3 ~面影の少女~
ズル、ズル、と、
だが、
全長が周りのビルより抜き出ている人型のディザイアーは、その手にバスを
まずはこっちを何とかしなきゃ。
ルナちゃんは変わらず
その様子は、完全に
人型ディザイアーの攻撃に食らいつき、
ただでさえ少ない魔力の体に
ルナちゃんが
その時、元々
「お~ほっほっほっほっほっほっほ。お久しぶりですわねトモナさん。ここで会ったが百年目。どちらが先にあの怪物めに
「ごめん今ちょっと無理! 急いでるからまた
「ごめんねー」
お団子の下に結ばれた
「リサ先輩!?」
「アンタ達を
「ちょっと! 初登場だというのに
後ろから聞こえてくる通りの良い声を背に、ビル群の上を走る
足を共にする彼女は
「で、あのおじょーサマは
「えーっと、確か
全面ガラス張りのビルの
人型ディザイアーはもう目の前で、
「アンタも色々と大変ねー」
そして、その衝撃の
「———ッ!」
一気に魔力を
飛び越えたビルのガラス壁を
「せぇええええええええい!」
モーターによる重心のせいか、バスの後部が先に下へ傾き、見る
魔力の反発で跳ね返されそうになった大型バスは、包み込むような弾力に導かれ、その落下エネルギーを徐々に打ち消していった。
周りに居た魔法少女達がそれに気付いて、
中に閉じ込められていた人達も、全員、無事とは言い
それに
多数の衝撃波を放つ
黒い化け物は欠けたそばから回復し、紫に
限界は、とうに過ぎているはずだ。
それでも
「『
「く………っっ!!」
その
「リサ先輩!!」
しかしリサ先輩は埋まり込んだ瓦礫を
「なめんな。私がこんなのをもろに食らうワケないでしょ。まったく、勝手に突っ走るなっていつも言ってるでしょうに」
その身に
首や肩を回すその姿に、全然ダメージを受けた様子はない。恐らく、受け止めた人型ディザイアーの攻撃を利用して、崩れたビルに
リサ先輩は右手の剣を背中に構えると、
「そいつ持って早く
それから、リサ先輩はディザイアーに
そしてそのタイミングで、
「ん……………ぅ。ト、モナ?」
「ルナちゃん! 良かった。今ちょっとここから離れるから」
言うやルナちゃんをキャッチした際に着地したビルの非常階段のコンクリート
「ま……って。もう―――」
ぼそぼそと
非常避難命令で一切
「ここまで来ればひとまず安全かな。ルナちゃん、だいじょ――」
だけど、
跳んできた後ろの様子を
「みき………ちゃん??」
前に呼んだ
ただ一つ違うとすれば、その
だが、力無く
いや、
頭がぐるぐると
「………トモ……ナ?」
「っっ
「———!!」
反射的に出た方の名前に
「………良かった、
「……………
「違うわ」
目の前の薄白の少女は、ピシャリと言い放つ。
「この顔は、体は確かにあの子のものではあるけれど、違う。私はルナ、あなたの言う
「そ、そうなんだ……」
ルナちゃんの言うことは、正直全ては分からなかった。でもルナちゃんの言う通り抱きかかえるこの女の子が、
事実、ルナちゃんは
魔法少女として変身すれば、身体的特徴に変化が起きる子は普通に多い。
どこか、雰囲気が似ているようで違うのだ。
「……うん。ルナちゃんはルナちゃんだもんね」
「トモ、ナ………———! そうだ、アキラは!」
「えっ!?」
そこで薄白の魔法少女は、今まで忘れていたことを
「えっと………。人型ディザイアーが襲った、
「………………そう。………そっか、良かった」
ルナちゃんは
ルナちゃんにとって、「アキラ」という子がどういった関係の子なのかは分からないけど、多分、守りたいモノの、一つなんだろう。だから、あんなに取り乱し、そして、こんなにも安心しているのだ。
出会ってから
けれどそれは
「……ありがとう。もう、一人で立てるわ」
「え、もう? あんなに激しく戦ってたのに」
「大丈夫よ。感情が
言いながら、
「あなたはもう戻りなさい。私は大丈夫だから。あなたが向こうへ着く頃には、私の魔力もおおよそ元に戻っているわ。総量が少ないから、魔力の回復速度には自信があるのよ」
「ルナちゃん………」
「後で
「っ! うん!」
まだ
そんな彼女に突き動かされるように、
頭の上から、
「ふん。
「テリヤキぃ?
後から聞いた話では、この時テリヤキはキョトンとした顔をしていたらしい。
何を隠そう、この大柄な魔法猫は、ルナちゃんが蹴り崩したビルから脱出した時から、ずっと
魔力体と言えど、実体に干渉できる以上、痛いものは痛い。
「ああ。忘れておった。いやすまぬ。
そう言って、悪びれた様子も掴めぬまま契約魔法精霊獣は
若干軽くなった頭を
「…………私も少しは気になっていたのだけれど、大丈夫かしら?」
「うん。ありがとう。ルナちゃん程じゃないから心配しなくてもいいよ」
ルナちゃんも、人型ディザイアーとの殴り合いで、
「……ふっ」
「……ぷっ」
「ふふ」
「あはは」
「………その様子なら大丈夫そうね」
「うん」
それだけで、なんだか体中に力が湧き出してくる気がした。
けれどすぐにまたいつもの顔に戻ってしまう。少し残念だ。
そんな彼女に、声を掛ける。
「あんまり無理しちゃダメだよ」
「………ええ。まだ
「分かってるよもー。じゃ、待ってるね」
言って、スカートの
ちらっとルナちゃんの顔を盗み見ながら、
「無茶しないように、か」
私も
「はぁ………
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