BCSTが射殺しようとするが失敗。周囲のトカゲを吸収し、巨大化する

・実働部隊と行動を共にしていた水原沙羅が危機に陥るが、地下室を脱出した真木が現れ、自らが囮となって沙羅を逃す

・真木が覚醒し、ネクスト(アンファンス)となり、ザ・ワンと戦う

・戦闘に居合わせた沙羅をネクストが庇う

・ネクストが真木との不完全な融合から来る活動制限からピンチに陥るが、ザ・ワンに手傷を負わせ、痛み分けに持ちこみ真木の姿に戻る

・目覚めた真木がBCSTが自身を囮にしたことと有働貴文が赤い発光体の襲来を予言していたことを知り、沙羅からネクストの力でザ・ワンを殺してほしいと告げられる

・東京の地下に逃げ延びたザ・ワンが密かに人を襲う

・真木がかつて息子が倒れた時にすぐに駆けつけてやれなかったことを回想する

・真木が沙羅によってザ・ワンが新宿の地下に潜伏していることを知る

・幼稚園の帰り道に継夢が倒れ、真木が継夢の危機を感じ取り、車を奪ってBCSTから逃走する

・BCSTが真木の射殺の許可を願い、沙羅から真木の逃走が蓉子たちを監視していた倉島に伝えられる

・病院に着いた真木を沙羅が引き止めるが倉島が沙羅に銃を突きつけ、行かせてやれと告げる

・蓉子たちに合流した真木が継夢と会い、精神的な疲労で倒れたことが明かされる

・真木が蓉子と継夢に背中を押されて、沙羅と共にザ・ワンの元に向かう

・新宿に向かう車内で有働貴文が沙羅の恋人であったことが明かされ、真木がザ・ワンと決着をつける決心をする

・新宿の地下に潜った真木と沙羅の前に有働貴文が現れるが、沙羅が有働貴文を撃つ

・ザ・ワンが同情を誘うために有働貴文の人格を利用していたことが明かされ、沙羅に襲いかかるが真木が止める

・真木と有働貴文がネクストとザ・ワンに変身し戦う

・ザ・ワンが地下にいたネズミを吸収して巨大化し、地上へと出る

・地上へと出たザ・ワンが破壊活動を行う

・ネクストが沙羅とともに地上に出るが戦闘に巻き込まれた母子を救うために走り出す


第2プロットポイント

・ネクストがアンファンスからジュネッスとなり、母子を救う


フェーズ3

・ネクストがザ・ワンとの戦闘に入る

・戦闘の中でネクストが飛行能力を得るが、ザ・ワンも周囲のカラスを吸収し飛行能力を得て空へと飛び上がる

・空中にてネクストとザ・ワンの戦いが繰り広げられる

・真木が戦闘機で空を飛んでいた感覚と重ねる

・ザ・ワンが降下して街に向かって無差別に攻撃を始め、ネクストがその身を呈して街を守る

・エネルギー不足によって窮地に陥り、ここで倒れれば共に消滅することがネクストの口から明かされる

・真木が意地を見せて最後の抵抗をするが捕まり、エネルギーを奪われる

・倉島の率いる空自のF-15部隊が加勢し、窮地を脱したネクストがザ・ワンの羽根を切り落として地面に叩き落とす

・ネクストが光線でザ・ワンにとどめを刺し、自身も真木の姿に戻る

・夢の中で真木がネクストから戦いに巻き込んだ謝罪と死ぬことに後悔はないのかと問われるが「息子と約束を果たせないこと」を告げる

・ネクストとザ・ワンの戦いから一ヶ月が経過し、ネクストにウルトラマンの称号が与えられる

・真木が息子と共に空を飛ぶという約束を果たす

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