004−B――少女☆歌劇 レヴュースタァライト 第7〜12話(アニメ)
第7話ではインターバル回兼黒幕――大場ななの過去を紐解く回。全体的にはここが話の折り返し地点であるミッドポイントになりますが、ここで黒幕側の話を掘り下げていくというまさに鉄板中の鉄板。一年生でのスタァライトの舞台が忘れられず、オーディションで勝ち抜き何度も一年生の舞台を繰り返すななの元にひかりというイレギュラーが投げ込まれるまでが描かれていますが、黒幕であるが故に停滞した過去にすがりつくという感情移入できるが悪役らしい変化しない目的を持っていることが非常に全面に押し出されていました。
続く第8話ではイギリスにいた頃――約束を果たすために邁進するひかりがオーディションに敗れ、きらめきの奪われた状態で再び華恋の元に現れるまでが描かれていますが、約束を果たすが故にオーディションに参加し、そしてきらめきを失うという悲劇的な英雄譚のような話が展開されています。そして後半では前話で黒幕であることとそこに至るまでが語られたななとひかりが戦います。再演による停滞を望むななと夢のために前に進もうとするひかりという相容れない存在同士の戦いは構図としても非常に見やすかったです。
9話では100回目の「スタァライト」に向けての準備が進む中、ひとりその輪のなかに入ることが出来ず、取り残されるななの姿という印象なシーンで始まり、孤立しながらも過去の再演を望むななとひかりという対の翼のために彼女を否定し前に進もうとする華恋の姿が7話から続いた伏線と絡みも含めて次々に回収されていくのは非常に見やすく楽しめるものでした。同時に今作で重要でありながら断片的にしか語られてこなかった「スタァライト」の物語が観客に提示されていきます。これは後々、ラストに向けての伏線として扱われていましたね。
第10話。ついにオーディション最終日。Aパートではそわそわとする面々が描かれつつ、華恋とひかりの二人が自分たちの約束を再確認したりと最終決戦に向けた前置きが進み、Bパートから始まるオーディションでは初のタッグマッチが組まれ、華恋とひかりの前に真矢とクロディーヌが立ちはだかります。この話で一番の見せ所はやはり敗北した真矢をクロディーヌが庇うシーンでしょう。これまで散々一方的なライバル関係であることが明示されながら、それが対等なものへと変化していくのは見ていてグッとくるものがあります。そしてラストの華恋とひかりのデスマッチによって二つで一つの対の翼な関係性が一気に引き離され、物語は一気に終局へと加速していきます。
オーディションに勝利したひかりの不在から始まる第11話。対になる翼を失った華恋の迷走やそれを見るメンバーたち。その中で容赦なく進んでいく100回目の「スタァライト」と、向かう指針のない物語は混沌を極めます。しかし、華恋があることを考えたことで物語は新たな指針を与えられ再び動き出します。ここで重要なキーアイテムとなってくるのが、9話でひかりが持っていた「スタァライト」の原文本。このアイテムが華恋にある可能性を明示してきます。
そして最終話である第12話。イギリスでもオーディションで敗北した者たちがどのような末路を辿るのか知っていたひかりの孤独な選択とそんな彼女を迎えに行く華恋。だがそれは叶わないと拒絶するひかりとの戦いに華恋の敗北と物語が少女たちの心情を深く絡めながら進められます。同時にここで「スタァライト」の物語と華恋とひかりの物語がリンクして語られ、華恋の運命を覆すという選択が非常に生きてきて、それが物語の結末すらも変えてしまうという一種の逆説的なラスト非常に見ていてシビれました。
ストーリーライン
第7話「大場なな」
フェーズ1(設定)
・ナナ視点で99回「スタァライト」の様子が語られ。数日後の打ち上げで感動で涙するなな
第1プロットポイント
・二年生となり初仕事として退学した生徒のロッカーの名前を外す純那となな
フェーズ2(対立・衝突)
・第100回に向けたオーディションの開始
・「舞台に立つならみんなのための存在であることをやめるべきだ」と真矢から警告される
第2プロットポイント
・なながキリンの元に招かれ、オーディションの参加を決意する
