聖女のこっそり冒険活動2



現在、オーロラル教国聖都支部の冒険ギルド。

変態的信者と護衛を連れてやって来ました。

最初は俺の冒険を止めようとした護衛もちゃんと顔を見上げてしっかりとお願いしたら了承してくれた。度々、顔が赤くなるのは風邪だよね?


なにはともあれ入りやす。

ギルドに入った時から始まる毎度お馴染みの見定めるような視線の数々。ローブ姿のちびっ子に騎士鎧を纏った男、祈りを捧げる変態おじさん、こんな面子なら注目しても仕方ないのかもしれない。

俺は聖女となって沢山の視線を受けるのは慣れている。だから、気にせず受付をするお姉さんの元へ歩いていく。


受付嬢の視線はもちろん護衛に。


「なにかご依頼でしょうか?」


「ううん、違うよ。薬草採取の依頼を受けに来たんだよ。」


俺が発言したのに驚いた様子。我儘言ったけど、ただ付いてきた子供じゃないよ冒険者だよ。


「薬草採取ですか?」


「うん、冒険者だからね。」


俺は昇進試験でおっちゃんを負かして等級の上がったカードを見えるように置いた。

む、信じられないような顔をしないで。


「し、失礼致しました。冒険者様でいらっしゃいましたか。すぐに受理致します。」


うんうん、流石その道の人だ。順応が早くて助かります。

俺達は受付を済ましてギルドを後にした。幸いにもギルド内で絡まれることは無かった。まぁ、騎士鎧を纏った男がいて更に後ろではひたすらぶつぶつと呟きながら祈るおっさんがいたら関わらないか。



外に出る為、衛兵の人にもう一度ギルドカードを提示し驚かれる作業を終えた。

さて、教国の魔物はどんなものかな?



いざ出発。

とその前に、未だ祈るおっさんに声を掛けた。


「エルドさん、これから私達は薬草採取で外に出ます。ここでお別れです。」


「いえ、この私もお供させて下さいませ。決して足手まといにはなりません。」


うわーこの人やっぱり付いてくる気満々だよ。うし、断ろう。


「エルドさんは冒険者ではなく戦いに関しては素人でしょう。武器も無くては危険です。」


「私のような従僕になんと優しき配慮を…有難き幸せ。ですが、ご心配には及びません。聖女様の武器となれるよう布教しつつ日々鍛錬を重ねて参りました。それに私には得物もございます。」


「お、おう…。」


そう言い取り出した一つの大きな鎌。どこに仕舞ってたんだろう?

その大鎌は見る限り手入れも行き届いていて武器としてもかなりのもののようだ。持つ構えも馴染んでいる。


断る理由が無くなっていく。一番大きな理由を言うなら変態に付き纏われるのは嫌ってあるけど正面切って言うのは……ね。


盛大に息を吐いて諦めた。


「分かりました。でも、外は魔物が彷徨き危険です。危ないと思ったらすぐに後ろへ退避するなり逃げるなりして下さいね。」


「はっ、この身は全て女神様の物でございます。」


嫌だ、言葉が通じないよう。

爺ちゃんから教わった気にしたら負け精神でもう外に出る。




聖都を抜ければすぐ近くに森があった。受付嬢の話ではこの深い森を進むと大峡谷へと出るらしい。そして、その付近は手強い魔物がゴロゴロ居るらしい。だから、あまり深く森を進まないようにねと忠告も頂いた。


そんな話を聞いたらすぐさま向かいたいけど、夕方には帰らないといけない。お供が居る状態で大峡谷まで難しい、諦めよう。


その分、この森でいっぱい魔物ちゃん達と戯れちゃおう。


気分は高まっていきもうルンルン。護衛に微笑ましい視線を当てられるけどさあ行きましょう。


採取ついでにたくさんボッコボコにしちゃうんだからね。


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