なんだかんだで首都
いやー長かったようでたった数話で収まるくらいあっという間に感じる馬車の旅でした。
あれからも度々魔物や盗賊とご挨拶する事があったけど、俺としては戦闘に関われて終始ご満悦。
ただその度にスゥ様達三人娘がこそこそと話し合うから寂しい思いもした。
幾らどうしたのって聞いても毎回はぐらかすんだもん。
そして、本格的に共和国へ入ってからは小さな村や町でディーナお姉さんの噂や誕生祭の話がチラホラ出るようになってきた。
皆楽しそうに話しているからディーナお姉さんも王様も慕われていることがよく分かる。
早くお姉さんに会いたいな。
盗賊魔物変態姉妹の襲撃をかいくぐって、首都であるティリカに到着。
シェアローズの王都と同じく人の数はそこらの村や町とでは雲泥の差もあるほど段違い。数の波に流されて迷子にならないように気を付けよう。
俺達の乗った馬車は貴族用の出入り口に向かう。
貴族やお偉いさんの中にはほんの少しの間も待てない人が多々いるらしいから仕方がなく入口を分けているそうだ。
俺は別に並んで待つのは平気だけど、乗っている馬車が明らかに高貴な身分が乗る専用の装飾を施されている。下手に平民に混じって並んだら萎縮させてしまうらしい。
ここは大人しく従おう。
そして門を抜ければ首都ティリカ内部へ。
誕生祭が近い事もあってか色んなお店に祭り事用の飾り付けがされている。
皆お祭りが楽しみなんだろう。あそこで布教しているエルドも楽しそうだ。
誕生祭前にも関わらず賑わう街中を進んでいると、今晩からお世話になる大きなお城が見えてきた。
圧巻なお城ももう慣れた。聖女になってからもうすぐ一年。
何度も行き来していれば緊張することも無くなった。
そんでもって到着。
我が国でも当たり前みたいにメイドや従者おまけに騎士達が道を作って待っている。
通りたくないけどその先にディーナさんや確か第2王子のセイル様が待ち構えている。
素通りする訳には行かない。
メイド道の手前で馬車が停止。
ロコルお姉ちゃんが先に降りてミーナちゃんとスゥ様は俺に抱きつく。剥がすのは諦めてロコルお姉ちゃんの手を取り俺も降りる。
全員が降りたのを確認したフォルクスさんがディーナさん達の元まで歩き始めた。
遅れないよう付いていこう。
お辞儀をして表情を伺えないメイド道を進み目的地へ着く。
流石に他国の王族の前。
スゥ様達にはいい加減地に足を着けて欲しい。
「スゥ様、ミーナちゃんもう抱きつくのは終わり。もう王子様が目の前だよ。」
「「お姉様、私達に構わず行ってください。私達なら大丈夫ですから。」」
台詞だけなら格好いい。
ここが戦場なら英雄の資質あり。でも、ここでは変態の資質となる。
「降りてください。ほら皆呆れて笑ってますよ。」
「「こ、ここは私達の特等席です!!」」
最近、この子ら自重しない反抗期かしら。
首締めの前段階を試すとするか。
「スフィア王女様、ミーナさん。」
「「っ!?」」
「これ以上我儘言うなら今後一切気安く接しません。今からただの知り合いです。」
「「心の底からすみませんでした!!足でもお尻でも舐めますのでどうかご慈悲を!!!」」
バッと直ぐ様離れて声を揃えて見事に地へ両手をつけて立派な謝罪。おまけの欲望も忘れない。
これには他国の王子もドン引きだ。ディーナさんやロコルお姉ちゃんはあらあらと呆れ笑い。
「はい許します。率先して舐めようとしなくていいから立ってください。」
二人は簡単に涙と鼻水を流しながら立ち上がる。女の子がそれでいいのかい?
一連の喜劇を終えて改めて向き直る。
そして、ディーナさんと目が合ったその瞬間包まれた。
PS.次回は主人公の幸福回です。飛ばしても構いません。
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