2 ~姉の美少女〜
「あ―――……。やっと終わったー………」
二〇八九年の五月は十一日。
三時間目の終了時刻を
そしてその隣、
「
そう
回答していたテストの科目は、
カンニングをするつもりはないけど、
今回はもしかしたら、
そんなことなどを考えているうちに、ホームルームも終わり解散の挨拶がかけられる。
意気消沈としている
「ん? なんか、ミカンっぽい
「はぁ? 何言ってんだ
「ん-、言われたらほんの少し、する気もしなくはない、かな?」
「えーマジかよ。お前らの鼻どうなってんだよ」
「いやお前の方が
「間違いねえな」
「あははははは」
そんな話を聞きながら、ふと思う。
そういえば、
本当はテスト勉強をするべきなんだろうけど、
昇降口からグラウンド沿いの正面通路に出ると、春も終わりの日差しが
あと一、二週間もしないうちに、
二十一世紀も
「あっ。―――み~きちゃー、んぷッッ」
この春から仲良くなった新入生の女の子の背中へ、いつものように飛び付こうとジャンプをするが、
「何やら不穏な気配を背後に感じたかと思えば、
「
ヒリつく顔を持ち上げたそこに立つのは、将来は美人さんになりそうな可愛らしい顔を携えた後輩の女の子、
立ったまま
「こんにちは。
「………エエ」
「試験初日から災難でしたね」
「……ソウネ」
不起訴。
「……こんにちはです、先輩。相変わらず馬鹿をやれているようで何よりです」
「………
どこかいつもと違う雰囲気に違和感を覚えて、
今日初めて
「いえ。……何もない、とは言いませんが、私
「もしかして、弟くんのこと?」
「っ!?」
「な、なぜ、ですか?」
「えーっと、な、なんとなく」
これと言って隠す理由などあるわけもなく、素直に答える。
そのタイミングで信号が青に変わり、
渡った先の歩道を右に曲がりながら、
「はぁ………。
「あはは……ホント、なんでだろねー」
「
「
「弟の事というのは、まぁ、そうですが」
「あ、スルーなんだ」
「でも、
「……
視線がその少年に釘付けの
「
「アキラ……くん? ってあの子のこと?」
最近どこかで聞いた覚えがありそうな名前だ。なんだったっけ?
その時はなんだか色々とごちゃごちゃしていたような気がするけど、思い出せないのならばしょうがない。
「………はい、弟です。………どうしてこんな所に……」
無意識のように呟いた
それは、
「確か、この
「いえ。あの子はどこかに出かけるにしても、一度家に帰り荷物を改めて出ていきます……。学校帰りに、こんな所に居るのは不自然です」
「それは
「だったら
「どうやってですか。
確かにそれはそうだ。しかし、
「な、なんですか……」
「ふっふっふー。今日がダメなら
「なるほど。アキラ君が今日この時間、この場所を歩いているのは
「そういうことー。ムフフン」
「
「最後の得意げな顔は
不満そうな
「というか、なぜ先輩達が一緒になって向かっているんですか………!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます