5 ~墓前の少女~
二〇八九年。四月二十八日。
お昼休み、いつも通り渡り廊下の
いつもはそれなりの確率で
そんなことを思っていると、
「そういえば、今日はどうするの?」
「うん。この
「そっか。じゃあ校門までね」
「やっぱり、
「えへへ………うん」
今までも、
けれど、
「それにしても、まさか本当に
「
一週間くらい前。今となってはどうやって使ってたのかも分からない魔法を発動させて
運動部の人達が練習に
「実際に目にしたとしても、
「うーん………。そんなものかなー」
「そんなものー」
「んーむむむ―――――」
そんな
「
「………うん」
正面口を出て歩みを止めた
「それじゃあまた明日ね!
「明日は宿題
「うっ………」
「それじゃあね」
昨日
国家魔法少女は色々と
「そうだ。今日は
「——うん。ありがと! じゃーねー!」
振り返って大声で
学校を出てすぐの大通りを
そこは小さい頃からよくあの人に連れられてきていた、
お店に入ると、三十代くらいの女の人が
「いらっしゃい、
「そうなんだ。これからいつものとこ。こんにちはミヨさん。今日も綺麗だね!」
「もう。耳にタコができるくらい聞いたわよ。いつものアングレカムでいいのよね」
言いながら嬉しそうに
「まだ
「うん。大丈夫だよ。多分
そう言って、白い蕾の花束をお
三枚の硬貨を少し年季の入ったレジスターに
「相変わらず、現金を使うのが好きなのね。あの子そっくりだわ」
「うん! だってこっちの方がお店の人とより多く
「それはいいけど、この
「あぅ………その
イタズラな顔を見せるミヨさんに、
別に
「ほら。これからまたちょっと歩くんでしょ? 最近はまだ日が
「あ、う、うん。それじゃあミヨさん。ありがとう」
「はいはい。こちらこそ、毎度ありがとさん」
ミヨさんに
この辺りは、今の時間帯になると
光が山の
学校からそれなりに離れたけれど、あまり足が痛くならないのはひとえに日本のいたるところで普及していっている、セミメタル
西和光市の真新しい家と時代を感じる家が立ち
階段を
階段を上がった先で
「
「
そこに居たのは、同じ中学校の後輩の、
思わぬ出会いに、彼女の元へ駆け寄る。
「なんでって……
「確かに、それはそうだけど………ってそれ
「私が
「えっと……
「報告?」
「うん。昨日、ディザイアーと戦ったから。勝ったよー、っていう報告」
「……ああ、確か、先輩は
そこでさっきの
「お母さんって、もしかして」
「うん。ここ、お母さんのお墓があるの。あ、そういえばまだ………
「…………そう、ですか」
一
お花を
―――昨日も、勝ったよ。また、誰かの笑顔を
自然に閉じていた
くるぶし
「あ、それ……」
「先輩がしゃがんだ時、スカートのポケットから落ちてました」
「ありがとう。
「いえ。あのままだと
「うぅ……、確かに。………これ、小さい頃にお母さんから貰ったハンカチなんだ。だからホントにありがとね」
「そんなに大切な物なら、もっと
「あ、ははは………おっしゃる通りです」
そこで深輝ちゃんを見て思う。
「そうだ。
「
「い、いやぁ。なんとなく……えへへ」
「また
本当に、なんなんだろう。
思わず口元が
するとそれを見ていた
「
「……! ………そっか。お父さんが」
「はい。……半年以上前に、死にました」
死にました。そう
それを見ていた私は、何とはなしに口を開いていた。
「お父さんのことは
「別に、好きや嫌いといった強い印象はありませんでした。ただ、
「……そうなんだ」
お父さんのことを思い出そうとしているのか、あるいはさして
「でも、お父さんの思い出があるのはいいな。
「そう……なんですか」
辺りをふわふわと散歩していた
「あ……ご、ゴメンね急に暗い
「いえ、気にはしていないので―――」
鼻の頭が、冷たい。
風の音かと思っていた空気を
「あ――――――!」
校門を出て別れた時の、小鞠ちゃんの声が
———そうだ。今日は夕方から天気が崩れるみたいだから、早めに帰りなさいよ―――
さっき
「………この
「
「
「傘を持ってるなら
そう言って、お母さんのお墓に
「それじゃ、
入口の石段の階段を
道路
そして再び走り出して、
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