第13話
遼くんからの連絡はないまま
私達は離れ離れになってしまった
どちらかが、ほんの少しだけ素直になれば良かった。たった、それだけ。
なのに、何度もRの連絡先開いては、
発信を押すことが出来なかった
年が明け、今年1番の寒さと言われた朝
いつも先に起きているパパの姿がなかった
「パパ?」
ベッドの下で蹲ってるパパの姿
慌てて、救急車を呼んだ
長い手術の結果、何とか一命を取り留めたものの、予断を許せない状況
どうしたらいいんだろう...
冬の冷たい夜、病院の中庭に出ると
三日月がぼんやりと見えた
私はほぼ無意識に近い状態で気付くと
あれだけ、躊躇っていた遼くんに発信していた
「もしもし?」
「......遼くん」
「愛美?」
久しぶりに聞いた愛しい声が心を溶かしていく
「遼くん...遼くん」
「どうした?愛美?」
「遼くん、遼くん...ウッウッ..遼...くん」
「愛美!」
「パパが...グス...倒れたの」
「わかった、すぐ行く」
朝方、息を切らして病院へ着いた遼くん。
昨夜遅くの電話からどうやってここまで来たのか...
抱きしめてくれるあったかい腕の中で
ただ、ひたすら、彼の名前を呼んだ
「愛美、ごめんな。もう、大丈夫だよ。
俺が側にいるから」
遼くんは出来る限り、病院へ来てくれた
私にいつも寄り添ってくれた
でも...
夏の終わり
パパは空へと旅立った
悔しい涙
悲しい涙
愛しい涙
切ない涙
この1年でたくさんの涙を流した私は
20歳の誕生日を迎えようとしていた
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