フェーズ3
・オーディションを勝ち抜き、99回の舞台の再演を望み、実現させるなな(1周目のループ)
・再びオーディションを勝ち抜き、再演によるループを繰り返す
・ループの中にひかりというイレギュラーが紛れ込む
第8話「ひかり、さす方へ」
フェーズ1(設定)
・ロンドンの王立演劇学院でのひかりの生活
・レビューに招かれ、オーディションに参加するが2位で敗退するひかり
第1プロットポイント
・オーディションの敗退によって舞台へのきらめきを失いかけるひかり
フェーズ2(対立・衝突)
・キリンと対峙し、日本でのオーディションを告げられ参加を表明するひかり
・ひかりとなながオーディションで戦う(クロディーヌと華恋が戦いが挿入される)
第2プロットポイント
・かつてのきらめきを取り戻したひかりの武器が変化する
フェーズ3
・ひかりがななから勝利を勝ち取り、華恋がクロディーヌに勝つ
第9話「星祭りの夜に」
フェーズ1(設定)
・第100回「スタァライト」の脚本(第一稿)が完成する
・みんなが再演に向けて動き出す中、一人取り残されるなな
・第99回「スタァライト」のダイジェストが原文を読む華恋とひかり、ななのモノローグ付きで語られる
・ななが自分が99回舞台を再演していることを純那に語る
・オーディション七日目が開始される
第1プロットポイント
・再演を変えたのがひかりではなく華恋であることに辿りつくなな
フェーズ2(対立・衝突)
・華恋とななが戦う(まひると純那、ひかりと双葉、香子とクロディーヌが戦いが挿入される)
第2プロットポイント
・華恋がななに勝利する
フェーズ3
・傷心のななを励ます純那
・ななが自らの悩みを打ち明け、ループという再演による停滞ではなく前進を決意する
第10話「されど舞台はつづく」
フェーズ1(設定)
・オーディション最終日が告げられる
・ななと純那、双葉と香子、華恋とひかりとまひるから最終日の心境が語られる
・部屋から追い出され、水族館を回る華恋とひかり
・入学試験の際からの心境を真矢に語るクロディーヌ
第1プロットポイント
・オーディション最終日が始まる
フェーズ2(対立・衝突)
・上位4人によるタッグマッチが開催され、真矢&クロディーヌと華恋&ひかりで戦うこととなる
・華恋が真矢から勝利を勝ち取る
第2プロットポイント
・クロディーヌが「真矢は負けてない」と庇う
フェーズ3
・勝ち残った華恋とひかりが戦うこととなり、不意打ちの形でひかりが華恋から勝ちを奪う
第11話「わたしたちは」
フェーズ1(設定)
・ひかりが勝利し、運命の舞台が始まる
・オーディション終了一日後、ひかりの退学が告げられる
・ひかりの不在の中で着々と日常が進んでいく
・第100回聖翔祭が近づく
第1プロットポイント
・ひかりの不在によるきらめきの喪失とひかりがきらめきを無くしていたことを気付き涙する華恋
フェーズ2(対立・衝突)
・華恋がスタァライトの原文を訳しはじめる
・華恋が原文のクレールの幽閉からひかりがあのオーディション会場にいると気づき、オーディション会場への扉をこじ開けようとする
第2プロットポイント
・華恋の声に呼応するようにオーディション会場への扉が開く
フェーズ3
・オーディションへと降りる華恋にクラスメイトたちが言葉を託す
・華恋が終幕へのチケットを手にし、足を踏み入れる
第12話「レヴュースタァライト」
フェーズ1(設定)
・華恋がひかりのいる運命の舞台に降り立つ
・一人、スタァライトの舞台を繰り返し続けるひかり
第1プロットポイント
・華恋がひかりと再会する
フェーズ2(対立・衝突)
・ひかりが華恋との約束を思い出すが戦うこととなる
・キリンが観客(視聴者)に語りかける
・華恋が上掛けを落とされ、ひかりが再び孤独の舞台に立つ
第2プロットポイント
・華恋が再び立ち上がり、舞台のアンコールが始まる
フェーズ3
・新たな舞台が始まり、そこでひかりに華恋に勝利し、彼女を助け出す
・華恋とひかりが主演の新たな第100回の「スタァライト」が上演される
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