014――万引き家族(映画)

あらすじ

 スーパーで万引きを行なった柴田治と息子の祥太は帰り道、団地の廊下で凍えている少女を見かけ、母の初枝と妻の信代、そしてその妹の亜紀とともに暮らしている家へと連れ帰る。自らを「ゆり」と名乗った少女にあったかいご飯を食べさせてやり、治と信代は「ゆり」を家に返そうとするが、ゆりの両親が言い争う声が聞こえ、思わず引き返してしまう。そこから「ゆり」を伴った六人での家族生活が始まる。




概要

 実際に起こった事件を下敷きに家族を超えた絆を描くカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。


 監督は2013年に制作した『そして父になる』が第66回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞し、今作では原案、脚本、編集も兼任する是枝裕和監督。


 公開から半年以上経ってから見に行きましたが、ちょうど上映直前にアカデミー賞の発表で今作がアカデミー賞の受賞を逃したことがタイムリーに報じられていました(笑)


 今作の感想としては非常に述べにくいところがあります。というのもメインとなる葛藤があまりなく、むしろ小さい葛藤が積み重なる感じなので、アクションなどが好きな人にとっては眠くなるかもしれません。しかしそれら小さな問いの集まりが家族や正しさというものから派生したものなので見終わった後にはなんとも言えない問いかけが自分の中に起こるのではないかと思います。




ストーリーライン

フェーズ1

・2月のある冬の日、治がひとりの幼い女の子が震えているのを見つけ連れて帰る

・夕食後、女の子が「ゆり」と名乗る

・治と信代がゆりを家に返そうとするが、家から争う声を聞き、柴田家に引き返す。

・夕食中に亜紀が「誘拐ではないか」というのに対し、信代が「脅迫も身代金の要求もしていないからこれは誘拐ではなく保護だ」と主張する


第1プロットポイント

・ゆりが柴田家の6人目の家族となる


フェーズ2

・治が職場でケガをするが労災が下りず、仕事を辞める

・テレビでゆりの失踪事件が報じられ、彼女の本名が「北条じゅり」であることが明らかとなる。

・ゆりの発覚を遅らせるべく、髪を切って「りん」という呼び名を与え、祥太の妹ということにする。

・治がケガから回復するが、仕事には戻ることなく、祥太との万引きを「りん」に手伝わせる。

・夏、祥太がいつも万引きを行なっている駄菓子屋でりんに万引きをさせるが、店主からお菓子を与えられ「妹にはさせるなよ」という言葉をかけられる。

・信代が勤め先のクリーニング店から自分と同僚のどちらかの退職を迫られる

・同僚との話し合いでりんを連れているのを見たと脅されて信代が退職を余儀なくされる

・初枝が前夫が後妻との間にもうけた息子夫婦が住む家を訪れ、前夫の月命日の供養ついでに慰謝料などの名目で金を無心する

・亜紀がこの息子夫婦の娘で、初枝と亜紀の両親の間では彼女はオーストラリアに留学中ということになっていることが明らかになる

・亜紀がJK見学店という風俗の常連客である「4番さん」とひそかに心を通わせる。

・一家が海水浴に出かけ団欒を満喫する

・初枝は自宅で急逝し、治と信代が自宅敷地内に遺体を埋め、「最初からいなかった」ことにする

・信代が初枝の年金を不正に引き出し、自宅から初枝のへそくりを見つける

・祥太が治のパチンコ店での車上荒らしに同行するが、「これは誰かのものではないの」と尋ね、積極的に手伝わずに傍観する

・祥太がりんと駄菓子屋に行ったが、「忌中」の紙が貼られ、閉店しているのを目にする


第2プロットポイント

・祥太が別のスーパーマーケットにて自らの意思で万引きを働こうとするりんを庇って、わざと目立つように万引きし、店員に追われる中で足を負傷、入院する


フェーズ3

・祥太を除いた柴田家の面々が祥太を捨て置き逃げようとするが警察に捕まる。

・りんが本来の親のもとに戻され、治、信代、亜紀の3人が取り調べを受ける

・入院中の祥太が警察官から事情聴取され、家族が逃げようとしたことを伝えられる

・取り調べの中で、治と信代は過去に殺人を犯していたこと、治は初枝の実際の息子ではなく同居人として息子同然に迎え入れていたこと、祥太が治や信代に連れてこられたこと、治・信代・祥太らの名前は本名ではないことなどが明らかとなる

・信代が一家が抱えた犯罪はすべて自分の犯行として証言する

・祥太は施設に入れられ、治は一人暮らしとなる

・かつての自宅を訪れた亜紀がもぬけの殻となった屋内をしばし眺めていた。

・治が信代の依頼で祥太を連れて刑務所に面会に行く

・信代が面会の場で治が松戸市のパチンコ店の駐車場で車上荒らしをしようとした際に、車内に置き去りにされていたのを助けて連れてきたこと、その車の情報を交えて伝え、「その気になれば本当の両親に会える」と祥太に話す。

・祥太が治の家に泊まり、自分を置いて逃げようとしたことの真偽を治に問い、治が「おじさんに戻る」と答える

・翌朝、祥太が別れ際に「自分はわざと捕まった」と治に話す。

・元の家族に戻されたじゅりが、治に発見されたときと同じ外廊下でただ遠くを眺める

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