第15話
遼くんは2年後、こちらに戻ってきた
私は卒業し、地元の企業に就職し
そして
今では......
パパとママが残してくれた家で
大切な家族を持った
「愛、そんなとこ、開けちゃダメよー」
ゴソゴソとお仏壇の引き出しを触る娘を横目で見ながら、晩御飯の支度をしてた
娘が急に走ってきて、差し出したもの
「ねぇ、ママぁ、これなぁーに?」
愛が持ってきたもの
それは
ママからのお手紙
「これ、どこにあったの?」
「ママ。こわいー、えーん」
「どした?愛」
「パパぁー、グスッ、ママがおっきなこえで」
「んー?そっか、おいで」
「愛美?どうした?」
「遼くん......これ」
20歳のお誕生日おめでとう
もう、ママからの願い事はありません。
なぜなら、愛美はこれを読む時、
きっと、笑顔でいると思うから。
もしも、
隣に大切な人がいたとしたら、その人の幸せを願ってください。
自分の大切な人の幸せを願う人は
きっと、自分も幸せでいれる、笑顔でいれるそう、思うから。
結局、願い事書いちゃったね。
愛美、人を愛する気持ちを忘れないで
ママは空からずーっと愛美のことを見守ってるからね
からくり引き出しの中から出てきた古い封筒は紛れもなく、どんなに探しても見つからなかったママからの7通目のお手紙だった
涙が止まらない私の背中を
遼くんが大きな手でさすってくれる
「ママ...ないてる」
「大丈夫だよ、愛、ママは嬉しいんだよ」
「うれしくても、なくの?」
「そうだよ」
「ふーん」
不思議そうな顔をした娘はリビングへ走って行って、また、ガサゴソと遊び始めた
彼は満面の笑みで私の涙を拭いながら言った
「ほらぁ、俺の言った通りじゃん」
「どういうこと?」
「手紙だよ。愛美のママはさ、側に俺がいることわかってんだよ、きっと」
「そっか...そうかもしれないね」
遼くんのあったかい胸に顔を埋めると
すーっと、涙が止まった
見上げると愛する人の笑顔
「遼くん......愛してるよ」
「エヘヘ、急になんだよぉー」
「もう、こういう時は俺もだよって言うんでしょー」
「あっ、そうか」
照れ臭そうに頭を掻く彼の頬にキスをした
ママが私に伝えてくれた言葉は
今の私を作ってくれた
最後のお手紙が見つからなかったのは
きっと、もうママの力はいらないでしょって遼くんにヤキモチ焼いたのかもね
だって、今、私が笑っていられるのは
愛する人が側に居るから
願い事は......
もうこれから、ずっと、変わらないから。
7つの願い事 ノン❄ @non_non129
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