7 ~いつかみんなを護れる魔法少女になるために~
「次、ヤツの左側へ少しずつ、連続的に
「っ、うん!」
ルナちゃんの
向かってくる炎の気配に気付いた人型ディザイアーは、出しかけていた手を引っ込め、着弾する炎の玉から
道を
「それでいいわ。やつは
ルナちゃんが言うとおり、
「今度はヤツに近づきながら杖に魔力を込めなさい。炎の力ではなく、純粋な魔力そのものでいいわ」
「え? あ、う、うん」
街を燃やしてしまっている罪悪感に心を引っ張られかける
着地したビルの屋上をルナちゃんが飛ぶのに続き、
目の前には、低く
「今よ! ヤツの顔面へ向けて
「っええぇぇい!!」
ルナちゃんの
「ギっ!? グゥぃウェああアアああ!!」
「次っ! 私を投げなさい」
「えぇ!?」
「いいから早く! そして炎を
「は、はい!」
ルナちゃんに言われるがまま、彼女と繋いでいた手を
それに反応した巨影の怪物は、中腰のまま両腕を持ち上げてガードした。が、ルナちゃんの一撃を受け止めた影の
「グあ?」
「フレア! そのまま炎をこいつへ浴びせなさい!」
反応が少し遅れたディザイアーは、炎の攻撃をもろに受けてその影の体を燃え上がらせる。
「グゲっっ、ガァアああアアアア!!!」
どうやら、ルナちゃんの
それを見こして、ルナちゃんは魔力の無いことを逆手に取ったのだという。
「
「グ………ゥぐ、ガ………!!」
最大出力の炎を浴びせたはずだけど、全体的に分散したからか、影の怪物の足を
「ご、ごめんね。
「気にしても仕方ないわ。そもそも使い始めの魔法で
「ルナちゃん?」
「それはあなたに相当の無茶をさせることになる………」
「それなら大丈夫だよ!
「あなたねぇ。私に無茶するなと言っておきながら、あなた自身が無茶するのを私が
ルナちゃんが最後まで言い切る前に、
タッチの差で
視界の
リサ先輩だ。
他にもくすんだ
二人のおかげで、彼女達への心配が少しは減ることになるだろう。
問題はこっちだ。
ルナちゃんの
「トモナ!!」
「うっ!!」
苦し
「とも――フレア!」
「―――っ……」
乗り捨てられた大型トラックの荷台の屋根に降り立つも、すぐに
さっきの
「フレア。無理しないで。
「だい、じょうぶ……! ちょっと、こっちの脚を使わなかったら、すぐ動かせるように、なるから………!」
ルナちゃんと握る手に、
そう考えた瞬間、手を引かれ、
「ル、ルナちゃん!?」
いきなり目の前に近づけられた奇麗なお顔に、戸惑いに彼女の名前を呼ぶ。
「無茶は、させはしないと言ったでしょう。それから、さっきから上の方でエンジン音が聞こえてくるのだけど、何かしら。
確かに、言われてルナちゃんの腕の中で耳を
そこで今の自分の状況に気付き、降ろしてもらおうと暴れるが、
「これは仕返しよ。あなた、私を抱えて運んだでしょう」
と更に強く抱き上げられてしまう。なるほど。それは、仕方がない。よしんば甘えてみよう。こんな美人さんに
などと
その違和感に最初に反応したのは、皮肉なものにディザイアーの方だった。
「グ、るァ?」
「あれは、まさか!」
続いてそれに気付いたのは、
釣られるように
ォォォォォォォォォ......
「あーはっはっは。ホントに
「なにを楽しそうに言うとんの。こんなボロボロにされたらウチら
「まあそう言ってやるな。人型が出た時点で、こうなることは当然。むしろ
「
ォォォ...ォォォォォォ......
そのシルエットは明確になってきて、色もはっきりと見て取れる。
「それにしても、
「
「
「それもそうやな―――」
ォォォォォォ......
彼女達は、それぞれに握る武器を構えて、
結果は、火を見るよりも
ズガバキガガガガァァン!! と
振り上げた右腕と、左肩に
しかしやはり他の怪物達とは違い、本能で感じたのであろう危機意識を即座に反撃へと
それでも、四人の
......ォォォォォォォ...ブォオオ......
「……
「あれは、ただの魔法少女だなんて言えるもんじゃないわよ……。アンタも聞こえてるでしょ、さっきから
ォォォオオオ……ブォォォオオオオ……!
ブオオォォォオオオオ……オオオオオ!!
近付いてくる
ォォオオアアアアァァァン!
「あっ」
思わず声に出てしまった
黒い影の怪物は、
その時、バァオン!! と高速環状線の防音壁の向こうから
二つの大きな
「ゴグァ!?!?」
ォォオオンン!!!!
