聖都到着



他所様の国で信者を生んでしまった後悔を抱くも旅は続く。

といっても聖都はもう目の前。


あの町を出てからほんの数日。

残念なことにこの2、3日で起きた事は特にない。馬車を進めて暗くなったら飯食って寝る。

魔物は出ても数匹。その程度ならこの場にいる護衛達が簡単に処理してしまう。

本当に暇で退屈な旅路。


聖都に着いたら屋台巡りに励むとしよう。



そんな暇な旅の合間で今回の聖都で行なわれる集まりにどれくらい聖女が集まるのかスフィア様に確認してみた。

スゥ様は腐っても王族。俺より年下ながら俺より遥かに知己に長けている。それに聖女好きの姫様だから他の聖女も気になっているはずだ。


「スゥ様、今回の集まりに参加する聖女様って何人ぐらいいらっしゃるのですか?」


「そうですね、そもそも現在聖女の証を持つ方は何人いると思いますか?」


「えー……いっぱいですか?」


「ふふ、そうですいっぱいいますね。今まで我が国が異例でしたが、どうしてかは神のみぞ知るとされますが基本的には一国に一人は誕生されます。なので、この大陸には大国のみならず小国も含めれば18人と確認されてます。」


意外に少ない?

でも、回復出来る貴重な人材だと思えば多いのかな。


「なるほど私もその18人の一人ってことですね。」


「はいそうです。けれど、最年少でピチピチでお姉様は私にとって唯一無二の偉大なる御方です。」


「お、おう…。」


真顔な告白にたじろぐ。

と、とりあえず情報整理。

勇者がいる聖都に18人の聖女が集結すると。

賑やかだなぁ。

でも、そんだけ聖女がいるならこっそり聖都観光を楽しめるかも。

聖女の一人や二人見当たらなくても気にしないかも。


聖女になってから行動に制限がつくことが度々あった。せっかくの観光だ少しは羽目を外してやる。

面倒そうな交流会に参加するんだアルフの怒鳴りも少しは優しくしてくれるだろう。




そして、ようやくオーロラル教の総本山にして交流会の場である聖都に到着。


この国は国王ではなく教皇っていうオーロラル教で一番偉い人が統治している。けれど、ここからでもなんとか見える所にお城がある。


スゥ様の説明では、今の教皇ではなくもっと昔の教皇様がオーロラル教教皇に相応しい住まいをと建てたものだそうだ。

一応、神様の像や聖堂も設けられてて教会の役割もあるそうな。

ちゃんと機能しているのかなそれ。



けれど、そんな無駄に大きいお城が俺らが今晩から泊まる場所。小さい部屋とかだといいな。


聖都の検問を抜けて馬車はゆっくりと本日からの宿へと進んでいく。



あんなに小さく見えていたお城がどんどん大きくなっていく。

うへぇ…気疲れしないか心配だよ。


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