オマケ

用語集

・本編に出て来たが、王女視点では詳しく解説されなかった単語の解説です。

・本編の内容を多大に含むので、本編を全て読んだ後にお読み下さい。

・視点がメタだったり、後世に書かれた物っぽくなってたりします。


・多少巫山戯てる内容ですが別に読まなくても本編は楽しめるのでご安心下さい。




■王女

・この物語の主人公。天才肌かつアホの子。記憶力も異常に高い。

・お転婆でちょくちょく城を抜け出して城下町の子供と遊んでいたため口が悪い。

・事件の影響で強迫性障害に罹り、城の者を個人名で呼べなくなっている。

 (全員等しく亡くなったため、「特定の誰かを名前で呼ぶ=特別扱いする」ということが出来なくなったのだと推測される)


■干物

・魔剣「巨人の干物」を意味する。

・または、アンファング王国名産「小人の干物」の意。

・「小人の干物」は「巨人の干物」に肖って作られた特産品。

人型根菜マンドレイクを特殊な溶液に漬けて乾燥させた健康食品である。

・一見固そうだが歯を立てると簡単にほぐれ、口の中に独特の甘みと苦みが広がる。とても美味。

・お湯に数分漬け込んだ戻し汁は胃腸に優しく、リラックス効果がある。

・お土産から冒険のお供にと、昔から人々に愛されている。


■王子

・隣国の王子。王女の婚約者。

・可愛い幼馴染みの婚約者が一夜にして行方不明になったと思ったら、勝手にダンジョンアタック始めてて、胃に穴が空きそうになった。

・物語終了後、彼の元には大量の「小人の干物」が送られた


■王城

・王女の実家。築百五十三年。

・何度も戦火にさらされた城であり、当時としては高い防衛能力を備えていた。

・だが「王都の警戒網をくぐり抜けて敵集団が城内に空輸される」という前代未聞の事態が発生し、対応しきれずに焼け落ちた。


■この国で一番偉い人

・要するに王様。あるいは王族全体を指す。

・アンファング王国の王族は「巨人の干物」がある影響で王族の権威が非常に強く、古くより中央集権寄りの国家体制が築かれていた。


■軍

・アンファング王国においては主に国王直下の「中央軍」を意味する。

・大規模で統制の取れた常備軍であり、アンファング王国の主力。

・志願制で庶民出の者も多いが、訓練が厳しく精強だったと伝えられる。


■貴族

・高貴なる血族。元々は小国の王様。アンファング王国においては殆ど地方役人に近い人達。

・自前の領地を持つが、その統治には中央からの影響を強く受けている。

・私兵も持つがその規模は中央軍に遠く及ばず、治安維持が主な仕事……そのはずだった。


■侍女

・主に王女付きの侍女を意味すると思われる。

・その出自は現在では記録が残っておらず定かでないが、王女の性格から庶民出と予想されることが多い。だが、専門家の間では普通に貴族の血筋と考えるのが常識である。

・王女と同い年であり、幼少期より共に育ったため、とても仲が良かったらしい。

・鷹揚で大人しい性格であり、お転婆な王女に振り回されていたとされる。

・故に王女のせいで泣くことも多かったが、同時に笑顔でいることも多かった。

・事件の夜には王女よりも早く事態を把握し、寝ぼけて頭の回らない王女を叩き起こし、その手を引いて脱出すべく奔走していたらしい。

・尚、事件当夜に城を攻撃していた兵士には王女の顔を知っている者がおらず、「二人女の子が居たら手を引いてる方が王女」とだけ伝えられていた。


■執事長

・アンファング王国の王室執事長。王女に礼儀作法も教えていた。

・王女は教わる時は真面目だが、普段はあまり実践しないので頭を悩ませていた。

・その他、軽率な行動が多い王女には正直辟易していたようである。

・運良く焼け残っていた彼の手記では、彼女について概ねこの様に評されている。

 「殿下の浅薄さにはほとほと困らされる。本人に自覚があることが唯一の救い」

・また、事件後書かれた王女の手記では彼についてこの様に書かれている。

 「執事長を安心して引退させる。それが私の半生において最大の命題だった」


■宮廷魔術師

・王城の魔法技術を取り仕切る魔術師。王女の教育係も務める。

・城内に専用の研究所を宛がわれるほど優秀な人材だったと伝えられる。

・研究肌であり、戦闘用魔法は苦手であったが豊富な知識で対応力は高かった。

・王女にしょっちゅう研究を邪魔されていたため、彼の研究書には破損が多かったらしい。

 (ただし、事件後には全て焼失していて現存しておらず、現代では確認不可能)

・だが、王女は授業の時は大人しく、教えたことは綿に水を染み込ませるようによく覚えたので、彼女に物を教える行為は魔術師自身も楽しんでたようである。


■近衛騎士

・王家直属の護衛騎士。魔法憑った戦闘能力により、国内最強を誇る一団。

・当然複数人居るが、王女がよく話に出すのは彼女の護衛の女騎士である。

・その中でも最強の者は王女と仲が良く、剣術の指導も行っていたが「王女は型を意識するとそれしかしないので大成しない」と低評価だった。

・代わりに「雑に覚えたことを雑に活用するのは得意だから、聞きかじりでも何でも覚えた技術が素直に力になる」とも評価しており、それ故に体術や運動競技を幅広く教え込んでいた。

・事件当時は敵勢に「まるでサイクロプスと戦っているよう」とまで恐れられるほどの力を見せつけたらしいが、それでも敵勢に魔術師が居たことにより、全滅してしまった。

・逃亡した王女に護衛がいなかった理由については長年議論されていたが、王女の手記の中に

 「近衛騎士は敵勢が未知の航空戦力を有していることを理解しており、外に逃げると空爆を受けて私を守りきれなくなると判断していた節がある。故に身を守る"盾"として『巨人の干物』を確保させたが、その最中に宮廷魔術師が限界を向かえてしまい、敵兵に追いつかれてしまった」

 といった記述があったことから、「逃走中に宮廷魔術師が想定外の死に方をしたことが最大の要因」ということで一応の結論がつけられている。


■兵士達

・王城勤務の一般兵。その人種は多種多様。

・王女はその一人一人の顔と名前を覚えており、気安く話しかけていたらしい。

・彼女の遊び相手にされることも多く、それを楽しみにする者も多くいたと伝えられている。

・一方で、彼女がはしゃいだ後始末もさせられていたので、正直嫌ってた者も多くいたことも彼らが故郷に宛てた手紙から窺い知ることが出来る。

・事件当時は指揮系統も混乱する中、王女を逃がすために全員が逃げずに奮戦。後に「王城の兵士はオーガの群れよりも鬼気迫る勢いだった」と震えながら語る者を続出させた。


■魔法

・不可能を可能にする現象。その効果は様々で底知れない。

・この力を標準的に使える物を魔物と呼び、技術として使う者を魔術師と呼ぶ。

・魔力を消費して発現するが、払えないと使用者の可能を不可能にされてしまう。

 (例えば魔術師が使いすぎると"意識を保つのが不可能"にされる)

・魔法の使いすぎでその身が変異して死ぬ者も居るが、ごくごく稀な特殊例である。

 (通常はそこまで限界を超えて魔法を使うことは出来ない)


■胸像

・王女が城の者を追悼するため、実際に作ろうとした犠牲者の胸像。

・だが、彼女が要求した人数が多すぎたことから「置く場所がない」と企画倒れで終わる。

・代わりに全員の姿を収めた巨大な壁画が数年掛かりで作られた。

・彼女の記憶頼りに作られたそれは描かれている者の遺族が見ると

 「大体あってるけど三割くらい美化されている」

 と複雑な表情にさせたらしい。


■闇の大山脈

・大陸屈指の危険地帯。第三級以上の冒険者以外は立ち入り禁止の大魔境。

・アンファング王国とレッツト王国のある半島を、北から南に両断している。

・その広大な領域内には魔法金属の鉱脈も、古代遺跡も膨大に眠っている。

・未知の怪物が多く、訳の判らぬ怪現象も頻繁に起きる過酷な環境である。

・単純に山脈としても大陸でも三本の指に入るほど広大で、人工衛星による監視が出来るようになった現在でもその全容は未だ計り知れない。

・王女が彷徨ったのは麓の本当に狭い範囲であり、横断など夢のまた夢だった。

 (ただし、王子の手記には「彼女ならやりかねない」とも記述されている)


■半島

・アンファング王国とレッツト王国の存在する半島。山芋のような形をしている。

・北側は大陸と繋がっており、南側には大海洋が広がっているため「大陸の尻尾」とも呼ばれている地域でもある。

・緯度的には温暖な気候でとても住みやすく、資源も豊富だった。

・中央を走る「闇の大山脈」を挟んで西側にアンファング王国、東側にレッツト王国が位置している。

・半島西側は古来より多くの人が住まう土地であり、それ故に古来より戦乱の絶えない土地であった。

・その中においてアンファング王国は早くより中央集権と常備軍の確立した国家を形成していたため、八百余年もの間は無敵を誇っていた

・しかし、時代が下って北方と南方が統一され始めると国力的には寧ろ下位となり、いつ均衡が崩れて滅ぼされるか判らない緊張状態を向かえることとなる。

・一方で半島東側は、北方に「闇の大山脈」から漏れ出る「黒の森」によって、陸路で渡る術が無かったため長年手つかずのまま放置されていた。

・船で渡る試みも何度も試されていたが、その殆どがシーサーペントやクラーケンによって阻まれ、失敗していた。

・しかし、航海技術と砲列艦が発達し始めると遂に入植が始まり、東側全体を支配するレッツト王国が建国された。

・更にその後、「黒の森」の開拓によって陸路が確保され、飛空船の登場により空路による行き来が盛んになるとレッツト王国は半島全体に影響を及ぼすようになっていった。

・最終的にアンファング王国が併合されたのを機に半島統一が推し進められ、レッツト王国がその全てを支配するに至った。

・現代では王政も廃止され、「レッツト合衆国」が半島全体を支配している。

・それでも王家は現存しており、今も尚「巨人の干物」を護り続けている。


■国営冒険者ギルド

・魔境に挑む冒険者を支援するための国営組織。

・冒険に纏わる最新情報を集めて纏め、冒険者に提供するのが主なお仕事。

・人知を越えた領域に踏み込み、物資や情報を持ち帰った冒険者に多大な賞金を出し、階級を上げるなどの褒賞も行う。

・本質的には国家の情報収集機関である。集められた魔境の情報は国土開拓や遭難者救助、あるいは戦時の地形把握に用いられる。


■第一級冒険者

・国営冒険者ギルドが定める十段階の階級。その最上位に位置する冒険者。

・アンファング王国としては「闇の大山脈」を横断できる者を第一級に認定する。

・それ以下だと「闇の大山脈」に入って戻って来られるなら第二級に認定。入ったあとに飛空船などで迎えに行けば帰ってこられる者を第三級に認定する。

・尚、第一級冒険者の平均的な「闇の大山脈」横断期間は約六週間ほどで、最速記録でも約四週間かかっている。


■魔剣

・魔法憑った剣。

・その効果は切れ味が鈍らない程度から、触れたら即死まで様々である。

・神が作った物でも逸話が禍々しいとこう呼ばれるのが通例である。


■魔剣「巨人の干物」

・アンファング王国の初代王、アンファング一世が神より賜りし魔剣。

・見た目は大人の身長をも超える長さを持つ、幅広い両手剣である。

・山よりも大きな巨人がその内で乾涸らびており、それ故に「巨人の干物」

・アンファング一世の血筋の者には羽のように軽く扱うことが出来る。

・軽いだけではなく持ち主に反動を与えず、その応用で重い物も持ち上げられる、地面に刺したら地の底まで落ちるなど、不可解な挙動を示すことが多い。

・この魔剣を管理するためにアンファング王国の歴史は始まった。

・今では基本的に儀礼用の国宝であり、観覧祭や戴冠式の時しか持ち出さない。

・そのため、存在は知っていてもその性質について熟知している者は少なく「王族以外には動かせないだけの権威ある剣」と捉えている者も多い。


■オリハルコン

・最高峰の魔法金属。見た目は黄金に近い。

・ただ固いだけではなく、与えられた力に応じて硬度を増す性質がある。

・粘性も高いため「強大な力を受け止める」能力に非常に長けている。

・「巨人の干物」の台座はこの金属に衝撃分散の魔法を掛けた物を使っており、刺さった魔剣を支えつつ、地面に沈下させない保存法を確立している。


■飾り紐

・魔剣「巨人の干物」の柄頭に備え付けられた飾り紐。

・その長さは剣の長さよりも長く、非常に邪魔くさい。

・主に落としたとき、地の底まで落ちる前にすぐ掴めるようにするのが主な用途。

・王女も落下対策として、この飾り紐をほぼずっと腕に巻き付けていた。


■非常着

・王族が被災時や逃走時などに着用する衣服。

・長袖、長ズボンにミニスカートを組み合わせるという、現代で言うところのハニワスタイルを採用している。

