2 ~紫狂の少女~
「ところで、私達はいったいどこへ向かっているのかしら」
「えっと、
第二種非常避難命令が出されて
そういえばどこを目指しているのか言ってなかったっけか。と考え口に出す前に、背中から先に質問が返ってくる。
「私達は
「えーっと、他の
説明しようと頭を回すが走りながらだと考えが
「まぁもうすぐで
「はぁ……。すぐに言葉にできないのならそれで
「それは仕方ないよ!」
街路樹や看板などにぶつからないよう前を向きながら、後ろに言葉を投げ掛ける。
「だってルナちゃんは変身してからすぐに
「………………そう」
「わああぁぁあ! ホントに
重心を後ろに
軽く自動車
ルナちゃんの意外なお
「ようやく来たかトモナ。もうリサのヤツは先に行ったぞ」
「はぁ、はぁ。ちょっと、いろいろあって。待たせちゃってごめんなさい、
同じレモン色の二つの
「そんな
「
「アミ……それにリサって、この間あなたが言っていた………?」
地面から
「ん? 誰だ、お前は………いや、確かこの間の
「あなたの
「はっはっは、どうやら野良の魔法少女ってのは
「あら、そのつもりはなかったのだけれど、あなたの方こそ、
「はいはい喧嘩はそこまでだよー、二人
珍しく
まるで犬と猫のような雰囲気を
レモン色の魔法少女、
そんな人が初対面———先週少しだけ一緒に戦っていたけど―――の魔法少女を相手に
「あの、レイ―――」
「ふっ。あっはっはっは。フリーの魔法少女が
「はい……?」
「え………?」
けたけたと笑うレモン色の魔法少女は、二振りの
「いやなに。古い魔法少女達の中には、フリー……
「……………」
「え? え………?」
何がなんだか分からず、オロオロとするしかなかった。
そしてルナちゃんの事は、東京
「あんたの事は近藤のヤツから聞いてるよ。
「………ええ」
「アタシはレイナだ。アタシはあんたの事、信用してるよ。また会いたかった。魚ヤロウの時も
「ここへ………」
どこか落ち着かない様子だったルナちゃんは、そこで思い出したように切り出した。
「そういえば、
「なんだ、
「あ……う、うん。なんかタイミング掴めなくて………」
ルナちゃんの質問に、
それから
「はぁ。アタシは準備をするから、あんたはそれまでに軽く説明しときな」
言って、
それを見て
「え、えっと、ルナちゃん。
「いくぞ!」
「ごめんルナちゃん黙って
「えっ? ちょ――」
返事を聞かずに、顔を引き
その
「——ッ! まさか――――――――――」
ルナちゃんを抱えてその場でジャンプした
ドッゴン!!!
「い
や
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
ぁ
!!!」
音速で東京の街を抜け出した二人の魔法少女は、木々に囲まれた
「ち、ちょっと! こ、こうするならこうするって、ま、前もって言っておきなさいよ!!」
「ごめんごめん。
「
耳元を
同じように声を張って、
「いやー、ルナちゃん凄く
「心の準備のアルナシは待ってくれないのかしら!?」
ルナちゃんの訴えに、
「あー、えっとそれじゃあ、ちょっとごめんね。ルナちゃん」
「待ちなさい。待ってトモナ、
椅子のように腕に座らせて抱き上げていたルナちゃんをもっと抱き寄せ、しっかりと
魔力が込められた
「絶対
軽く杖を振り上げ、
「ちょ…………ッ――――――――――!」
バゥッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
と、大気を吹き散らす魔力の放出がルナちゃんの絶叫を
「
お
ぼ
え
て
な
さ
い
よ
|
|
|
|
|
|
|
!
!
!
」
「ぜぇ、ぜぇ………………。想定、していたよりも、
「あ、ははは………ごめんね……びっくりさせちゃって」
息を整えるルナちゃんから目を外し、
そこには、辺りのビルから一つ飛び抜けた黒い巨大な
「でもほら、もうあと
やや
問題は、変身するだけで
「大丈夫よ。ここまで来れば、あとはあなたに手を引いてもらいながらなら
「ルナちゃん………。うん、行こう」
「やっと追い付いた。やっぱりアンタだったわね。トモナ」
その時、
ザンッ、と地面の砂を打ち鳴らして
「空を飛んでる魔力ブースターの光が見えたからもしやと思ったけど、
「リサ先輩。こんにちは……あれ? でもリサ先輩、
「あのねぇ、直線的に移動できるアンタとは違って、私と
「あ……そ、そっか」
悩ましそうに
「で、なんでまたアンタまでこんな所に居るわけ」
「今はそんなことを議論している場合ではないでしょう」
「…………」
「そうね。それにここに居るってことは、少なくともあれを何とかするのが目的なんでしょう」
そう言って、リサ先輩は背中の
「え? ちょっ、何をするのリサ先輩。待っ」
「アンタ、見たところあんまり無茶できないんでしょ。トモナが引っ張っていくだけじゃ時間掛かるだろうし」
「は、はい………?」
剣を構え、
すると三人の魔法少女を淡い山吹色の光が一瞬だけ包み込んだ。
「ここに着地する直前に、チラっと聞こえたのよ。トモナに手を引いてもらって行くつもりだったんでしょ」
「え、ええ………」
構えていた
「
「………」
「文句が無いならさっさと行くわよ」
「あ、うん。行こっ、ルナちゃん」
「………ええ」
ルナちゃんの
リサ先輩は、
中小
リサ先輩の
「うっそ……………」
「警報と命令が出た時点で覚悟はしてたつもりだけど、実際に見ると
「な………何、よ。あれ」
それを見たルナちゃんは、
先週の全体的に大きい魚型ディザイアーとはまた違う、縦に伸びた
金に輝く
「『
そこには、
「理屈の上では、あり得るとは分かっていたけれども、まさか、本当に人間からあの怪物が誕生したとでもいうの………!?」
「『特別緊急事態宣言』と、それに
「う、うん………」
隣に立つリサ先輩の横顔には、この季節には珍しい
無理もない。
ディザイアーは、
そしてただでさえ複雑な思考能力を持つ人間がディザイアー化したならば、厄介どころの話ではなくなる。獣を元とした
それを理解出来るため、リサ先輩の緊張は
「さっき確認した情報だと、まだ現地市民の避難が終わってないみたい。私達もそっち優先で動くわよ」
「うん」
「………」
リサ先輩の指示に
現場にほど近いビルの屋上に立つと、その
先に到着していた現地や近くから来たのであろう魔法少女達は、その大半が当のディザイアーの対応に
その上、
リサ先輩と
魔法少女達が
ルナちゃんも、これから向かうその場所を見下ろしている。
「ッッッ!!!」
その時
「アキ――――――――
な
に
を
し
て
い
る
き
さ
ま
ぁ
!
!
!
足元のビルの上部を
「―——―――!? ルナちゃ―――」
その
とにかくどうにかしようと外へ向けた手の反対、右手に
「
頭の上から聞こえた渋声の通りに、杖の先を少し左に向けて推力を右に
崩れていく
「っ、ルナちゃん!!」
リサ先輩の手首を離し、飛び移ったビルの屋上のフェンスに走り寄る。
「あああああああああああああ!!!」
迫り来る
「す、
いつの間にか
人型ディザイアーの腕を打ち抜いたルナちゃんは、着地した先のビルの壁を蹴り壊し、紫色の衣装を
しかし今度は人型ディザイアーもしっかりと反応し、無事な方の腕で
打ち落とされたルナちゃんは、真下のビルに
そして、なおも怪物に
まるで
「行かなきゃ…………!」
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