~昂の疫売屋~
「おっほほほほほ」
男は
自身の体を響き渡った、心地の
現在の仕事の後始末をしてしまおう、と腰を上げたところだった。
ベストタイミング。
「んっふ……おっほほほほ。のんンっびりと絶頂している場合でンはありまっせンねぇ」
ここは
すぐにでも近場の
「……。さぁって
位置情報の共有を切っている自身のタブレット
園内のゴミ箱にペーパーカップを放り込み、続く足で
そこでまたも、ベストタイミングが男を待ち受けていた。
五分とせずに辿り着いたマンションの共用廊下。開いたエレベーターのドアの先では、目的の少年が姉のような女を
ここへ向かう道すがら散見した魔法少女たちの動向から
好都合に
偶然などという
「おっほっほっほっほ――。おーーっほっほほほほほほほンぉっほっほぉお!!!」
視線が集まる。
だが目の前の少年少女と青年美女から浴びせられる注目など、男の
「あああぁぁぁ。イイぃ、お
「なんっだ、このキショイおっさんは」
ぱから、ぱから、と鳴らす革靴を青年の頭の近くで止め、男は
フロアに現れてからの
「おっっほほほほ。ああぁ、あなった、いいィ臭いを
「に、におい……?」
「えぇえ、ここンへ
「んなんっ……そうだけど、なんでそれを――」
「ンおっほほほほ、今っ私はほざいたでしょう。同じ
ハイテンション。
無駄にハイテンション。初めからずっと、変わらない無表情に周囲が困惑する中、
「……
「不幸……屋さん?」
「えぇえ。私は
過去、同じように不幸屋の前で小さく身震いして見せてくれた少年、かつての顧客だった少年は、
「いまさら、何をしに来たんだ」
ここへきて、男は立ち上がった。
「ナニって……それはあなたンの不幸を買いっ取りにンでっすよ」
表情と呼べる顔面の変化を見せて。
不幸屋が新しい顧客とする少年へと向ける目を、細める。
「あなたンが不幸をおっ買いなさった
とても楽しそうに目だけを細めていた。
「おっほほっ」
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