ドキッ不安だらけの交流会
「チュンチュンチュン」
小さな一人用のベッドの側で鎖に縛られた姫様のさえずりで目を覚ます。
何度も懲りない女の子にももう慣れました。最近は天井に貼り付いてたりと巧妙さに磨きが掛かっているけれどまだ私の純潔は守られている。
慌ててやって来たシーナさんに回収して貰い、寝間着からローブへ。
教会やアルフ達のお城と違って着替えを手伝おうと押し掛けてくるメイドとか居ないから気が楽だ。
パパッと着替えて朝食へ。
朝食はシェアローズ組で固まって摂る、けれど2名不在。晴れて従者になったタローさんは待ってて下さいとだけ残してエルドさんの背中を追いかけて行った。お兄さんが道を外さないか心配です。
もう一人のフォルクスさんはまだ寝ているのか食事の場に現れなかった。
それかもしかしたら交流会関連で出張っているのかもしれない。肉を食らっていたらアルフが本日の予定を教えてくれた。
交流会の決行、ただし一日だけ。元々三日間の予定が昨日のやらかしで急遽一日のみとなった。
あんな試合をしたのに交流会はきっちりと行なうなんて案外あの勇者は強靭な精神をお持ちのようだ。
また再会しても禄な事がなさそうだけど立場が参加を強制させる。まぁ勇者も隅の方でひっそりと過ごしておけばわざわざ寄っては来ないだろう。
交流会は原則お昼から夜まで。それ以降は各々自由に。
一応、お子様な俺に配慮してくれているみたい。子供は早く寝ないとね。
食事を終えて部屋に戻る。
扉を開けるとそこにはスゥ様とシーナさんが。
それぞれ手には数着のドレス。
一旦閉じる。
気のせいかともう一度開けあ、もう目の前ま…。
いつものローブがあるからと言う暇もなく一方的追い剥ぎに遭う。親切に追い剥ぎった後はドレスを嫌がる俺に無理矢理着せてくる。同じ女性とは思えない力強さと強引さで俺の身体を蹂躙していく。
最後に残ったのは、ツルツルヌベヌベと満足げな姫様とシーナさん。そして、フリフリなドレス姿でゲッソリと倒れる少女でした。
手足をピクピクと小刻みに震わした少女。その瞳は光を無くし、ア…ア…と虚ろな声が洩れていた。
脳筋聖女様でも鼻息荒く押し迫る女性には敵わない。
しばらく意識が朦朧としていたもののやがて覚醒した。心配そうに顔を覗くアルフの姿。
甚振られた後、二人に担がれる形で合流したと説明してくれた。その間に何かしてなかった聞いたけど目を逸らされた。何も無かったと思いたい。
曖昧な意識の中で気付かなかったけれどもう既にお昼。
いよいよ交流会。隅で落ちている小石にでもなった気持ちで佇む簡単なお仕事。
ちゃちゃっと終わらせて早くロコルお姉ちゃんのいる王国に帰りたい。
にゅるりと這い出た寂しい気持ちを遮るように会場までの案内を務めるメイド達がやって来ました。
会場は以前使われた謁見の場を通り過ぎた所。
扉の前に立つ騎士に開けてもらって思わず出ちゃう大きな溜息。
大きなホールに沢山のテーブルの上に置かれた料理の数々。
そして、何よりも俺に集まる大量の視線。
悲しいかな好意的な視線は殆ど感じない。どうか何事もなく平穏無事に終わりますように。
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