・オリハルコンの針金が織り込まれており極めて頑丈。ちょっとやそっとの刃物では傷一つつけられない。

・そのためRPGなどではそこそこ性能の良い汎用女装備として「おうじょのひじょうぎ」がよく採用されている。


■詰め物

・胸元に詰める綿。所謂豊胸パッド。

・王女が幼い頃に亡くなった母が愛用していたことから王女も愛用していた。

・但し、王女は母が成長してからも詰め物を愛用していたことを知らなかった。

・また、王女は自身の胸囲が同じ年頃の母より豊満であることを知らなかった。

・余談だが、彼女の詰め物の量は侍女の胸囲を基準に設定されている。


■非常用背嚢

・王族が非常時に持ち出す必要最低限の物品が大量に詰まった背嚢。

・空間魔法により見た目以上に容量が大きく、それでいて軽い。

・具体的には一般的な民家と同じぐらいには物資が詰め込めるらしい。

・故に非常食や保存水といった普通の物から、組み立てられた状態の天幕など、王族用と言うだけあって訳の判らないレベルで物資が充実している。


■岩砕き

・正式名称「ボーダーライトサラマンダー」

・オオサンショウウオの姿をした大型の魔物。

・大きさは産まれたての幼体で掌サイズ。成体で人間を一口で飲み込めるほど。

・地面の下に潜み、縄張りに近付いた動物を襲う習性を持つ。

・土と水を操る魔法の力を用いて縄張りの表層を岩盤の如く硬くなるように、その下を沼のごとく緩くなるように調整している。

・獲物を襲うときの移動も魔法の力で沼状の土を流動させて行っており、その際に表層の岩盤を砕きながら移動するため「岩砕き」と呼ばれる。

・速筋が発達しており、獲物に攻撃を仕掛けるときの瞬発力は自前である。

・振動に敏感で、縄張りの上を歩く物は小鳥の足音でも感知できる上に聞き分ける能力も高く、自身の移動音で獲物の足音を聞き逃すことはない。

・獲物の通り道を縄張りで塞ぐ習性があり、特に魔物を襲う傾向が強い。

・幼体の頃には花壇の周りで害虫駆除、人間大ともなると畑の周りで害獣駆除、成体になると魔境の周辺で魔物駆除と、人の役に立つことが多い。

・成体以外は人間を襲うこと自体がなく、寧ろ人間が通ると怯えるほどである。

・この魔物を益獣とするかどうかは国によって異なり、普通に討伐する国もあるが、「闇の大山脈」周辺の国では概ね守り神扱いされている。

・王女も公共事業として「岩砕き」の幼体を育てて森に放ったことがある。

・王家は「岩砕き」成体の縄張りを常に監視しているが、王女を襲った個体は事件の前日に引っ越してきたばかりで、まだ把握されていなかった。

・アンファング王国では「岩砕き」成体の殺害は罰金刑が科せられており、王女も後に同額の金額を国営冒険者ギルドに寄付した。

・事件後、王女は「岩砕き」に気付かれないぐらい静音性の高い靴の開発を求め、完成後は非常用背嚢に常備されるようになった。


■ドワーフ

・土と火の扱いに長けた異人種。背丈は低いが恰幅が良い。

・非常に握力が強くて器用。オリハルコンを手ごねで成形できる。

・彼らは一度鶴嘴を振るえば鋼鉄で出来た山にも洞窟が掘れると豪語している。

・偏屈だが人間とは交流があり、アンファング王国の王城にも彼らの作った調度品や美術品が多数飾られていた。


■球技

・王女が嗜んでいる競技は多岐に渡るため、具体的に何のことなのかは不明。

・当時は野球と羽子板とラクロスを足して二で割ったような競技が流行っていたので、それのことではないかと推測される。


■魔力

・魔法を引き起こす力。正体不明。

・その性質は複雑奇怪で得体が知れず、個人の才能以外では感知も出来ない。

・但し、正常な物理法則や物質の成り立ちを知ることで、逆算的に魔力の影響も割り出すことが可能という事実も古来より周知されている。

・そのため、古来より魔術師は物理研究に余念がなく、その知識が深い。


■神

・この世界で最も偉大な存在。超越者。

・「この世界の創造者なのか?」「どう言う姿なのか?」「肉体はあるのか?」「そもそも個人なのか?」などその実体は不明なところが多く、宗教によって解釈が違う。

・ハッキリしているのは「実在する」「全知全能である」「人類の味方である」「偶に異世界から人間が迷い込んだり、転生してきたりする原因である」ということだけ。


■"盗み聞き"の魔法

・壁向こうの会話や遠くの者同士のテレパシー等を盗み聞く魔法全般のこと。

・どの魔法も"会話という概念その物"に作用するため、どんな原理で会話していてもその効果から逃れられない。

・対策には大型の妨害魔法装置が必要。当然携帯することは出来ない。

・"盗み聞き"という害意の概念で構成されているため、「エヴァスの木」はちゃんと無効化してくれる。


■エルフ

・風と水の扱いに長けた異人種。細身で背が高く、何よりも耳が長い。

・寿命が長く、身体能力も高く、魔力も高い。紛うことなく人間の上位種。

・全人類で唯一「闇の大山脈」で生活できる種族でもある。

・そのためどの種族よりも偏屈でプライドが高く、人間とは仲が悪い。

・その生活様式から「ウッドエルフ」「ハイエルフ」「ダークエルフ」の三種に分けられる(生物的には全くの同種)


■ウッドエルフ

・森を移動しながら生活しているエルフ。エルフの間では庶民相当。

・森の木の実などを採集して生活しており、肉は食べない。

・偶に冒険者と遭遇して争いになるのは概ねこの連中。

・王女の死後、逃走時の記録を残した手記が公表されると、彼女と遭遇した連中は「畜生! 取り逃した!!」と地団駄踏んで悔しがったらしい。


■ウッドエルフの集落

・通常は五人から十人ほどの家族で形成されている。

・また、彼らが叫んで連絡を取り合える範囲には同規模の集落が幾つか点在する。

 (エルフは耳が良いのでその範囲は非常に広い)

・大人二人分の高さに釣床を張り、その上に天幕を張った様な住居に住む。

・住居は男には一人一張り、女子供には纏めて大きな一張りが宛がわれている。

・食糧がなくなった時や緊急時にはすぐ移動できるよう、住居は荷物ごと畳んで持ち運びできる構造となっている。

・すぐ移動するため集落ではなく野営地と呼ぶのが正しいが、「実際のところ一定の範囲を定めてその中を移動しているので集落と呼ぶのも正しいのでは?」という意見もある。


■エルフの宗教

・「森こそが世界の基盤」だと崇め、尊ぶ宗教。

・簡単に言えば「森の中に住み、森を大切に使いましょう」というのがその教義。

・千年単位で生きるエルフよりも長く生きるのは植物くらいしか居ないため、必然的に崇める対象も森林になったというのが通説。

・「森を切り開く人間やドワーフを敵視することで、連帯感を高める」という意味合いもあるとされているが、そういうのは後付けとするのが識者の見解。

・「エヴァスの木」に関しても崇め奉っており、彼らとしては「神が我々の考えを正しいと認め、賛同したから授けて下った使者」と考えられている。


■エルフ語

・極めて複雑なエルフ特有の言語。

・複数種類の文字を扱う上に、同音異義語が多数存在する。

・それどころか一人称だけでも複数種類があるため、覚えるのが難しい。

・方言まで含めると、その全てを把握している人類は学者にも存在しない。

・王女も基本的な部分しか判らないため、彼女の意訳は些か不正確である。


■読唇術

・城でちょっとした世間話をしていると、遙か遠くに居たはずの王女に何故かバレると、かつて恐れられていた。


■ハイエルフ

・森の中に城を築いて定住するエルフ。エルフの間では貴族相当。

・彼らの城は森の木々を支柱に沿わせて絡み合わせながら、塔の形に育てることで作るので戒律違反にならない。

・「闇の大山脈」奥地に住んでおり、彼らの城に近付くと第一級冒険者でもただでは済まない。

・王子の寄越した迎えもこの城を迂回するため到着に明朝まで掛かる計算だったが、王女が無茶して巨大羆と戦ったのを聞いて最短距離を突っ切らせた。

・その際、互いに砲撃と魔法を打ち合う派手な一線が繰り広げられたが、奇跡的ながら互いに死者は出ずに終わった。

・この話を後から聞かされた王女は喜ぶこともなく、寧ろ渋い顔をしたとされる。


■角灯

・国営冒険者ギルドで冒険者に支給している物と同じ角灯。

・灯りがすぐに着きやすく、臭いで魔物にも気付かれないと大変好評。

・但し、着火性が良すぎたためゴブリンの巣に火攻めする者が多発してしまった。

・そのため現在は第五級以下の冒険者には支給せず、渡す際には「火付けに使わないように」と注意喚起が徹底されている。

・執事長も王女に散々注意していたが、極限状態で思い出されることはなかった。


■王家秘伝の忍び足

・アンファング一世が考案し、代々受け継がれてきた隠密技術。

・初代は「巨人の干物」を常に自分自身で抱えて守っていたため、こういった技術の修得が必須であった。

・「エルフの耳でも足音が判らない」が基準であり、その習得難度は非常に高い。

・また、「巨人の干物」を背負っていても周囲にぶつからぬ動きもその中には含まれている。王女が森の中を歩き回ってあちこちぶつからなかったのも、この技術のお陰である。


■トレント

・大木の姿をした怪物。

・普段は偽物の葉っぱを纏って生木のフリをしているが、獲物が近付くと枯木の姿に戻って襲いかかる。

・王女が語った説は正確には「枯木になる寸前の大木が、他の生物から生命力を奪うために魔物化した存在」であり、枯木その物とするのは間違い。

 (但し、「生木に憧れる」「生命を妬む」という性質は正しい)

・一定以上の生命力か魔力を吸収することで生木に戻ることが確認されている。

・「黒の森」では山火事などの災害跡地には森中から多大な魔力が集まるので、その魔力を求めてトレントも集うと仮説が立てられている。

・生木よりも火に弱いので基本的には山火事が起きてる真っ最中には集まらない。

・だが、恐らく当時は王女が森で暴れすぎて既に魔力の濃度が高まりすぎていたため、王女とトレントは遭遇してしまったと考えられている。


■ドラゴン

・最強の魔物。説明不要。

・「闇の大山脈」奥地の個体はそれこそ山の如く大きく、大陸最強と目される。

・後にその資料を見た王女は「遭わなくて良かった……」と呟いたらしい。


■録音装置

・オウムの形をしたガーゴイル。聞いた会話を一字一句盛らさず記憶する。

・正確には体内の石板に音や会話の情報を記録しており、その石板が会話の証拠となる。

・五歳児くらいには大きいので重い。そのくせオウムなのに飛ばないので運ぶのが大変な装置でもある。


■飛空船

・一定の高度を"水面"と定義することで宙に浮く船のこと。

・空中であっても動きは帆船その物。だが水の抵抗はないので航行速度は若干速くなっている。

・例え停泊時でも基本的には宙に浮いたままだが、緊急時などに地上に降りることも考慮されているため、その船底は平たいのが特徴的である。


■城下町

・王女の住まう王城周りの街。アンファング王国の王都。

・半島のあらゆる物資が集まるため、国際的で賑やかな街だったと伝えられる。

・割いた「小人の干物」をたっぷり入れた「小人パスタ」や「小人ポトフ」が名物として有名。

・頻繁に王女がお忍びで遊びに来ている事実は都民にも周知されていたが、そのうえで見て見ぬ振りされていた。

・事件後は交易都市として再建し、数年掛けて元の賑やかさを取り戻した。


■ダークエルフ

・森の外で人間相手に戦っているエルフ。エルフの中でも過激派。

・森から出て日に当たっているので肌が浅黒い。故に「ダーク」と称される。

・「森を切り開く愚かな人類に鉄槌を」という主義主張を掲げていくつもの村を焼き、いくつもの街に壊滅的打撃を与え、いくつもの国を滅ぼした。

・他のエルフからは「教義は『森に住め』と言っている。違反してる奴がエルフ面するな」と白い目で見られている。

・事件発生当初はダークエルフの仕業とされていたため「その通り! これが我らの力だ!」と高らかに喧伝していたが、それがただの偽装と判ると「愚かな人間が我々を嵌めようとした!」と不快感を顕わにしていたと記録に残っている。


■軍象

・一般的に武装したベヒモスのことを指す。

・通常の象の五倍もの体高を誇り、全身を鉄の装甲で覆っている。

・魔法で制御されているため、通常の象のように怯えることも暴れることもない。

・陸戦における王者と言うべき兵器だが、ハイエルフの精鋭はこれを弓矢と矢束さえあれば飛び乗って各個撃破できるとされており、人々から恐れられていた。


■巨大羆

・「黒の森」に古くから棲む巨大な羆。その体長は普通の羆の十倍ほど。

・基本的に大人しく、人間で襲われた者は殆ど居ない。

・寧ろ森に入り込んだ強大な魔物を駆除してくれるため、彼の縄張りは「闇の大山脈」入りしたばかりの冒険者にとっては探索しやすく、愛されている。

・通称「初心者向け狩り場の管理人」あるいはただ単に「管理人」

・事件後、暫く姿を見ないので心配されていたが、一年と二ヶ月後に森を元気に駆ける姿が確認されて冒険者達をホッとさせた。

・但し、その額には現在でも「巨人の干物」を叩き付けられた痕が残っている。


■崖

・後に王女が巨大羆との戦いを王子に語って聞かせたところ

 「その崖、幅は巨大羆の体長と同じぐらいだけど深さはその三倍なんだよね? それ、羆でも一度落ちたら登れない深さじゃない? 降りて来なかったのは狡猾だったからじゃなくて当然の話だと思う」

 という至極ご尤もなことを言われてしまい、顎が外れてしまったらしい。


■綱

・非常用背嚢に入ってたとても長い綱。

・オリハルコンが織り込まれており、極めて頑丈。

・極めて高価な物だが、疲れ果てていた王女は回収せず放置した。

・後に回収依頼を冒険者ギルドから発行。過酷な戦いの末に無事回収され、その冒険譚は全五巻の小説となった。


■空間魔法

・多種多様に存在するが、この場合は"背嚢の容量を増やす魔法"のことを指す。

・中に入った物の時間を止める効果もあるので、生魚でも永遠に保管できる。

・その代わり、魔法装置なども中に入れたままでは動かないため、大型装置を携帯して使うということは出来ない。

・故に非常用背嚢の中には傍受妨害用の魔法装置は入っていなかった。


■王女の朝の様子

・毎晩、王子といちゃついて夜更かしするので寝起きが悪い。

・侍女が起こしに行くと、普段は気さくな王女が殺意の籠もった視線を向けてくるので気が抜けなかったらしい。


■崖下の魔物

・王女の手記でしか確認されない、謎の魔物。

・事件後、冒険者がその死骸を確認しに行ったが髪の毛一本発見できなかった。

・そのため長年の間「話を盛り上げるための作り話では?」と考えられていた。

・後に王女の私物から極めて長い毛髪が発見され、実在説が有力となった。

・しかし、毛髪をDNA鑑定したところ「完全に人間の毛髪」という結果が出た。

・そのため「実は他にも同行者が居たのを隠してるだけでは?」という説も浮上したが、同時に「だったらこの長さは何だ?」という問題も根強く残り、現在でもハッキリした答えは出ていない。

・尚、王女の手記では

 「多分、多数の人間を襲って取り込んだ、特殊なスライム」

 「あるいは古代のフレッシュゴーレムのなれの果て」

 と予想されている。


■U字綱渡り

・王女が中央を弧状に撓ませた状態で崖を渡ろうとした行為。

・これが本当に上手く行く物なのかどうか、専門家の間でも判断が分かれている。

・実際に試そうとしている者も居るが、全く同じ条件を用意できた者はまだ居ない。


■ゼリー寄せ

・とある島国の郷土料理。鰻をゼラチンで固めて作る。

・王女が城下町に遊びに行ったときに食べて、大変気に入ったらしい。

・しかし、他の者に勧めても全く賛同されずふて腐れたという話は大変有名。


■秘技・魔剣大盾

・落ちてくる瓦礫を魔剣掲げて防いでるだけの行為。

・王女が適当に言ってるだけで特にそういう技や名称があるわけでは無い。


■国家公認禁断奥義・魔剣団扇

・魔剣で扇いで風を起こす行為。

・名称は王女が適当につけた物だが、行為その物は「余程の状況でない限り絶対にしてはいけない行為」として代々言い含められている。

・そのため、「巨人の干物」を動かすときは常に刃の向きに沿って、風を起こさないように動かすのが正しい扱い方。

・「巨人の干物」が剣の形をしているのはこの為であり、逆にいざという時は最大級の効率で風を起こせるようにするためでもあるというのが通説である。


■アダマント

・この世で最も硬い魔法金属。

・神以外には加工できないとされており、そもそもどこの山を掘っても産出しない。

・「巨人の干物」はこの金属で作られており、破壊は不可能とされている。


■ドラゴン退治の話を聞く度に近衛騎士が常々語っていた話

・要人がドラゴンに攫われたときに、うっかりよく調べないで退治したら、野良ワイバーンが異常繁殖したことがあったらしい。

・王女の手記には

 「『倒すだけならドラゴンの方が手強かったが、事態収拾するのはワイバーンの方が時間かかった』と沈痛な面持ちで語るのが印象的だった」

 と記されており、当時の記録を見ても壮絶な戦いであったことが覗える。


■回復ポーション

・肉体の損傷を治す水薬。

・飲んだほうが確実に効果があるが、緊急時には傷口に塗った方が回復が早い。

・一般的に市販されている品でも小指の欠損くらいなら瓶一本で生えてくる。


■解毒ポーション

・毒や病気を治す水薬。使用法は回復ポーションと同じ。

・一般的に市販されている品でもインフルエンザくらいなら瓶一本で完治する。


■ハイポーション

・最高級の水薬。

・回復ポーションの場合は全身火傷でも瓶一本で直ぐさま完治するほどである。

・解毒ポーションの場合は末期ガンでも瓶一本で直ぐさま完治するほどである。

・製造工程が異常に難しく、年にどちらか一本しか作れない。貴重品。


■ドゲザ

・東方に古来より伝わる最大級の謝罪の作法。「土の下に座る」と書くらしい。

・当時のアンファング王国には「自身の首を『斬り落としてくれても構わない』と言って曝す行為」が発祥だと伝わっている。


■拡声器

・タニシのように小さなホラ貝。通常はネックレスにして首に提げる。

・喉に触れさせることで任意の方向に任意の大きさの声が届けられるようになる。

・この時代の空軍が連携を取る際には必須の道具だった。


■回転翼機

・回転する翼の揚力で空を飛ぶ乗り物。所謂ヘリコプターの御先祖様。

・当時はまだレシプロエンジンは発明されておらず、動力は「催眠術で風車に風が吹いてると思い込ませる」という原始的な物が採用されていた。

・まだ研究が進んでおらず、アンファング王国の一部で輸送用に使われているだけ……そのはずだった


■戦車/戦馬車シュトライトヴァーゲン

・動物に武器を積んだ車を牽かせる兵器全般のこと。

・重装甲の箱車をリンドドレイクに牽かせる竜戦車や、屋根付きの小舟をヒッポカムポスに牽かせる海戦車などその種類は多岐に渡る。

・それでも当時はまだ空を飛ぶ戦車は存在しない……はずだった。


天空戦馬車ヒンメルヴァーゲン

・アンファング王国の一部で秘密裏に開発されていた軍用回転翼機。

・離陸も着陸も地面に対して垂直に行うため、戦車を元に開発された。

・王都炎上事件が起きた最大の要因。当時、地面すれすれを飛ぶことの出来る兵器はこれ以外に存在していなかったため、防空網をくぐり抜けて王城に兵力を送り込むことが出来た。

・有力とは言え地方貴族の財力で開発していたため完成度が低く、乗員も空戦のノウハウが判らないほどに練度が低かった。

・後にレッツト王国で本格的に開発が始まったところ「接地部分は車輪じゃなくてソリでいいだろう」という結論に達し、元々動物が牽いてるわけでもなかったので、この名称は早々に廃れていった。


■指揮車

・大型の輸送用空馬車。事件当時は謀反人が乗り込み司令部としても使われていた。

・前後に回転翼を配する大型輸送機という構成は理に適っており、後に開発される機体でも車輪以外は概ね似たような形が採用され続けた。

・収容人数は二十人ほど。貴族の乗る司令部と言うことで内装が豪勢になっていたため王女が想定しているほどの人数は乗り込めなかった。

 (他に数輌存在する輸送特化の車体では、王女の想定通りの人員が運べた)

・装甲に鉄板を用い、防御魔法の使い手を多数乗せていたので非常に頑丈。

・しかし、王女を確保しに出向いたときはそれ以外の人員を必要最低限しか乗せておらず、とてもじゃないが戦闘出来る状態ではなかった。

・王女は後に

 「アレがちゃんと兵力か武装乗っけてたら私は普通に死んでたんじゃないかな」

 というコメントを残している。


■護衛車

・小型で運動性能の高い空馬車。指揮車の護衛を主に行う。

・車長、射手、操縦士の三名によって運用される。後に近代的な装甲戦車でもこの構成は採用された。

・武装が弓矢と投げ槍だったため屋根がなく、雨天に弱かったとされる。

・反トルクを打ち消すためにテイルローターではなく、翼による空気抵抗を利用している。そのせいで前進時や方向転換時に余計な負荷が掛かるため、現代のヘリコプターほどの運動性能はない。

・当時としては革新的な機体だったが、やはり欠陥も多かったため回転翼機の研究が進むと共に廃れていった。

・但し、この機体の研究データを元にレシプロ航空機が開発されているため、全くの無駄な技術だったわけではない。

・尚、王女は何故かこの型式の回転翼機を気に入っており、後々自家用の機体を用意して乗り回していた。


■謀反人

・「アンファング王国王都炎上事件」を起こした下手人。

・その正体は名のある貴族であるが、この事件が起きるまでは地味で目立たない男だった。

・自身の領地で二十四年掛けて反乱計画を練り上げていたが、王女一人に逃げられたことで全てが瓦解した。

・事件時に自ら「闇の大山脈」にまで赴いたのは自分以外誰も王女の顔を知らなかったことと、「巨人の干物」の実態をよく判っておらず胸囲と認識していなかったためという説が有力。

・その他にも王女との接点が薄く、「比翼の指輪」の通信機能すら知らなかった可能性があるなど、兎にも角にも敗因は王女のことを知らなすぎたことだというのが定説である。

・彼の領地には反乱計画の核心的な資料が残っておらず、本人も死体すら残さず討ち取られたため「何故反乱を起こしたのか?」という最も肝心な点は現代において尚、歴史上の謎である。

・有力な説としては

 「勝手な国家併合が許せなかった(その割には愛国心は薄かったとされる)」

 「単に王様になりたかった(当時の時流では他国にすぐ滅ぼされるのでは?)」

 「実は異世界からの転生者で空気読めてなかった(異世界人も馬鹿ではない)」

 「単純にあだ名に苛ついてた(最有力だが流石にないと思われる)」

 などが挙げられるが、どれも問題点が多くハッキリコレとは言い切れない

・事実を知るのは王女ぐらいだろうとされているが、王女の手記に彼が出てくることは全く無く、討伐時の壮絶さも相まって余程恨んでいることしか覗えない。

・他には王子の手記に記されている

 「彼の者が何を抱えていようと、彼女に殺意を抱かせただけで万死に値する」

 と言う一文が極めて印象的であり、その意味をどう解釈するかで歴史マニアは一時間は議論できる。


■あだ名が柑橘類系

・「えーと、なんだっけ……確か皮だけ削って振りかけたりするアレだよアレ!」


■アンファング王国

・王女の故郷。建国八百四十四年の歴史ある小国。

・アンファング一世が神より「巨人の干物」の管理を任されたことにより、その歴史は始まった。

・「神が直接作った遺物」は権威としても研究用としても価値が非常に高く、狙う者は多かったため、国を興して軍隊に守らせる以外にほかなかったのである。

・「『巨人の干物』を守る」が国是であるため国王が保有する軍事力は常に高く保たれており「巨人の干物」の権威も相まって中央の権力は非常に高い国であった。

・国が大きくなるに当たって他の国も飲み込んで行ったが、上記の理由により貴族が強い力を持つことが許されず、封建制度を挟まない絶対王政に近い形態を古くから形作っていた。

・国民に対しては建国当初から「諸君らも魔剣を守る一員である」というプロパガンダを行っており、王への忠誠心と国民意識を高めていた。

・そのため非常に強力な国家体制を築いていたが、北方と南方からそれ以上に強い国に挟まれており、末期は特に緊張が高まっていた。

・そんな折に「闇の大山脈」を挟んだ半島東側全体を、レッツト王国という新興国家が支配し始めていたため、時の王アフリムは併合を決意した。

 (強国に挟まれた危険地帯から「巨人の干物」を移動させようとしていた)

・当時、空輸技術が急速に発達し始めていた時代だったこともあってこの話はとんとん拍子に進み、両国の王族の婚約と共に確定的な物となった。

・その後、「アンファング王国王都炎上事件」でアフリム王が討たれ、アナリザ王女がレッツト王国の庇護を受けたことが切っ掛けで併合が早まり、その長い歴史に終止符を打った。

・併合後は「レッツト王国アンファング自治区」となり、レッツト王国が勢力を広げる拠点として更なる発展を遂げることとなる。

・現代では「レッツト合衆国アンファング州」と呼ばれており、半島屈指の大都市として栄えている。


■アフリム

・アンファング王国二十一代目国王。王女の父親。

・北と南がきな臭くなってきたので、大魔境を挟んだ新興国家に併合して貰うことを決断した名君。

・その治世は併合を決めたこと以外は極めて無難であり、特筆すべき点はない。

・娘に対しては甘やかす方ではあったが、王族としての自覚だけは忘れるなと事あるごとに言い含めていた。


■アナリザ

・王女の本名。アンファング王国の王族最後の一人。

・「アンファング王国王都炎上事件」でただ一人生き残り、「闇の大山脈」に逃げ込むことで難を逃れ、追ってきた謀反人を討ち取って事件を終わらせた、稀代の女傑である。

・その人物像は「多才な天才肌だが軽率な行動が多く、周囲を悩ませていた」と現在に伝えられている。

・事件後も様々なトラブルに巻き込まれたようだが逞しく生き延び、愛する伴侶と共に幸せな人生を送ったようである。

・肉親が全員亡くなった寂しさからか多産であり、その生涯において十三人もの子宝に恵まれた。


■睡眠弾

・吸い込むと眠くなる煙をばらまく兵器。主に暴徒鎮圧用である。

・具体的には「羊が塀を乗り越える幻覚」を強制的に見せつけて眠くしている。

・素人が聞くと「そんなことで?」と思いがちな原理だが、羊自体が魔力的に眠気を呼び起こす存在と位置づけられているため、それを"強制的に数えさせる"ところまで行うこの兵器は、極めて複雑な魔法現象を引き起こしていると言える。

・「エヴァスの木」としては「でも羊の幻覚見せてるだけでしょう?」と言う判定なので防ぐ対象とはしていない。この為、現在でも全く同じ物が使用されている。


■光炎矢

・何らかの物体に突き刺さると凄まじい光と音を放ちながら燃え上がる矢。

・魔道具としては例外的なことに迂遠な原理は特にない。爆弾と殆ど同じである。

・伝承としてはその昔、神に召喚された異世界人が作ったと言われている。


■爆炎槍

・「光炎矢」の上位版。刺さった周辺が爆風で吹き飛ぶ投げ槍。

・こちらも特に迂遠な原理はない。矢より槍の方が大きいから威力が強いというだけである。

・魔法では炎一つ起こすにしても「精霊に頼む」「特殊な呪文を唱える」「誰かに赤っ恥を掻かせる」「恋をする」などと言った奇怪な過程が必要だったため、単純に当たったら爆発するだけの兵器は発明当初としては画期的だった。

・しかし、作製した異世界人は「こんなのでチートした気にはならない」という謎の言葉を残している。


■ブッシュ・ド・ノエル

・冬至祭で振る舞われることの多い、丸太型のケーキ。

・主に大陸中央で食べられるお菓子であり、アンファング王国にはごく最近入ってきた。

・王女も城下町の喫茶店で最近食べたばかりであり、次に王子が来たときは必ず連れて行こうと決意していた。


■秘技・魔剣投槍機アトラトル

・魔剣に大木を載せて、投げつけるだけの行為。その見た目はアトラトルその物。

・王女が適当に言ってるだけで特にそういう技や名称があるわけでは無い。

・そもそも「巨人の干物」に重量物を乗せて運べて、あまつさえ投擲できるという事実に気付いたのも王女ぐらいである。


■最強の巨人

・かつて大陸全土を脅かした最強の巨人。魔剣の中で乾涸らびている者。

・当初は普通の人間だったとも、最初からある程度大きかったとも言われている。

・幼少期は「気は優しく力持ち」を絵に描いたような善人だったらしい。

・しかし、成長するにつれて増長し、この世の王になろうとした。

・終いには神にも挑み、その胸ぐらを掴んで地上に引きずり下ろそうとしたところを魔剣に封じ込まれてしまった。

・神は封じた魔剣を回収しようとしたが、巨人が重すぎて天井まで持ち上げることが出来なかった。

・そのため自らに協力したアンファング一世に魔剣を託した。

・これが王家に伝わる「巨人の干物」誕生秘話である。

・この話が正しいかどうかは人によって意見が分かれるが、実際に巨人が暴れた跡地とされる場所は各地に点在しており、ある程度の真実は含まれているという見方が一般的である。


