胸
8畳の1Kに女の子と二人きり。しかもただの女の子じゃない。同じバイト先の気になる子!
上がりの時間がたまたま一緒で、なんなら帰る方向も一緒で、しかも同じゲームにハマっていたというミラクルが起きた。
勢いで部屋に誘ったけれど、断られるのがオチだと思ってた。
『敵の倒し方教えてくれる?』
ミラクルが重なりに重なったけど俺大丈夫かな。死ぬ? 心臓はびっくりするくらいドキドキしてるけど……死ぬ?
「弱いって~!」
こんな状況で普通でいられるわけがない。いつもなら軽く倒せるはずの雑魚キャラにも苦戦した。
狭い部屋にお洒落なソファーなんて置いてない。ベッドに腰かけた俺と、すぐ傍の床に腰を下ろした彼女。
ケラケラと笑う彼女の肩は時折、俺の膝にぶつかっている。
バイト中に汗かいたから、と頭の天辺あたりでお団子に結った髪が斜め下で肩とともに揺れている。
汗かいたらしいのにいい匂い。女子は汗まで女子なのか、なーんて鼻の下が伸びて――待て! そんなことよりも!!
ユルッとしたTシャツの襟首。
テーブルとベッドの隙間だからこその体育座り。
コントローラーを握るための前傾姿勢。
見ちゃいけないと思うけど、今だけ視力が3.0になればいいのにと下心が騒ぐ。
「これ借りるね」
ふと彼女がクッションを抱える。
おそらく自分でも胸元が開きすぎの服を着ていたことを思い出したのだろう。ぎゅっと強く抱える彼女の様子を見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
だから俺ってダメなんだろうな。
背中もだんだん丸くなる。落ち込んだ分、頭も下がった。
「このクッション、いい匂いがする」
「へっ?」
クンクンと大袈裟に匂いをかぐ仕草をした彼女の脇腹付近が下げた頭のすぐ傍にあった。
目に一番に飛び込んできたもの、それは……相当柔らかいはずのクッションに押されて潰れた彼女の胸。
俺のクッション!!
俺のクッション!!
俺、クッションになりたーーい!!!
*******
ふたつめは胸でした!
大きさは個々の好みがあると思うのですが、個人的に、胸の良さは『柔らかさ』ではないかと思っています。個人的にね(笑)
あ、そうだ。
中学生の時に、クラスの男子の間で『果物をひとつ思い浮かべてください。 さぁ、それは何?』という心理テストもどきのものを女子に出すというのが流行っている時期がありました。
『答えた果物=その女子の胸と同じ大きさ』という意味だったらしいのですが。
……私が何て答えたかは省かせていただきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます