3 ~対極の少女~ -悲痛の少女-
「魔法が出ないって、どういうこと?」
珍しく
「え、えっと。どうやって魔法を発動させればいいのか、全く分からなくって………その、どうやって出すんだっけ?」
「私に聞いて出るわけがないでしょう。………あなた、
そうは言われても、あの時は
ふんねらー。
ちぇいおー。
ほぁらららららららららららー!
ぐおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!
と、いきんだり
「あぁ」
「ちょっと待て。あなたどさくさに
「え、えへ、へへぇ………。だ、大丈夫、臭くないヤツだから………!」
「そういう問題じゃないでしょう!」
「ワタシは
そこで、ここに来てから初めて口を開いたテリヤキが尻尾をビターン!! と
「あ
「その
「あ゙ァ゙――――――――――――――!」
悲痛の絶叫が街灯の光も薄くなる
ギリギリギリギリギリギリ、と前と後ろの頭皮に魔力体の
頭を
「ふん。今日はこのようなところで勘弁してやる。小娘」
「ァ、アリガタキシアワセイタミイリマス……………………」
テリヤキは前足を数度
「へっ?」
「しばし邪魔するぞ。
「え、えぇ。あまり重さは感じないから構わないけれども………」
魔法少女はこの
そう思って
ルナちゃんも何かに気が付いたのか、同じようにそちらに顔を向ける。
遅れて
「少し騒ぎ過ぎたな。小娘」
「どちらかと言うと、
「あやつが動くより先に仕掛けた方が
「そうね。こうなったら私がアレを
「う、うん」
まるで名コンビかのように、ルナちゃんとテリヤキの二人は
「あ、ちょっと待って。置いてかないでよ二人とも〜〜〜!!」
慌ててどんどん離れていく
そして、その
「………まぁ、
「えっと、ルナちゃん、その………ごめんね。
「トモナ。あなたには、言っておくわ。………私は、魔力がとても少ないの。魔法少女として変身するだけで、大半の魔力を消費してしまうくらいに」
「えっ?」
程々に広い総合病院の駐車場を
「この間の
「ルナ、ちゃん………」
「はっはっは。小娘が一丁前に
「
「ゔッ………」
「ひぃっ………」
頭のテリヤキを光の速さで
すごい。普段はあまり口を出して来ず、いざ口を開けばお
そんな時、病院の屋上で大きなものが動く気配がした。
「っ! 無駄口を叩き過ぎたわね。行くわよ」
「う、うん!」
ルナちゃんの
ところが、病院の屋上に二人して
体中から力が抜けていき、四つん
「こ………れ、は―――」
「うぅ………あのディザイアーの、
頭に手をやった状態で立ち尽くすルナちゃんは、気分が悪そうに呟く。
しかし当のディザイアーは、尻尾を床に叩きつけたまま、
「どうやら、このディザイアーの根源と欲圧は、
「えぇ………!? な………に、それ………」
確か、
だけど、現に体に力は入らず、気だるさがそのまま、重力として覆い被さっているように、全身が重たい。
「アレは不確定な情報だと言っていたから。その限りじゃないわ」
「そ、んな………。ていう、か。ル………ちゃ、な……でへい………き」
そこには、せめて思考だけでも回そうと抗う
「……この際だから。言っておくかしらね。あの時剣の
「えっ……」
「正確には、ほとんど効果はない。といったところかしら。あの
ルナちゃんはゆらりと前に出ると、左手で
ダメだ。
ルナちゃんは一人で戦おうとしている。いくら怠ける欲望とは言え、相手はディザイアーだ。一人でいかせちゃ、ダメだ。
「ふ――――――――――――……………っ、く、ぅあぁああ!」
熱い。
魔力が体中を
「ふ、ぅぅ……ぅああ!」
チカチカとする頭で手足を動かし、膝立ちだがなんとか体を起き上がらせる。
熱い。だけど、その熱さが、降りかかるダルさに引っ張られる身体を幾分か気つけてくれる。
「これ、くらい……あた、しも、平気、だよ………。
「ルナちゃん一人では、絶対に戦わせない。
それを聞いたルナちゃんは、再び鋭い視線を前へ向け直した。
「なら、勝手にしなさい。私は、ただ私の大切なものを守るために戦うだけ。………けれど、さっきも言った通り、私には魔力が無い。夜の間はどうしてか少しマシだけど、それでもディザイアーの
「ダメだよ! だったら、
「まったく、
ルナちゃんの左に並んで笑って見せると、
その後は、恥ずかしいものだった。
意気込んで立ち向かったはいいものの、いたち型のディザイアーは
あれだけの
「本当に、あなたと居ると調子が狂うわ………」
頬を薄く
「……………バカ」
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