~掠の追歯牙~
五月十五日。
夜。
深夜とまではほどいかない、
人通りもなくなりだした池のほとりへ、一つの人影が
その人影は、どこか不自然な歩き方をするパーカー姿の少女。
パーカーの
それは数十分か十数分か。
少女の影が
少女の進行方向から
そのまま
「おいおい。女の子がこんな時間に、ヒック、一人で何やってるぅだ~?」
正気とは少し違うのか、
「どこに行くぅんだ? 一人じゃ危ないだろぉ。おにいさんが送ってっててやろうか」
「……ううん、大丈夫だよ」
突然
が、
「おいおい。つれないこと言うなよぉ。おにいさんが守ってやるってつってんでしょぉ。大人の
その少女の右腕を掴み、男は強引に引き戻した。
「っ
「
気が
その勢いに一瞬
「だから、いいって言ってんじゃんっ」
「おいおい。強情だなぁおい! 良い身体してっからってお
フードに隠れた、少女の目に怒りの火が
「キモっ。なにがナイトだし。
「ぁあ!? ガキがいきがってんじ――」
「ぁがっ!?!?」
「!?」
頭に受けた衝撃に、
身体を低くしていたフードの少女は、
「ッ……ど、どこから――」
少女。
パステルピンクのドレスを身に
フードの少女は、
飛んできたのだ。十メートル以上は
常人の域を
それが出来るのは、この
そしてフードの少女の記憶に、
「釣れたし……!」
「っ!?」
その気配を
その隙を
「
起こす体に
その
「だから、私のことをネコと、呼ばないでくださいって言ってるじゃないですか。ミサキさん!」
そのバケットハットを
「ハメたのか……!」
「おー。
男だけに向けられていた
「えーっと、また話ズレてたな。ハメたのは半分セーカイ。キミを
「……」
笑みは
「あーしは
「っ!!」
ここで初めて、パステルピンクの少女は動揺を
公園の街頭に映しだされる小ぶりで可愛らしい幼さの残るその顔は、
その時、心の揺らめきか、それともシンデレラの魔法が
「っッ」
「あっ、しまっ――」
「ちょい待ち――ってあだだだだ!!
「何をやってるんですか! だから、そんな
ミサキは西へ走り出す強襲の魔法少女を追いかけようとするが、
「そんなこと言っ――あでっ、あたたた、さっき尻打った時に……! ああもう! 魔法少女ちゃん! あーし
やがて園内は近くを通る車の走行音だけを残し、元の
「
「はい……。いや、私あの人たちの連絡先、知らないですけど」
「あっははは。そーだったそーだった。ゴメンゴメン」
右足を
「ミサキさん……?」
「んー。
「え……は、はい」
しかし、もう一度パステルピンクの少女が走り去った方向を見つめる彼女の
(にしてもあの
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