髪
女子を見るときのポイントは、胸や足、あとやっぱり顔。男子高生の俺らが話題にするのはだいたいそのへんのパーツだった。
だから女子が、髪型を変えた、シャンプーを変えた、髪型が上手くいかなくてテンションが下がると騒いでいても気にも止めなかった。
うつ向いた時にサラリと落ちる髪にも、どうやっているのか分からない編み込んだ髪にも、雨の日の湿気でポワンと立ってしまったアホ毛にだって、特別な印象を持ったことはなかったのだけれど。
今日、俺は生まれ変わった気がしてる。
「あ、男子だー」
紺色の暖簾をくぐってすぐ、まるでタイミングを合わせたかのように朱色の暖簾から出てきた女子たち。
湯気の香りと、温かい床。
じわりと噴き出す背中の汗。
乾いた喉と火照る足。
見ると、同じクラスの女子二人が女湯から丁度出てきたところだった。
「気持ち良かったねー」
「ねー!」
そんな風にキャッキャと楽しそうに話す二人を見た途端、体にピシーンと衝撃が走った。
濡れたせいで、いつもより黒く見える髪の色。
いくつも出来ている細い毛束。
ダイレクトに香ってくるシャンプーの匂い。
彼女たちの半分濡れた髪の毛に、俺の目は完全に奪われた。
「……か、髪、半乾きじゃね?」
「だって中かなり暑いし、ドライヤー混んでるから。 ね?」
「うん、みんなだいたい乾かしたら終わらせてたよ」
――みんな? 女子みんなこの状態で出てくんの!?
あの子の、肩にかけたままのタオル。
あの子が、胸に抱えたタオル。
全身を拭いたであろうタオルが気にならないこともない!
けど!!
けど!!
頬に首に張り付いているその細い一本を、服の中に水滴を落としそうなその一本を!
触ってみてぇーー!!!
姉ちゃんの漫画で男が女子の髪を乾かすシーンあったけど。姉ちゃんがニヤニヤしてるの見て、変なのって思ってたけど。
なんだ、あれ、男が得してんじゃねーか!!
ちょっと火照った頬を隠す濡れた髪、最高! 俺、今日ずっとここにいよ!!!
*******
みっつめは髪でした。
昔から髪は女の命と言われているくらいですからね、きっと大事ですよね。
私は髪が黒くて太くて多い方なんです。
平安時代だったらモテモテかもしれません。
でも現代人の私にとっては悩みの種でもあります。カラーは入りにくいし、パーマはすぐ取れちゃうし。(つい最近、トリートメントも入りにくいことが判明しましたw そんなとこ強くなくていいんだけど!)
でもそんなことよりも一番キツいのは……段を入れないパッツンカットが流行った時です。
えぇ、もうお分かりですね。
ちょっと老けた『ちびまる◯ちゃん』が出来上がります。
ちーん。
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