バランスを崩しまたも
そしてその両脇に、空から舞い降りてきた四人の少女達も立ち並ぶ。
そのタイミングで、リサ先輩は先ほどのルナちゃんの質問の答えを告げた。
「……こいつらは、日本トップクラスの魔法少女達、日本の
リサ先輩が言い終わるのと同時か、影の巨人と五人の魔法少女達がぶつかり合う。先ほどまでの
その様子を見ていた
「………どうやら、日本最高峰というのは
「……うん。凄い」
そしてそれは、まるで
「ふっき飛べー!!」
水色の少女がそう叫び、無数の
「ギァッ……ガァぁァアアアア!!!」
「「!?!?」」
胸に大ダメージを受けた影の巨人の化け物は、
「これは……! 報告にあったなんでも吸い込むってゆう
「確か
オレンジ色の魔法少女は
「わー。吸い込まれるぅー。こんなのよく止められたわねー……」
「あー。うん。これはちょっとヤバいな。アタシの
「てゆーか、なんであいつ死なないの! ディザイアーなら胸のコア叩き壊せば死ぬはずなのにー!」
ボヤく
その
だけど、そんな
火の気配に気付いたのか、影の巨人の黒い視線が
「ルナちゃん!」
「押さえているから
「っ―――うぅ~~~~~~~~~りゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ギガっ……クエェエアがァァァああアアア!!!」
瞬時にその巨体を焼き上げられた影の怪物は、よろめき、近くのビルに倒れ掛かった。
それを見て、黄色の衣装を身に
「フレア……………? へぇ、ネームレス、か」
「………それに
何か気になるようなことが聞こえたような気もするが、
抱き上げられる腕から身を
「フレアっ!?」
「あたま!! あのディザイアー、頭が気持ち悪い! ずっと《
「っ!! ――そういうこと」
彼女の動く気配を感じたのか、影の巨人は
バロロロロオオン!!
赤黒い
オレンジ色の言葉と共に。
「
バルルルルルルルルルルルルルルンンン!!!
「
バォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンン!!!!!!
オレンジ色の少女の言葉が
思わず目を閉じすぐさま開けた場所には誰も居らず、
「
ギャリギャリギャリギャリギャリィィィ!!! と空中で一回転された内燃式大型バイクの後輪は人型ディザイアーの
ロロロロロロロロォォォォォオオオオオオオオ!!!!!!!
「ギ…………っ―――」
次の
「ギャァぁアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
影の頭の中から一瞬のうちに削り出されたどす
オレンジ色の魔法少女が
他の四人の魔法少女達も、なんでもなかったようにわらわらと
それは、どうしようもなく、格好良かった。
そして、
「………ルナちゃん」
「……えぇ」
「
「それは、私も同じ。ただそれさえできればいいと、思っていたわ」
いつの間にか衣装が白色に戻っていた隣に立つ
その姿が、彼女の後ろの
「でも、それじゃダメなんだ。
熱い
「ルナちゃん。あたし、強くなる。みんなの笑顔を
胸の内に
「いつかみんなを
「……私も、分かりきっていたことを、気付かされた。人一人に出来る事には、限界があるということを。……だから、あなたとチームを組むわ」
目の前の少女は、足元をふらつかせつつも、しっかりと大地を踏み、声を
「マギアールズ、だったかしら。
夕日に当てられてか、肌の白い美麗なお顔は、
「――っ。……うん。………あと、テリヤキをもとに戻す! テリヤキは言ってた。戻すのは難しいって。つまり、不可能じゃない、ってこと。その方法を探すためにも、強くならなくちゃ。よろしくね。ルナちゃん。二人で、強くなってこう……!」
「……ええ―――」
その後は、
自衛隊や警察の人達が
「言い忘れていたけれど、私の存在は、あの子———
「え? あ……うん。いいよ、大丈夫。ルナちゃん秘密なんでしょ? 話せないことは誰にだってあるから。それに、ルナちゃんはルナちゃんだし、
「――まったく、あなたって人は変わらないわね。………でも、そういうところは、変わらないままでいなさい」
言って、
無茶をしなければ、変身を維持したまま今日中に関東まで帰れるらしい。ただ
しかし、数歩
「トモナ、これからは
「………?」
「あなたが護ったモノは、顔を上げなければ見えないものなのだから」
「―――っ」
戦いの中で見せてくれたものとはまた違う、心が
そしてルナちゃんと別れた
「お、来た来た今日は助かったわトモナ……いやフレアだったかしら」
「おーほっほっほ!
「
「あんまし
「今日はホントに助かったわ。
それは、今日、確かに
だから、
誰にも心配させないような、今度こそ最後まで
終章 - 覚悟 完
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