■アンファング一世

・アンファング王国の初代国王。

・元々は単なる農家の三男坊だったが、村を出て放浪の旅に出てる折に神と巨人が争っている現場に遭遇し、運命が変わった。

・この時彼が何をしたのかは諸説あるが、持っていたハサミで踵を切りつけようとしたという話が最も多い。

 (中には「切ろうとしたが気付かれず、踏みつぶされたのを神に蘇生された」という珍説もある)

・神の役に立ったかどうかも定かではないが信頼を得たことだけは確からしく、神が回収できなかった魔剣はアンファング一世の手に託され、末代まで守っていく約束が結ばれた。

・受け取って暫くは四六時中手放せず、そのくせ腐臭もする魔剣に辟易していたが、それでもへこたれずに魔剣を守っていた。

・だが、段々と魔剣の話が広がり、自分ごと魔剣を奪おうとする者が現れると遂に怒りが限界を向かえ、積極的に戦うことを決意。

・魔剣を振り回して暴れてるうちにその力に魅せられた人が集まり、彼に王になる事を薦め始めた。

・やがて自分をしつこく狙っていた領主をも打ち倒した彼はその領地を奪い、王となることを決意した。

・彼自身は学の無い男だったが集まった人材を上手く活用しており、魔剣の保管技術や後継者への教育体制を確立するなど国の基礎を巧みに築き上げていた。


■集音器

・聞きたい音を集めて聞こえるようにする装置。

・謀反人と王女の対決時には回転翼の風切り音だけ聞こえなくして、王女の声だけ大きく聞こえるようにしていた。

・軍事機密であり、具体的な原理はよく判っていない。恐らく素人目にはよく判らない代物である事だけは確かである。


■空中艦隊/砲列艦

・レッツト王国が誇る砲列艦の艦隊。当時、最新鋭の空中戦力である。

・側面から方針の長い大型艦載砲が、ずらりと並んで生えているのが特徴。

・帆船なので推進力は風だが、魔術師が風を起こすことで自由自在に移動を行う。

・その場で世界することも出来るため、後の研究家は「この時代の砲列艦は船体その物が戦艦の砲塔みたいな物」と称している。

・その上で騎竜兵も多数搭載しており、軽空母としての側面もあった。

・空戦における主力兵器であり、この時代において制空権を握った空域とは「空中艦隊が留まり、その砲撃が届く範囲」を指していた。


■大型艦載砲

・火薬と電磁力で砲弾を飛ばす大型砲。砲身にはライフリングも施されている。

・この時代は火薬の威力が弱かったので、魔法で砲身をコイルガンと化すことで補っていた。

・現代では火薬の発達により電磁力は不要となったため、大型砲には採用されていないシステムではある。

・だが、代わりに小型化が進んだので擲弾発射器などでは採用されている。


■対空砲弾

・内部に火の精霊が宿っていて一定の時間になると火薬を爆発させる砲弾。

・精霊は訓練により時間の数え方が性格だが、ソレでも個体差はあるためタイミングを合わせて爆発させるのは大変難しい。

・その後、砲弾に覗き窓を作り精霊に直接確認させることで、より正確に目標の間近で爆破する技術が確立した。


■騎竜兵

・鰐の頭と蝙蝠の翼に三本の尻尾を生やした怪物"ワイバーン"を駆る騎兵のこと。

・ワイバーンは騎馬の襲歩の三倍もの速さで飛び回り、口から炎を噴射して敵を焼き尽くすことが出来たため、当時としては最も運動性と火力に優れた騎乗生物であった。

・主に偵察及び奇襲に使われる兵力。空戦でも敵艦隊への攻撃などで多大に役立つが、空中に留まることが出来ないので当時はこの兵種だけでは制空権を握ることが出来なかった。

・余談だが、近衛騎士がドラゴンを倒した事で異常繁殖したワイバーンの多くは生け捕りにされてレッツト王国に輸出されており、事件当時に王女を救うため「闇の大山脈」を飛び回っていた。


■レッツト王国

・「闇の大山脈」を挟んで半島東側全体を支配する新興国家。

・半島の東側は広大な平地こそ広がっていたが、「黒の森」により大陸から直接渡る経路が塞がれていたため、長年未開のまま放置されていた。

・しかし、航海技術の発達によりシーサーペントやクラーケンを排して海側から上陸できるようになると、一斉に人が集まるようになった。

・百年前から始まった入植は順調に進み、七十一年前に統一国家としてレッツト王国が建国された。

・元々誰も入り込めなかっただけで土地自体は西側よりも広く、資源も豊富だった東側はレッツト王国をスクスクと育み、あっという間に半島最強の国へと押し上げた。

・技術的にも世界の最先端をひた走っていたこの国は、唯一つ歴史の浅い国と言う一点で他国から嘗められることが多かった。

・そこにアンファング王国から"「巨人の干物」の守護及び国民の優遇と引き替えに我が国を併合して欲しい"と言う話が来たため、否応にもなく飛びついた。

・併合後は彼の国が誇る最大の権威を手にしたため、以降は嘗められることもなくその勢力を伸ばしていくこととなる。


■リロイ

・レッツト王国二代目国王。

・歴史浅い新興国家をどう伸ばすか悩んでたら、歴史の古い国家が自分からその権威をプレゼントしてくれたので大喜びした人。

・そのために息子を相手側の娘さんと婚約させたら、想像以上に熱を上げられた挙げ句に「彼女の危機だから最新鋭の空中艦隊寄越せ。早く」と脅され、ビビる羽目になった。


■ラビノット

・王女の婚約者。後のレッツト王国三代目国王。

・比較的生真面目な性格だが、一度冷静さを失うと極端な行動に走る面もある。

・アナリザ王女とは物心つく前から交流があったが、先に恋心を抱いたのはラビノットの方であり、五歳の頃にはもう「きみをいっしょうまもる」と告白していた。

・一方のアナリザは実のところ、ごく最近までは特に婚約者という自覚も無く、ただ「一番仲が良い友達」という認識だった。

・実際の頃に正式に婚約を結び、婚約指輪を嵌めたことでようやくアナリザも意識し始め、毎晩の語らいによりベタ惚れするに至った。

・国王を継いだ後は極めて優秀な統治を行い、「巨人の干物観覧祭」で息子が魔剣を引き抜いたのを機に半島統一を一息に成し遂げた。


■アンファング王国王都炎上事件

・アンファング王国の王城が一晩で攻め滅ぼされ、王都ごと焼失したという歴史上稀に見る大事件。

・当初はダークエルフによるテロだとされていたが、実際は名のある貴族の反乱だと僅か二日で判明し、収拾した。

・秘密裏に開発していた回転翼機で王都の防空網をかいくぐって攻め入り、全てを焼き払って証拠を隠滅した上でダークエルフの仕業と嘯く。その上で真っ先に事態収拾に走った功績で安定後の実権を握るという、極めて派手な反乱計画であった。

