011−A――仮面ライダー電王 第1〜10話(特撮)

あらすじ

 2007年。未来から侵略者イマジンが現れ、人知れず人間と契約を結び、時間の改編を企てていた。一方、自他共に認める不幸体質な少年、野上良太郎はある日、見たこともないパスを拾ったことで現実世界とはまったく違う時の世界に紛れ込んでしまう。突如現れるデンライナーやイマジン、そしてデンライナーのオーナーと契約を交わした少女、ハナと出会う中で、良太郎が時間改変の影響を受けない特質の持ち主「特異点」――仮面ライダー電王となる資格を持っていることが明らかとなる。そして良太郎はハナと自らに憑依したイマジンたちの力を合わせ、仮面ライダー電王としてイマジンたちと戦っていくこととなる。




概要

 「平成仮面ライダーシリーズ」第8作目。

 脚本には『仮面ライダー龍騎』などの小林靖子、『仮面ライダーキバ』「仮面ライダーディケイド』などの米村正二が参加。

 主人公である野上良太郎を演じるのは、『るろうに剣心』シリーズや『バクマン。』『亜人』など現在では人気俳優となった佐藤健。またイマジンたちにも関俊彦や鈴村健一などの有名声優が多数起用されている。


 数々の劇場版やスピンオフが制作され、現在でもたびたび登場する仮面ライダー電王。

 子供の頃見ていた最後の仮面ライダーだが、正直いま見るととても懐かしい。この次のキバが当時あまりに難しすぎてそこから仮面ライダーシリーズからはゴーストまで距離を置いていたのですが、いまの平成2期系のライダーがあまりにわちゃわちゃしてるので、当時は電車に乗る仮面ライダーということで奇抜だったはずの電王が随分と大人しく見えます。

今回、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』の公開に合わせてか、『仮面ライダーW』同様にYouTubeの東映特撮YouTube official(https://www.youtube.com/channel/UCEbPgdUbZgme40WpYmR0ocA)にて公開が始まったので見させてもらった。

 なお、今作もTVシリーズだけでも全49話にもわたるので、今回は第1話から第10話までのエピソードについて紹介させていただきます。残りのエピソードについても順次公開していきますのでよろしくお願いします。






第1・2話「俺、参上!/ライド・オン・タイム」

 物語の始まりとしては十分な構成だと思う。イマジンたちが2007年にやってきた目的や契約とそれを完了したときの代償など、謎を残しつつも観客に明かされるべき設定がある程度明かされている(ちなみに今回の脚本は『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダーオーズ』『仮面ライダーアマゾンズ』でおなじみの小林靖子さんです)。だが、まだ主人公の良太郎はイマジンやデンライナーなど自分の日常とは違った場所に巻き込まれて戦ざる負えない状況で戦っていて、物語を動かす個人としての強い欲求はまだありませんね。

