1 ~偶の疑少女~
昨日の月曜日、イワオくんはお休みだったらしい。
放課後に合流した
その後は、
その十分も、数台の自転車とおばあちゃん三人組に
この日、この一週間、ひいては一ヶ月の事件や問題は、急転直下の解決を迎えることになる。
「それじゃあ、結局イワオくんは今日も学校をお休みしたというのね」
「「うん……」」
小学校の方には両日とも、本人から
調査の休憩と作戦会議を兼ねたお茶会だったけど、夕暮れ前に来た
学校から家が近いという
「お。やほー、トモナー。いーところで会ったね」
「会った、というよりも、普通に待ち伏せていたんですけどね」
「あっははは。まーた
出会って間もないながら既に聞き慣れた、漫才じみた会話。
今日は学校帰りなのか、はだけたカーディガンの女子高生は、以前は持っていなかった学校
「み、ミサキさん!? どうしてここに……?」
まだ空を赤らめている夕陽と替わるように
「あの方たちは、確かこの間の
「えっ? あーうん、ちょっとね。……え、えへへ」
そういえば、
けれど、そんな些細なことよりも気になったのは、
今まで出会った二回とも持っていなかったミサキさんの学生鞄にも気は引かれる。しかしそれ以上に、つばを後ろに被ったキャップ、タイトなブラウンのシャツにスカートレギンス、しっかりと足首などで留められたスポーツサンダルという、過去二度のゆったりとした印象とは全く違う
少なくとも、『待ち伏せていた』という彼女のセリフは友好的なものではない。
「まー、今日来たのはモチの
「こないだ会ったときに話した事件のコト覚えてる?」
「「じけん……」」
「っていうと、男の人が夜な夜な襲われている、とかいう事件のことですか?」
またも突如現れた女子高生探偵に、双子ちゃんも
そんな双子ちゃんに代わるように、
「そーそーそれそれソーランソーラン――じゃなかった」
「
「分かってる分かってるし。てかあれ北海道のやつだったんか」
「はい、またズレていますよ、お話」
お約束の横道から帰ってきたミサキさんは小さく
「えーっと。なんだっけか。男が襲われてるって話か。実はその事件、あれから進展があったんよ」
「それは、良かったですね。ニュースとかでもあまり見ない事件ですけど、解決できそうならそれにこしたことはありませんし。でもなんでそれを私達に……?」
「前に、あーしが『野生の魔法少女知んない?』って聞いたの、覚えてるっしょ」
「話の流れからしてなにかしら関係があるのかな、って思ってはいましたけどそれが……? まさか、
ミサキさんは頭を横に振る。
「うんにゃ。フレアーはカンケーナッシングっしょ。言ったのは野良……じゃなくて野生の魔法少女。まあ今までの話で男を襲撃してんのは魔法少女だってのは
捜査を
また被害男性から
そして襲撃者の魔法少女は、通常ではあり得ない、二つの性質の魔法と
淡々と、説明をしていくミサキさん。
そんな彼女は、ここまで語ったところで、少し間を取った。
「……と、まあ。イロイロとあーしの推理を並べてみたんけど、ちょっちここで別の話すんね。あ、ズレては無いから安心して。実はあーし、この事件とは別にある人物を追ってんだけどねー、こーれがまたとんでもなく
それは
奇跡を無視して魔法少女を生み出し
「その男に絡まれてたっていうのがえーと、確か
「「「っっ!?」」」
その目の向けられる方へ引っ張られるように、背後へ振り向く。
どこか怯えているかのようにも見える彼女たちの目線へ合わせるように、
「あーしは別に
「――。ぁ……」
何か言おうとして、しかし出す言葉が見つからないのか、左腕にしがみ付く妹の手を取ったまま、
いろいろと理解が追い付かない。
そこで、いま一度、
「あ……あんた……アホなんちゃう」
「――え?」
間を置いてミサキさんが
「その、
「そもそもウチら、魔法少女とちゃうし」
横顔を見るだけでも、ミサキさんはぽかんとしているのが
呆れと
「ま、まじで?」
「ホンマに知らんし」
「じぶん、探偵や言うんやったらうちらがウソついてるかどうかぐらい、わかるんとちゃうん」
「あー。うん。おけおけ。まるまる。そーだね。確かに、ウソついてるってカンジじゃねーけど……。あれ……? でも――うーん?」
その二人に、これまでの自信満々だったり、自由奔放とした体を成していたミサキさんが、初めて動揺を見せていた。
恐らく、よほど確信や自信があったのだろう。「けどやっぱ――いやだったら――もしかして――うんにゃそれなら――いやそんな――」と、探偵魔法少女は見た目的にも、
そんなミサキさんの取り乱し様にどうしたものかと
あられもない女子高生探偵の助手たる
こちらもまた、双子ちゃんとはまた少し違うニュアンスで呆れている。
しかし、
「……まさか――! でもそんなこと――」
それは、
何かに例えるのも難しい、地響きとも違う
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