第6話
大人になりたい気持ちと
ちょっぴり怖い気持ち
半分半分だったのに、
遼くんに触れる度に大人になりたい気持ちが少しずつ増えていく
遼くんはどう思ってるんだろう
「愛美、明日、卒業式の後、皆と行くだろ?」
「行くよー」
「遅くなっても大丈夫なの?」
「うん、明日は特別に許してもらった」
「そっか」
「なにー?遼くん」
「いやっ、別に」
隠し事してると、すぐ顔に出るんだから、
遼くん、何考えてるんだろ?
式も終わり、一旦帰って制服を着替え、
紗希の家に集合。
いつもの4人に加わり、クラスの友達もたくさん集まった
「愛美、ちょ、ちょっと」
手招きする遼くんのそばに行くと、手首をギュッと掴んで玄関の方へ引っ張っていく
「遼くん、どうしたの?」
「抜けよ」
「え?」
「いいから、来いって」
いつも優しい遼くんが少し怖かった。
私の手を離さず、早足に歩く彼
「ねぇ、遼くん、手、痛い」
「あっ、ごめん」
「それに、顔...怖いよ」
口元に手を当てて躊躇いがちな遼くんがすっと息を吸って顔を上げた
私の肩に両手を置いて、真っ直ぐに見つめると低い声で言った
「俺...愛美のこと好きだよ」
「うん、私も...」
「なら...」
「ん?」
俯いた遼くんの顔を覗き込むと目の前が一気に遮られた
「俺...愛美の心だけじゃなくて......
全部......欲しいんだ」
「うん」
「いいの?」
「......うん」
見上げると優しい彼の顔がいつもより大人びて見えた
遼くんの言う全部って意味
私だって...
少しずつ増えていってた彼を求める気持ち
抱きしめられて、わかったよ
もう、既に遼くんに全部埋め尽くされた
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