10話ー7章 カードゲームのある日常




「ふふ。それは良かったですわねぇ」


学校の屋上。


望美はいつものように、巻宮や晴香とお弁当にしていた。


話題は昨日の美命との一件だった。


「美命ちゃんの笑顔。……見たかったなぁ」


晴香は美命ちゃんの笑顔を頑張って想像しているようだが、なかなか難航しているようだった。


まあ、以前の印象からは想像しにくいのは分かる。


というか、望美も実際に見たのは試合中の一瞬だけで、よく覚えていないのだが。


「あと、見てよこれ!!」


そう言って望美は端末のアドレスを2人に見せびらかす。


「あら、これは望美さん念願のものじゃありませんか!!」


「えっ!!天糸さんのアドレスじゃん!!いいないいな~」


へ、へ~んと端末を印籠の様に掲げて自慢する。


「お、楽しそうだね」


「おいおい、俺たちも混ぜてくれよ」


そこに新地と木場もやって来て、より賑やかになる。


「くぅ~、聞いてたらクロユニやりたくなってきたぜ!!望美ちゃん、相手してくれよ!!」


今日こそは勝てる気がする、と根拠のないことを言いながら木場は端末を構える。


『いいですね!!やりましょうよ、マスター!!』


望美が何も言わない内から、ドロシーはやる気満々だ。


「いいですよ。負けませんからね」


もっとも、望美もすっかりやる気になって準備をすすめていた。


端末を操作し、ホルダーをセット。


十分に離れて対峙したら、あとは勝負を始めるだけだった。






 ―――――――― ニューロビジョン「接続完了」 ――――――――


―――――――― 〈クロス・ユニバース〉「起動開始」――――――――










そんな、学校の昼休みの光景


いつものように集まって、いつものように盛り上がる。


食べて、話して、ゲームして。


転校して来てまだ日も浅いわたしが得た、大切な大切な日常。


明日も明後日も1年後も、こんな日々が過ごせることを願ってわたし達は笑う。










【最終話 交差する思い  ―――終―――  】 








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