vol.09~「青い瞳のステラ1962年夏…」(1980) 柳ジョージ&レイニ-ウッド~

 ずっと漁村を走ってきたから、柏崎市に入ると、田舎とはいえ“都会”を感じる。

 海辺のオフシーズンを感じさせない港町。

 大きな船も沖に、沿岸に、見え隠れしている。

 何が入っているのかわからないクリーム色の大きなタンクを見ると、不思議とほっとしたりもする。



 今をもって、この曲が、1980年のリリースというのがピンと来なかった。もっと、新しい曲のような気がしてた。

 でも、曲を聴きながら、いろいろと思い出すと、1980年までさかのぼることができた。


 最初に聴いたのが、NHK-FMでかつて放送されていた『甲斐よしひろのサウンドストリート』でだったと思う。

 甲斐お気に入りのこの曲は、ラジオで何度となくかけられたし、甲斐本人もカバーで歌ったりしている。

 高校の部活帰りの遅い時間の汽車の中は、1両に2~3人しか乗っていなく、走り始めると、僕は、窓を全開にしてこの歌を歌った。どんなに大きな声で歌っても、汽車が風を切る音で他の乗客には聞こえなかった(はずだ)。


 歌詞は、間違いなくアメリカの内容で、海近くで踊るテネシーワルツを想像するのは、当時高校生だった僕にもなんとなくできたけれど、曲の最後の“芝生の下で眠っていずに”の歌詞の意味をずっと理解できていなかった。



 大学1年生の秋の学祭。

 僕が所属していたラグビー同好会では、講堂でライブ&喫茶を行なった。

 演奏するのは、ひとつ上の先輩とマネージャーで、僕たち1年生は、先輩の家が経営している喫茶店で作ったケーキや飲み物を販売する仕事だった。

 先輩たちは、ギター、ベース、ドラム、キーボードを担当。ボーカルは、英文学専攻の先輩が、セーターをわざわざ肩にかけてビリー・ジョエルのナンバーを歌った。

 大きい講堂に観客は、20人くらい。

 小さい大学の長机が並ぶ講堂で、演奏は素人なんだからそんなものだろうけど、それでも、田舎から出てきたばかりで、楽器ひとつできない僕にとっては、先輩の姿は新鮮で、驚きだった。

 客席にいる僕ら後輩は、ほとんど“桜”と同じで、演奏が終わると「ヒュー!」とか言いながら拍手した。


 全曲ビリー・ジョエルのナンバーで終えると、一同「アンコール!」の声。

 そこで、歌われた曲が、この「青い瞳のステラ1962年夏…」だった。

 聴き慣れたビリー・ジョエルナンバーの最後に邦楽をこうやって歌われると、グッときた。


 柳ジョージの声で何度も聴き、僕自身も何度も歌ったのに、最後の歌詞の意味がわかったのが、英文学専攻の先輩が歌ったこのときだった。

 それが、なんだかとっても可笑しい。


 今では、カラオケで、歌いすぎて声が枯れた頃にこの曲をチョイスする。

 セーターを肩にかけて歌ったことはまだないけど、最後の歌詞のところでは、いつも泣きそうになってしまう。




♪柳ジョージ&レイニ-ウッド 「青い瞳のステラ1962年夏…」

https://www.youtube.com/watch?v=j5aINIgqRVE


現在地:新潟県柏崎市西港町 走行中

https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%80%92945-0067+%E6%96%B0%E6%BD%9F%E7%9C%8C%E6%9F%8F%E5%B4%8E%E5%B8%82%E8%A5%BF%E6%B8%AF%E7%94%BA/@37.3692078,138.53981,16z/data=!4m5!3m4!1s0x5ff5b434b176c2a1:0xb6a35eb42711084b!8m2!3d37.3708159!4d138.5474601?hl=ja

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