ドキッ不安だらけの交流会3



俺では生涯かけてもその頂きへと至れない。そう思わせるには十分な山2つが今も尚俺を窒息させようとぎゅむむと圧してくる。

鼻孔をくすぐる色香。


いつまでも埋もれたいと薄れそうな意識の中そう思う。


「ディーナ、そろそろその子を離してあげなよ、窒息死するから。」


構わんもっとやれ。


「あら、あらあらごめんなさい。つい可愛らしかったから本当にごめんね。」


慌てた様子で俺から離れ、申し訳なさそうに謝罪を述べてくる。


「いえ、ありがとうございます。目標にさせて頂きます!」


諦めたらそこでお終い。まだ発展途上、幾らでもバインバインになる可能性は秘めている。


「ふふ、面白い子ね。改めてご挨拶します。私はアーランド共和国で聖女を務めているディーナです。これでも最年長でおばさんよ。」


おばさん?

まだまだ十分お姉さんだ。

そんな小さな皺なんて四捨五入したら全く無いに等しい。


「ディーナ様、先輩聖女様として是非まだ未熟な私にご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致しむぶぁ!?」


「もうディーナ様だなんて堅いわ!ディーナおばちゃんって読んで良いのよ。」


よし、また来た。

苦しいけど有り難や。

アルフ達どうだ羨ましいでしょう。


「ず、ズルいですわ!お姉様は私のお姉様なんです!」


お胸様へと埋まるアリスの腰へ突撃スゥ様タックル。

そのままディーナへと威嚇するように獣と化す。


「ガルルルル!フーフーにゃあっ!?」


「まぁ、まぁまぁ、この子も可愛い!二人まとめてぎゅってしちゃう。ギュウゥゥゥー。」


お胸様はご寛大。

脳筋だろうと変態だろうと全てを包み込む。しばらくこうしていたい、けれど楽しい時間はすぐ終わる。呆れ笑うセイル王子が諌めたことでディーナおばちゃんはしゅんと解放した。


解放された二人は顔を赤らめフニャフニャ。


「く、屈しません。私の全てはお姉様のものです。」


変態が横でなんか言っている。


そして、楽しい時間は終わり。セイル王子達にまた会いましょうと告げてお別れして挨拶周りの再開。



ディーナおばちゃん達以外は相変わらず関わりたくなさそうだったり不愉快そうな視線のまま応対してくる。

でも、残りはあと一つ。


アルフに付き添い向かった先では、またも失礼な目で見やる二人の男女。

どちらも俺より年上。だからといって優しく接してくれる気はなさそうだ。


到着してまずはアルフから。



「どうも初めまして、私はシェアローズ王国から…。」


「挨拶など結構だ。野蛮な子供を聖女に据える国と関わりたくもない。」


挨拶を遮るように放った言葉は容赦ない罵詈雑言。やだ、この人達も豚司教系かしら。


「そうよ、こんなのと同じ聖女と思われたくないわ。あーあ本当この交流会参加したくなかったわ。こんな子供に負ける勇者へ媚を売るなんて嫌だわ。そもそもあの程度で災厄を退けれるのかしら。」


酷い言い様。

でも、勇者に関しては概ね同意する。基礎の強さに驕って全く修練をしていない。


「ふん、災厄が来ようとも我が帝国の前では恐るるに足らぬわ。フッハッハッハ。」


傲岸不遜な態度で高笑いしながらこの場を去っていく。

結局、挨拶出来なかった。


「ねぇ、あの人達なんだったの?」


「あぁ、あれらはアーランド共和国に隣接するギルムンド帝国の使者だ。男の方は皇族で女性の方は聖女様だな。」


「へぇーある意味凄いね。」


「凄いよな、酷い方面で。私達は野蛮らしいからあまりあの国とは関わらないでおこう。」


「うん、だね。」


隣では野蛮代表になりそうなスゥ様が唸り声を上げて獣寄りになっている。

はいはい、鎖で繋いどきましょうね。


「済まなかった。日頃の勇者殿の素行を諌められなかった私の責任だ。本当に申し訳無かった。」


最後に教皇様へもう一度挨拶をした。その隣には教国の聖女という女性も付き添っていた。教皇様と同様に眉を8の字にして申し訳なさそうにしているから良い人そう。


昨日の事情を知った教皇様は立場を省みずすぐに謝罪を述べてくれた。

こんな人が頂点に居てなんであんな爺や勇者が育つんだろうか。


不思議だけどこれで挨拶は全て終了。残りの時間は飯を食って時間を潰す。




なのに、扉が思いっきり開け放たれた。

正義だろうと悪だろうとそういうのは遅れてやって来る。



憎悪を宿したそいつは元気いっぱいにやって来ました。


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