・しかし、計画の最中で王女を取り逃がし、「巨人の干物」を持って逃走されたことで全ては失敗に終わった。

・王女が逃亡の際に「闇の大山脈」に逃げ込んだことや、追ってきた謀反人と直接対決で決着をつけたことなど、顛末まで含めてとにかく派手な事件であった。

・尤も、その後の社会情勢としてはアンファング王国のレッツト王国への併合が早まったことと、迅速な復興でレッツト王国の国力が世間に見せつけられた以上の意味合いは特にない事件でもあった。


■巨人の干物観覧祭

・アンファング王国で毎年行っている祭典。

・特設された祭壇に突き刺された「巨人の干物」を一般公開し、引き抜けた者を王族と認めるという内容。

・遙か昔、王族の庶子が市井に流れた疑惑が生じたとき、事実かどうか確認するために「巨人の干物」を街中に設置したことが全ての発端。

・結局、疑惑はデマで終わったが「自分達が守っている剣の実物に触れた」ということで国民の反応が良かったため、それ以降は恒例行事となった。

・大半の国民は抜ける訳がないことを知っているが、案外他国からは本気で挑もうとする力自慢が尽きることなく訪れている。

・他にも各方面の技術者が「ひょっとしたらこれなら抜けるのでは?」という新技術を引っ提げて挑み、貴重なデータを得て研究に生かしている。

・どう言う目的にしても"神が自ら作った魔剣"という神秘に直接触れられるのは貴重な経験であり、現代においても尚人気を保っている。

・様々な人間が魔剣に挑む様子を眺めながら「小人の干物」を食み、最後に王族が楽々抜いてみせる姿を見るのは国民最大の楽しみであった。

・「アンファング王国王都炎上事件」の後は開催を危ぶまれたが、レッツト王国の王都にて例年通り無事開催された。

・その際にはアンファング王国各地に参加者を迎えるための飛空船が多数回航し、その国力を誇示すると同時に「レッツト王国はアンファング王国の民を軽んじない」という意志を明らかにしていた。


■勇者

・神によって選ばれ、世界を救う使命を帯びた英雄。

・本人が望む限り、鍛える限りの強大な力を会得し、あらゆる敵を打ち倒す。

・別に強制というわけでもなく、やりたくなければ使命は放棄可能ではあるが、そういった行動に至った勇者は居ない。

・神はちゃんとそれが出来る正義と勇気を持つ者を勇者に選んでいる。

・王女が存命していた時代にも勇者は存在しており、事件後初の観覧祭にも参加していたが、流石に魔剣を引き抜くことは叶わなかった。

・祭りの後は直ぐさま戦いに戻り、数年にわたる戦いの後に復活した直後の魔王をサクッと討伐してその使命を完遂した。


■聖剣

・神によって作られた、勇者にのみ授けられる剣。

・一振りで山を薙ぎ払うことも、人質をすり抜けて敵だけ切り裂くことも出来るらしい。

・この剣を手にし続けている限り勇者は勇者であり、逆に捨てれば勇者は簡単に勇者を辞められる。

・「巨人の干物」が聖剣と同一視されることも多いが、そもそも聖剣は世襲制ではないのであくまでも魔剣として分類されている。


■軽くする魔法

・毎年必ず誰かしらが「これなら行ける!」と思って使う魔法。

・事件後初の観覧祭では「土の精霊に重力を抑え込ませる魔法」が使われた。

・当時担当していた土の精霊にその時のことを聞いてみたところ

 「神でも持ち上げられなかった物を精霊風情が持ち上げられるわけないだろって何度も言ってるのにあいつらやらせようとするんだよ。巫山戯んなよ。馬鹿かよ。本当にイヤになっちゃう」

 とのコメントが帰ってきた。


■ベティ六号

・祭壇を跨ぐほど大きな魔動重機。原動力は操縦者の気合い。

・観覧祭に挑むために作られた技術試験用の機械だが、五号までは使用許可が下りず涙を飲んでいた

・六号になって初めて許可が下りた時は技術者達も大酒飲んで大歓喜したが、その後に事件が発生しレッツト王国での観覧祭開催決定までは過呼吸で眠れない日々を過ごした。

・六号は結局何も成果を出せずに終わったが、その後も毎年最新機を持って挑み続けた。

・そして十三号の挑戦で「巨人の干物」が僅かにずらされる事態が発生。見物していた国民が泡を食ってパニックに陥った。

・結局それ以上は動かなかったが、王女はその技術力を讃え「準王族」の称号をベティ十三号に与えた。

・その後も当然挑む気満々だった技術者達だったが、十四号を作る前に最重要の部品を作っていた技術者が老衰で死去。

・後継者はおらず、他の部品で代用することも出来なかったため、ベティシリーズ開発は十三号を最後に潔く打ち切りとなった。

・開発の時に生じた各種データは一般公開されており、現在でも使われている重機に活かされている。

・また、その後のベティシリーズはレッツト王国の博物館に保存されており、時折動いてるところも観覧できる。


■スズキ

・王女と同年代にいたとされる異世界人。

・大陸中を旅して回り、奴隷解放したり悪徳宗教を壊滅させたりと好き勝手していたらしい。

・「ステータス調整&権限解放チート」なる力を持っていたとされるが詳細不明。

・「この人物が観覧祭に挑んでいたら『巨人の干物』もひょっとしたら抜けていたのでは?」とは後の創作で良く取り上げられる題材であった。

・しかし、本人の手記により本気で挑んだが失敗していたことが発覚し、その事実に作家達は発狂したらしい。


■ステータス

・異世界人には見えることがあるらしい謎の概念。

・生物や道具の性能が数字で確認できたり、相手の性質や能力を職業やスキルという形で分類化できるらしい。

・そんなことが出来るのであれば人材育成に役立つのではないか? と言うことで幾人もの魔術師が再現に調整しているが、現代に渡っても未だに成功例はない。

・具体的には「何を基準に数値化や分類化すれば最も正確に出来るのか判らない」という最大の問題が解決できない限り不可能とされている。

・恐らく異世界から呼び寄せた人材が迷うことなく生きられるよう、神が与えた特別な奇跡なのだろうとされるのが一般的な見解である。


■無病息災

・「巨人の干物」を触ることで得られるとされる御利益。

・「本気で抜く気は無いが触りたいという人」の中にはそう信じる者も大勢居る。

・特に田舎の山奥に住んでいる人々に多いため、次の観覧祭がレッツト王国で開催されると判明したときは生きる気力を失うほどに残念がられた。

・王女はその事を熟知していたため、王子にそういった田舎にこそ優先的に飛空船を派遣するよう要請した。

・王女からは

 「建国当時はともかく『巨人の干物』は既に武器ではない。王権を誇示し、人々の生活が揺るぎないことを示すことこそ現在の意味。だから『巨人の干物』で安寧を得られる人の前にこそ、その姿は晒されなければならない」

 との言葉が残されている。


・その信念は現代でも決して変わらず、伝え続けられている。

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逃走王女と巨人の干物 円同 @siro-kuro

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