3 ~轟の壊少女~
五月十四日。
晴れ渡るお出かけ
「ふっん、ぬぬぬぬぬぬぬぬ…………――」
「はい。そこで
「え、えぇえい!!」
ぽひゅぅぅぅぅ……。という効果音が似合いそうな
耳が痛くなるような
「……それじゃあ、次はもう少し出力を上げて
「せめて何か言って!? いや言われてもヘコむけど! 何も言われないとそれはそれで悲しくなってくるから!!」
「…………」
「うぅっ……」
ルナちゃんの無言の圧力に
さっきよりも、少し、強めに放つ、イメージ。
「いま!」
「っ! えーぇえい!!」
それに合わせて、前と同じ動作で、今度は空気を切る音を鳴らしながら
瞬間、ッッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!! と、数十メートル離れた
冷や汗がひっきりなしに顔中を流れ落ちるのにも気は回らず、ちら、とルナちゃんへ視線を移す。
鼻の付け根を左手で押さえる野良の少女は、今日一番のため息を
「……だから、どうしてあなたは一か百かでしか炎を出せないのよ」
「だ、だって
「最近と言っても、今まで魔法を使う機会は少なかれどあったでしょうに。確かにあなたは見たままの
「しゅーやく……?」
「一つところに集めて
「そんなことしてたっけ?
「していたでしょう。
「えっ、そ、そうなの?
「あなた、本当に……。感覚派といっても
「は、はい……」
ルナちゃんにそうお説教される
一昨日、
あれやこれやと驚くことがいっぱいあったけど、国家魔法少女のつなぎちゃんと
『あなたももう、おおよそ
おおよそも何も、本当は良くは分かっていなかったけど、『初めて知った』と思いながら、話の
その時に、『色々と話しておきたいこともあるけれど、
その後、ルナちゃんが立っていた場所に崩れ落ちていた
そして今日、お昼前に
それから、
初めて入るのであろう
わざわざそんなことをしなくても、と反抗するのは出来なくはなかったけれど、「あなたには前科があるでしょう」と言われてしまえばそれまでだ。
そして、
ドッゴオオオオオオオオオォォ!!
気を取り直して挑んだ
「なんで上手くいかないの!? テリヤキ、
「そんな都合の良い話ばかりな訳ないでしょう。あの
「発動とかを手伝ってくれるならその後くらい頑張ってくれてもいいのに! いまどきアフターサービスしてくれない
「
ルナちゃんがさっきよりも深く長いため息を
それを見て吹き出しそうになるのを
「そもそもそんなことが可能なら、捨て身になった精霊獣達が契約した
ルナちゃんが言っていることは、分からなくはない。
今の日本には、百人近い魔法少女がいるという。だけど、そのうち十数人の子が少し前の
それでも、女の子達と契約している魔法精霊獣のほとんどは、ディザイアーを倒すことを目的にしている。そんな彼らであれば、多少でも
「まあ、なんにせよ、あなたの場合すぐにどうにかなるものではないと、認識出来ただけでも良しとしましょう……。次は私ね」
脱線しかけた話の
ルナちゃんがホロウィンドウから手を離すと、壁際に投影されていたそれは自動的に消滅した。
「とは言っても、私の場合
右手を高さ五メートルはありそうな対象壁に
「これでは少し難しいかもしれないわね」
再び練魔場
またアラームが鳴り響いて出てきたのは、今しがた設置された対象壁と同じものが
「
万が一、ディザイアーの
衝撃の強さに対し虫かごの
思わず耳を
そして、続いて幼さの
「はぁ……はぁ……。――はぁ、少し、やり過ぎたかしら」
今まで目にした中で、少なくとも東京
右手の壁。ルナちゃんが操作していた設備操作盤の少し横。さっきのものとは違う少し大きめのホロウィンドウが、いくつかの文字や数字を映し出す。
g。Kg。T。と移り変わる数字やアルファベットの表示が、数秒とせずに落ち着く。
練魔場の床からお
そこに書かれていたのは、
ただいまの最大瞬間衝撃値
TNT13MT
属性値0 対象属性測定不可
操作未入力の場合、180秒後に
除去・清掃シークエンスに移ります。
たった今、ルナちゃんが衝撃対象壁を殴り壊した時のであろう数値だった。
属性値ゼロ。それに関しては、納得のものだ。ルナちゃんは魔力が極端に少ないから、魔法はまともに発動できないらしい。だから、純粋に魔力を
気になるのは、その前の表記だ。
TNT――というアルファベットの意味は分からないけど、その後ろの数字についているМT。これはどこで記憶したのかは覚えていないけど、確か読み方はメガトン。だったはず。
十三メガトン
数字だけを見るとなんとも
「え……。こ、この壁、どれだけ丈夫だっだの……?」
「ルナちゃん、この数字って、そんなに凄いの?」
「ちょっとした
これは”程度”と呼べるのだろうか。
左肩を右手で抱きながら、ルナちゃんはコンクリートのような衝撃壁の
隕石の、落下エネルギー。分かりやすい例えのようであまり実感のない
「あっはっはっはぁ。ものすごい音と衝撃が伝わってきたものですからぁ、
「っ!」
「こ、
「つい今しがたですよぉ」
張り付いたような
そんなルナちゃんの負のオーラも気にも留めず、
「あっはっはぁ。これはこれは、珍しいぃ数字が出ていますねぇ」
それは
ルナちゃんは、しかし警戒の色を濃くさせるだけで、近付く
「っ……」
「あっはっはぁ。私では抵抗はあるでしょうがぁ、少ぉし、失礼しますよぉ」
お互い触れ合えるような距離にまで詰めた
左肩に当てたままの右手はそのままではあるが、以外にも、ルナちゃんは
ルナちゃんの左腕や
五秒
「…………」
「あぁ、やはり。しかしこれだけで済むとはぁ。いやはやぁ」
「えっ?」
「私はぁこう見えて、いくつか
「……」
ルナちゃんの沈黙をどう受け取ったのか、
「ちょっっ!! …………え?」
一歩二歩と離れる
「これだけの衝撃を放っていながら、
「うっそ……」
笑い事ではないことをさらっと笑い流し、
「もう
「……そうね。これは、
「あっはっはっはぁ。ありがとうぉございます。構いませんよぉ、お気になさらずぅ」
「あとコンマ一秒七三
薄ら笑いの張り付いた
注意を
どうやら、ルナちゃんはパンチを繰り出した反動で、肩が
半月前の、名古屋
そんな
「……今日の目的は
「……ええぇ。この東京地区の半分ほどは担当していますよぉ」
「なら、これもいい機会だわ。
そこで、
「ええぇ。
そう付け足す
「立ち話もなんですからぁ、お茶でもいただきながらにしませんかぁ。
「そうね。尺もあまり長すぎると
ルナちゃんと
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