 ただ明かされない謎とモモタロスの濃いキャラで引っ張っている感じはありますが、全体評価としてはまずまずです。



ストーリーライン

フェーズ1

 ・2007年にイマジンたちがやってくる

 ・良太郎が不良に絡まれ、ハナのパスを拾う

 ・パスを探してデンライナーを降りたハナと入れ違う形で異世界に入り、デンライナーの乗務員ナオミからコーヒーを受け取る

 ・鈴のついたキーホルダーを探していた不良がイマジンに取り憑かれる

 ・良太郎がイマジンに取り憑かれるが気づかず、そのまま姉の愛理の元に帰宅する

 ・パスを持ってきたしまったことに気づいて再び外へ出るが、突然デンライナーとともに現れたハナにパスを返さず逃げる

 ・逃げた先で不良たちと出会ってしまい、キーホルダーを持っていると誤解されて追い回される

 ・モモタロスが良太郎の体に憑依して不良を蹴散らすが、良太郎が止め、彼が特異点であることをハナが知る

 ・ハナが良太郎に接触すると同時に不良についていたイマジンが実体化し襲いかかってくる


第1プロットポイント

 ・良太郎が電王プラットフォームに変身する


フェーズ2

 ・モモタロスが良太郎に憑依し、電王ソードフォームに変身する

 ・電王がイマジンを倒す

 ・良太郎がハナからイマジンや契約、デンライナーの存在する意味を聞く

 ・ハナが持っていた不良のキーホルダーを良太郎が受け取る

 ・良太郎が不良の仲間たちに会うが彼の様子が変であることを聞き、同時に怪物が鈴のキーホルダーを奪うという事件から倒したはずのイマジンが生きていることを知る

 ・イマジンにキーホルダーを返すが、それによって契約が成されてしまい、イマジンが過去に飛ぶ

 ・不良から2004年の12月24日に母親が死んだことを聞く


第2プロットポイント

 ・過去に飛び、不良の体を乗っ取ったイマジンの影響で現在に被害が出始める


フェーズ3

 ・良太郎たちがイマジンを追って2004年に飛ぶ

 ・電王がデンライナーを使って不良の体でタンクローリーを暴走させていたイマジンを止める

 ・イマジンが不良から離れ、電王と戦う

 ・一度は倒すものの暴走したイマジンにデンライナーを使ってトドメを刺す

 ・良太郎が不良を親の死に目に会わせる。




第3・4話「アウトロー・モモタロー/鬼は外!僕はマジ」

 前エピソードが状況に振り回される良太郎だったのに対し、今回の物語の軸としてはモモタロスと良太郎のすれ違いに重きを置かれていた。そしてサイドに今回の敵イマジンの契約者でもある山越の物語が挿入される形。

良太郎とモモタロスの二者に山越は深く関わっているが、あまりそこに引っ張られずにしっかりとモモタロスの考えを改めさせたいという欲求とモモタロスの力がなければイマジンを倒せないという良太郎の葛藤をうまくキャラクター性と感情にはめ込んで展開されていたのですんなりと頭に入ってきました。

 演技としても良太郎こと佐藤健さんがヤンキーなモモタロスとひ弱な良太郎というまったくベクトルの違うキャラを見事に演じ切って魅せてくれているのも良かったですね。特に4話中盤で良太郎がモモタロスの力を借りないと宣言するシーンのひ弱ながらも自分の意見を持って内に怒りを持ちつつもドライに接する感じが印象に残りました。



ストーリーライン

フェーズ1

 ・良太郎が山越とぶつかり意識を失う

 ・良太郎に憑依したモモタロスが山越を助け、彼とつるむようになる

 ・一通り暴れまわったモモタロスが抜けた良太郎が警察官に迫られるが、デンライナーに乗り込むことでことなきをえる。

 ・良太郎がデンライナーのオーナーと出会う

 ・山越がイマジンと契約する


第1プロットポイント

 ・山越の憑依したイマジンが願いを叶える為に金を盗む


フェーズ2

 ・モモタロスが眠った良太郎に憑依し、山越の用心棒として一緒に行動するがハナに見つかる

 ・良太郎たちの前に山越と契約したイマジンが現れる

 ・電王とイマジンが戦う

 ・山越がヤクザの金を盗んで追われる

 ・電王がイマジンを逃し、憑依モモタロスが山越を探す

 ・目覚めた良太郎がモモタロスを体から追い出すが同時にヤクザに囲まれ、隙をついて逃げ出す

 ・良太郎の目の前で山越がイマジンに攫われる

 ・良太郎を探すハナが愛理と会話し、コーヒーをもらう

 ・デンライナーに戻った良太郎がイマジンの契約者が山越であることをハナたちに話し、モモタロスが事前に受け取っていた彼の寝床に向かうもののモモタロスの力は借りないと突き放す


第2プロットポイント

 ・契約が完了され、イマジンが過去に飛ぶ


フェーズ3

 ・山越がイマジンが飛んだ過去にバンドで失敗した経験を話す

 ・良太郎たちがイマジンが飛んだ過去に向かう

 ・過去で暴れるイマジンも元に良太郎が現れ、ハナに山越にオーディションに向かうように指示を出す

 ・モモタロスの力を借りず良太郎だけで戦うが一方的にイマジンに押される

 ・良太郎がモモタロスにこれまでのことを謝罪させ、電王がソードフォームに変身する

 ・電王がイマジンを倒す

 ・オーナーから山越のその後が伝えられる

 ・良太郎とモモタロスが互いに対等な信頼関係を結ぶ




第5・6話「僕に釣られてみる?/サギ師の品格」

 今回はウラタロス登場回。直情型なモモタロスとは正反対な口八丁手八丁のウラタロスにみんなが振り回されますが良太郎の少し抜けているところがそれを上回ってくる形で鞘に収まるような形。

ただウラタロスの話がメインに寄りすぎている感じがして敵イマジンと契約した少年の話は割とありきたりでいままでのようにあまり入って来ませんでした。

 また作中内で特異点に関するメリットなどがうまく説明されていないので、ところどころ謎を残した状態で物語が進んでいるので全体を俯瞰していない現状ではなかなか感想を述べるのが難しいところですね。



ストーリーライン

フェーズ1

・良太郎が姉からのお使いの帰りにたまたま居合わせた少年と事故に巻き込まれる

・良太郎に別のイマジンが憑依する

・良太郎と少年が病院に運ばれる

・イマジン良太郎が看護師たちをたぶらかし、病院を抜け出そうとする

・少年にイマジンが憑依する

・モモタロスと新しいイマジンの間で良太郎の体の取り合いになり、目覚めた良太郎が二人を追い出す


第1プロットポイント

・良太郎が合流したハナと病院から出て行くイマジンを目撃し、追いかける


フェーズ2

・少年を襲うイマジンを発見し、良太郎が電王ソードフォームに変身する

・トドメを刺そうとするが、良太郎の疲労によって逃げられる

・デンライナーに戻ったモモタロスが新しく入ったイマジン=ウラタロスと乱闘になるがハナが止める

・ハナがイマジンの契約者を探しにいき、良太郎がデンライナーで休む

・イマジンが次々と子供を襲い、契約者の少年がそれに気づく

・ウラタロスが良太郎たちに嘘を語り、良太郎に憑依してデンライナーから出る

・ハナが契約者の少年に接触する

・モモタロスたちがウラタロスの嘘に気づく

・ハナと良太郎が合流し、嘘を語るウラタロスにハナが怒る

・少年がハナの言葉に影響されて自分がイマジンとの契約者であることを明かし、まだ無事な仲間の元に案内する

・イマジンが現れた少年との契約を完了させ、過去に飛び、良太郎とハナがデンライナーでそれを追う


第2プロットポイント

・良太郎がオーナーからウラタロスとパスを共有するのかどうかを迫られる


フェーズ3

・ウラタロスの嘘を少年に真実を語らせるための芝居だと解釈した良太郎がウラタロスがデンライナーに残ることを許可する

・イマジンの元に良太郎が現れ、電王ソードフォームに変身する

・イマジンが水の中に逃げ込み、水の中に落とされた電王がピンチに陥る(モモタロスが泳げない)

・ウラタロスが助け舟を出し、電王がロッドフォームに変身する

・電王がイマジンを倒すが、イマジンが巨大化し暴走する

・電王ロッドフォームがイスルギを呼び出し、デンライナーと連結。イマジンを完全に倒す

・正式にウラタロスが仲間になる。




第7・8話「ジェラシー・ボンバー/哀メロディ・愛メモリー」

 今回は良太郎がイマジンへの対処をしながら関係のもつれた夫婦の仲を取り持つことになる話。夫婦間のもつれというものを持ち込んでいますが、結構テンプレ的でベタベタば展開をたどるのであんまり印象には残る感じではなかった。

 むしろケンカするモモタロスとウラタロスがオーナーに乗車拒否のカードをちらつかされて仲良く肩を組む姿や良太郎の運の悪さをコミカルに描いたシーン、さらにウラタロスが持ち前の口八丁でもめている女性=ユミから夫=大林のことをなぜ忘れたいのかを聞き出すところほうが印象に残りました。それにしても、一人三役演じれる佐藤健さんがただひたすらにすごい……。



