第264話 殺された記憶

 その瞬間、ボクの脳裡に閃光が走った。

 一瞬だが、殺された時の記憶がよみがった。


《そうだ……!!》

 ボクを殺した男の手の甲にも『赤い蜘蛛』のタトゥがほどこされてあった。 

 しかも、同じ『香水』の匂いがした。

「くッ!!」

 咄嗟に、ボクは彼の肩を掴もうと手を伸ばした。


「ちょッ、待ってくれ!

 この『香水』は……」

 彼の肩を掴んだが、不審な男はクルッと振り向きざまに殺気を放ち、ポケットから出したスタンガンを押し付けてきた。

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