第14話
パパがママのところへ行ってしまった
「遼くん、私一人ぼっちになっちゃった」
親戚の人達は口々に私のこれからのことを話してたけど、私はここにいたかった。
パパとママと暮らしたこの家を手放すつもりもなく、ここで1人で。
悲しんでいる間もなく次々と諸手続きに追われ一通りのことも終わった頃、大切なことに気付いた
パパ、ママからのお手紙...何処にあるの?
いくら探しても見つからなかった
もうすぐ20歳の誕生日を迎えようとしていた
ママの願い事が私の支えだった
最後だったのに、
ママの声が聞ける最後の...
「愛美、手紙がなくても、最後の願い事はいつか、きっと、わかる日が来る気がするんだ」
「わかんないよー、そんなの」
泣きじゃくる私の目の前に来た彼は少し屈んで顔を真っ直ぐと見つめた
「愛美の前には誰がいる?」
「遼...くん」
ふわりと笑って見せた彼の指が私の頬に触れた
「涙を拭ってるの?」
「遼くん」
「愛美のママもパパももういない」
「酷い、どうしてそんなこと」
「ごめん......
でもな、俺はここにいるから。
愛美が泣いてる時抱きしめてあげられるから。
手紙がなくても、ずっと俺がいるから」
「遼...くん
泣いてるの?」
涙を隠すように背を向けてしまった彼の背中に顔を押し当てた
ゆっくりと振り返って包み込むように抱きしめてくれた遼くんは低い声で言った
「20歳の願い事は......
愛する人の側を離れないこと
俺は絶対、愛美の側にいる」
「遼くん
ごめんね......ありがとう」
数日後、迎えた20歳のお誕生日
私は大切な人と過ごした
そして、
空に向けて、とびっきりの笑顔を見せたんだ
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