6 ~鉄の夢少女~
五月十六日。
夕刻。
「なんでこんな時に
空腹の
旅館からしばらく南下した
それに
それでも
その間に、
「アンタがフレアやな? 話は聞いてる! 来てくれたばっかでゴメンやけど、
「うん! まかせて!」
向かう先、
その
「
それに大声で答えて、大通りの真ん中に着地した足のバネで、勢いの向きを調整する。狙うは相手の頭の下。
オオサンショウウオ型のディザイアーは一瞬だけ
「えっ……。うっそ」
「あー。やっぱアカンか……」
「やっぱり?」
「あいつ。影の体のくせに、どっから出してんのか、
火炎の攻撃が終わったのを見て
「他にもう一人、
最初に
「わたしはカリン。こー見えて
それでも、カリンさんの指示に
国道1号線
「やっと出てきよった。巨大ロボ女。いっつも遅いねん、まったく」
待ちくたびれたとでも言いたそうな
少女の
いつしか鳴り止んだ警告音に
『鋼鉄の魔法戦士アイアンハート、ここに参上!
完全に
その
『キュー
再び叫ぶ少女の拡声に、構えた大盾から
それを見届けるや
それによってバランスを
『きゃあ!?』
少女の悲鳴を
『あだだばだばばばばば――――!!』
「…………」
これが、カリンさん達が待ち
そう思ったのも
「大丈夫や」
「あれは、わたしら関西の
『あーもう。尻尾だけなのに重いなー。こりゃ。キュー
大剣を
「
「――魔法ありきやけど、ついに巨大ロボットを実現させよった関西きってのド
『パンク!』
『へっ――!?』
予想外の状況に体勢を崩した鋼鉄の魔法戦士は、巨大
『ちょ
「…………」
「言いたいことは分かるけど、まぁ、あれでも
無言でその様子を
オオサンショウウオ型ディザイアーに
『いちちち……。うわこいつディザイアーのくせにめっちゃぬめってしよる! ちょっとカリンー! こんなんなんやったら
「知らんわ! そのディザイアーの特性は最初の方に
なぜかリサ先輩の顔が
『そんなん
「自分の相棒の名前をアロハみたいに
『ほな何かええ感じの
「アホなこと
『ホンマや――おわぁ!』
「
鋼鉄魔法戦士アイアンハートが落下した衝撃でオオサンショウウオ型のディザイアーの
そこへすかさず、お返しと言わんばかりに大型ディザイアーはアイアンハートへ襲い掛かる。
『あたっ――ぅおわたたた! ちょ
国道1号線に横たわる巨大
ようやく背中から離れた鉄の巨人へ、
『しつ……こい……!』
巨体同士が
『マジカル・ストライク!!』
巨大ロボットの胸元
反動で
『――っく……。まだま――』
勢い殺し、
『――ダぁっ!?』
が、右足を一歩
だけど、
「メイデン、アンタまさか……!」
『あ、あははははは……。そのまさか、もう
「んな――」
重い空気を
「――アホか! 戦うための魔力ぐらいちゃんと温存して現場
『しゃーないやん!
「新幹線
『女の子の買い物に上限なんて無いんですー! てか、別にオフの時にあたしがどこで何しようと
「アンタ今日
『あれ…………………?』
「忘れとったんかい!!!」
『あーっと。そんなことよりも、ディザイアー動き出しよったで!
さすがにカリンさんも人類の脅威は無視できないため、
「絶対
『ちょっとー。ルビが逆になってんでカリンー?』
「そうや。フレア。アンタが
メイデンの抗議も
「え? う、うん!
『なに、その
「あ。えっ……はい!」
すると少女の拡張音声の後に、さっきまでの
跳ね橋の
視界の
ええいままよ。と、
ぴょーん。という擬音でも付きそうな足取りで、高さ五メートルはありそうな
金属物らしい
『えっとフレアやったっけ。内部通信
そこへ、さっきまでよりは鮮明になった少女の電子音声が、やり場のない感情に気を
「あ、はい! 聞こえるよ!」
『おっけ。ほな説明するけど、やってほしいのは一つだけ。目の前におっきいオーブみたいなんがあるからそこに向かってなんか魔法
「わ、分かった。えぇと、でも魔力が
『ああうん。魔力やと一人一人の性質とかなんやらがあるしいちいち調整してられへんから、
「な、なるほど? じ、じゃあいきます……えぇい!」
言われるがまま杖に魔力を込めて、ふとこの
しかしその心配も必要なく、杖から放たれた炎は勢いそのままに、噴き出されたそばから目の前に浮かぶ
『おお、きたきた! よっし
「……あれ?」
『あー。今のだけじゃ
「えっと、さっき動けるのが一、二分
『……(一般的な……一人分の――やと――)』
「え?」
どこから聞こえているのか分からないスピーカーから、ぼそぼそといきなり音量の小さくなった声が
もう一度
『……このアイアンハートは
「どこの宇宙究極戦士!?」
『
「五分しか戦えない最大戦力ってどうなの……」
『いや四分』
「もっとダメじゃん!!」
衝撃の
『メイデン!』
外に居るカリンさんの叫び声が目に見えないスピーカーから聞こえると同時に、外からと
メイデンさんと二人、小さく悲鳴を上げて、外部の映像に気を向ける。
正面を中心に
『っく……! フレア! その部屋は魔法を吸収するために作られてるから、思いっきり魔法使っても
「っっ……! う、うん!」
メイデンさんのやや
『お。おおお! これはいける!!』
しかし
元は
そして影の
『っ!?
ギリギリ音声を拾っているのか、ややくぐもったカリンさんの冷静な分析が現状を少しだけ
モニターに再現されるのは、転々と外の光が漏れる
『こんなモンで、あたしが止められるかー!』
「メイデンさん!?」
『フレア! アイアンハートは、魔力さえあれば最強なんや。アンタの変身とかが解けるまでとは言わへん。魔法を出し続けてくれれば、この子はもっと戦える。頼んだで!』
そう言ってパイロットの少女は、ギシギシと音を立てて
それに負けじと、
「大丈夫!
『ええやん! ほなしっかり頼むで!』
「うん!」
姿は見えないけど、片時の
『カゲ! たかがでっかいだけの怪物が、ナメんといてや! こんなんであたしに勝てるて思っとったら
全身を
『あたしは、この
ドンッッッ!!!
と周囲の空気と硬いアスファルトを弾け飛ばし、反応すらもさせずに大型ディザイアーの
『ホンマに
「ッッ!! 了解!!」
応じるや、加減も忘れた
今度はかろうじて見えた
飛び出した
それを、かつてのルナちゃんの強大な一撃をも
『マジカル・アンリミテッドストライク―――――!!!』
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