ストーリーライン

フェーズ1

・ウラタロスが良太郎に憑依し、夜な夜な夜遊びにふける

・良太郎がユミの家で目覚め、慌てて出ていくところを大林に目撃される

・ユミがイマジンと契約する

・デンライナーでモモタロスとウラタロスのケンカを仲裁することになる良太郎

・大林が愛理の店を訪れ、良太郎を呼び戻すように指示する


第1プロットポイント

・モモタロス憑依状態で外に出た良太郎がイマジンに遭遇。電王となり戦うが逃げられる


フェーズ2

・愛理からの電話で店に戻り、大林にユミとの関係を問い詰められる良太郎

・常連客の言葉からイマジンが人を攫っていることを知り、同時に大林からユミを連れて来るように言われる

・ユミを見つけ追う良太郎だったがイマジンに邪魔され、戦う

・空中を自在に飛び回る敵に翻弄され、電王が敗北する

・満身創痍の良太郎が一度デンライナーに戻るも、再びユミに接触し、イマジンとの契約内容を聞き出そうとするが失敗する

・ウラタロスが良太郎に憑依し、ユミから「夫(大林)のことを忘れる」という契約をしたことを聞き出す

・店に来てもらえるように良太郎がユミを説得するがイマジンが現れる


第2プロットポイント

・イマジンがユミとの契約を「思い出の曲を消す」という解釈で行動していたことが明かされ、イマジンが過去に飛ぶ


フェーズ3

・良太郎が電王ロッドフォームに変身。デンライナーで過去に飛ぶ

・電王がイマジンと対峙。ロッドフォームで敵を捕縛しソードフォームで勝利する

・大林とユミが仲直りする




第9・10話「俺の強さにお前が泣いた/ハナに嵐の特異点」

 今回はキンタロス登場回とハナの過去がチラつく回。互いに武道を高みを目指す者同士の友情にイマジンという要素を掛け合わせたエピソードでしたが、本条の願いを叶えるために身を呈して菊池や本条を守るキンタロスに対し、契約者の願いのために他者に犠牲を強いる敵ーーライノイマジンとイマジンによって考え方や思考に個人差があることが強く明示されているように思いました。

 そしてそのイマジンの価値観の違いにイマジン嫌いのハナが揺れ動くという連鎖反応が今後のエピソードでもどのように反映されるのか期待です。



ストーリーライン

フェーズ1

・良太郎が本条勝に憑依したイマジンと出会う

・デンライナーに乗車した良太郎がイマジンに遭遇したことを話し、同時に前エピソードで過去から物を持ち出したことをオーナーに咎められる

・良太郎とハナが共にイマジンを探すために愛理の店を訪れ、店の常連客から本条勝の素性を知る

・本条勝が強さを求めて道場破りを行う

・本条勝に憑依したイマジンが空手家を襲っていると当たりをつけ、まだ襲われていない空手家、菊池の元を訪れる

・空手家を襲っている犯人と間違われた良太郎が菊池の道場の門下生にリンチに遭いそうになりハナとともに逃げ出す


第1プロットポイント

・逃げ出した先でイマジンの憑依した本条勝に出会い、良太郎に憑依したモモタロスが電王に変身。イマジンも実体化する


フェーズ2

・菊池がイマジンと契約していたことが観客に明かされる

・本条のイマジンとの戦いに敗北したモモタロスに代わってウラタロスが良太郎に憑依し、ロッドフォームに変身する

・菊池と契約したライノイマジンが本条勝を攻撃しようとするが、本条勝と契約したイマジンがそれを妨害する

・ライノイマジンが逃亡し、良太郎が倒れ、本条のイマジンもどさくさに紛れて彼を背負ってどこかに消える

・ハナと良太郎に憑依したモモタロスが本条に憑依したイマジンに接触し、目的を聞き出そうとする

・近くにいたライノイマジンの匂いを嗅ぎつけた憑依モモタロスが電王に変身して戦いを挑むが、重装甲に阻まれ取り逃がす

・変身を解き、憑依モモタロスがライノイマジンを追うなかで菊池がライノイマジンの契約者であること、彼が強さを求めてイマジンと契約したことを突き止める

・憑依ウラタロスが菊池に直接話を聞く

・本条に憑依したイマジンとハナが会話し、イマジンの契約内容とそれゆえの行動理由を話す

・本条の元に菊池と良太郎が現れ、本当の望みは「本条と再び戦うこと」であることを明かす

・ライノイマジンが現れ、契約は完了したとして過去に飛ぶ

・本条が菊池との再戦を約束し、本条のイマジンが契約を完了したとして過去に飛ぶ


第2プロットポイント

・良太郎たちがイマジンたちを追って過去に飛ぶ


フェーズ3

・ライノイマジンが過去で暴れる

・良太郎がイマジンを追って過去にやってきて電王に変身する

・ライノイマジンが暴れた影響で瓦礫の下敷きになりそうになっていた菊池と本条を、本条のイマジンが助けて消えかかる

・消えかかる本条のイマジンを前にハナがイマジンのせいで暮らしていた世界を追われたことを明かす

・良太郎が本条のイマジンを自分の元に招き入れることを提案し、電王がアックスフォームに変身する

・電王がライノイマジンを撃破するが、イマジンが暴走し、デンライナーの力を使って撃破する

・本条のイマジンがキンタロスと名付けられ、良太郎の仲間となる

・オーナーからハナが特異点であることが明かされる

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