第11話

夜景の見えるお洒落なレストランを予約してくれて、美味しい食事をしたのに、

お店を出るなり、「腹減った」って...遼くんらしい。

可笑しくて大笑いした。

結局、ラーメン食べに行って...


バイクで夜の海岸沿いを走ると潮の香りがした。

頬に伝わる彼の温もりがとっても安心する



「愛美、着いたよ」


「ん?ここ何処?」


見慣れない場所


「いいから」


「遼くん?」


「先週ね、引っ越したんだ。実家から会社まで遠かったし、部屋借りたの」


「えー、どうして、言わないの?」


「えへへ、何かさ、言うより先に愛美を連れて来たかったんだ。

って言っても狭いところだし、まだ片付いてないんどけど」


私の手を引いて嬉しそうにポケットから片手で鍵を出してドアを開けた


「どうぞ」


「あっ、どうも」


「ハハハぁー、愛美、何その顔?」


「へ?私、変な顔してる?」


「してるよー、まさか緊張してんの?

俺だよー、俺ん家だよ」


「だ、だって、遼くんだけど、やっぱり、こんな感じって」


モジモジしてる愛美が可愛くて

不意打ちでキスをした


目を丸くして、びっくりしたけど、

すぐに笑って俺の腕をぶらんぶらんと振りながら、照れながら上目遣いで言った


「2人...だけだね」


「うん」


当たり前だろって、また、からかいそうになったけど、愛美のその顔が一気に俺を高揚させてしまった

...ことには全くわかってない様子


腕に添えられたちっちゃな手を解いて、

腰の辺りから持ち上げるように抱きしめた


「きゃっ、遼くん」


「19歳になった愛美は少し成長したかな?」


「確かめて...みる?笑」


「うん、しっかりとね」


ベッドに下ろして、親指で頬をなぞるとニコリと笑ってゆっくり目を閉じた


付き合い出した頃より、ずっとずっと成長してるよ。

俺がついていくのが必死なぐらい。


丁寧に沢山キスをして、彼女が身体を捩らせる度に抱き寄せて、待ち受けている場所が潤いに満ちた頃、1つになる


お互いの息が混じり合う時

求め合う心と身体が達した


「ハァ、愛美...すごく...いい女になったよ」


「遼くんが...大好きだから...グスっ」


「どうして泣くの?どっか痛かった?」


「うううん、わかんない...わかんないけど、涙が勝手に出てくる」



ママ、

この涙は愛しい涙なんだよね


抱き寄せて髪を撫でながら、遼くんが言った



「いっぱい、泣きな。いくらでも...」



私の19歳のお誕生日の夜が明けようとしていた。

あったかい彼の胸を幸せの涙で濡らしながら...。








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