タローの決意2



ある日森の中聖女様に出会った。


それとなくどころかド直球に僕が勇者に関わる人間ではないかと疑っていた。

勇者と全く関係が無いわけではない。勇者と一緒に巻き込まれたから。

でも、もしこの聖女様がお城から遣わされた追手とかだったら素直に伝えていいものなのか。悩んで悩んで上手く答えることが出来ない。

僕のしどろもどろに伝染するように聖女様もオロオロしだした。


オロオロする僕らを見兼ねたお供の方の提案で落ち着ける場所で話すこととなった。



そして色々と話し合って分かったこと、聖女様もといアリス様は追手でも敵でも無いこと。勇者と同じ異世界から来たからといって態度が変わることなくその笑顔を向けてくれること。

勇者が余計な言葉を発して僕の心が削られたこと、ロリコンの説明をする身にもなれ。



最後にこんな生きる術を殆ど持たない役立たずな僕に二度目の救いの手を差し伸べてくれたこと。突然の理不尽な世界で素性の知らない僕に何の躊躇いもなく受け入れてくれた。


恥も外聞も関係なくこの時ばかりは泣いてしまいました。


そして、僕は聖女アリス様の従者にして頂きました。今は名ばかりの緊急措置だと理解している。でも、いつかはこの優しき小さな天使様を守れるくらいの従者いや騎士になってみせる。



そう決意しました!……………………けれど、この天使様に守護騎士とか居るのだろうか?

目の前で繰り広げられる蹂躙を見て思う。

初めあの勇者と戦うというアリス様を止めようとしたけど馬鹿みたいに思える。

許可を貰って鑑定したけど、あの数値は異常。こっそり勇者を鑑定してみたけど、ユータさんの筋力よりも10倍はある。あんな小さな細腕にどう内包されているのだろう。


勇者よりよっぽど勇者らしいステータスをしている。

心は聖女で身体は勇者。


災厄が訪れてもこの御方がいればどうとでもなりそう。



でも、それでも僕はアリス様を護れるようになりたい。助けてもらってばかりで恩を全く返せていない。あの御方なら笑ってそんなの要らないよと仰るだろう、でもそれは男して余りにも情けない。いつもビクビクしてばかりの弱気野郎でもここで動かねばいつ動くという。



そう心に炎を宿した時、脳内にアナウンスが流れた。


『聖女の導きの内容を更新しました。』



僕は急いで聖女の導きを確認した。

そこに載っていた内容はこちら。


聖女の導き

・聖女及び聖女の臣下から施しによる強化及び解放。



それ以上は書かれていなかった。けれど、これだけヒントが貰えれば十分。



この能力から推測してある人物に声を掛けた。

アリス様本人には頼まない。泣けなしのプライドが残っていたみたい。


だから、聖女様の臣下。

今日までを振り返り最も高確率でアリス様の臣下だと思う人。

怪しいけど王族を臣下にはしない、残るは一人。




「エルドさん、どうか聖女様を…アリス様を護れるだけの力を下さい!!」


エルドさんは僕の両肩をガシッと掴んでこう言った。





「ようこそ、アリス教へ。」



今は頼るしか出来ない男だけれど待ってて下さい。

僕は必ず聖女様いやアリス様いいえ女神様を護る盾となってみせます。



信者率76%


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る