お茶会へのお誘い2



スゥ様からの手紙を貰いました。

俺のように書き殴ったような汚い字と違い、女の子らしい字体に気品が見え隠れしている。

これが淑女って奴だね。



手紙の内容は、今度お城でお菓子やお茶を飲みながらお話しましょうっていうお誘い。

要するにお茶会。

えーと、王族からのお誘いはなるべく参加しろだったっけ。

スゥ様だし構わないか。

珍獣みたいな貴族いないよね?


スゥ様と2人だけだと良いけど、そこら辺どうなんだろう‥。



困った時の高圧シスターこと貴族令嬢なアンジェリカさん。

そういえば使者の方はトーラスさんにも用事があると会いに行った。また戻って来てから俺の返事を聞くそうなので、それまでに聞いておこう。

逃げ足の速いアンジェリカさんにまた逃げられても困るので抱きついて捕獲。

真っ赤になって暴れる。

落ち着いてもらうため両手を握りなだめる。まだ暴れるなんでだ?

手を離したら次第に落ち着いてくれた。


やっぱり嫌われているかもしれない‥。


「ふ、ふん、私に何の用ですの?」


「少しお聞きしたい事がございまして‥。アンジェリカさんはお茶会って参加されたことはございますか?」


「お茶会?もちろんですわ。助祭を務めておりますが貴族の娘。月に何度かお誘いを頂き参加しておりますわ。もちろん、私が催す事もございます。」


「なるほど。お茶会は招待してくださった方と2人っきりですか?」


「うーん、2人っきりは殆どございませんわ。お茶会とは交流を図る場が主なことです。顔を覚えて頂いたり、縁を作ったりと多岐に渡りますわ。」


2人っきりでお茶会の可能性はグッと下がったなぁ。

貴族令嬢達の交流場。

絶対、俺は場違いだよ。


「聖女様はどうしてお茶会についてお聞きになりましたの?」


うんうん唸る俺を不思議に思い、逆に質問をしてくる。


「実はそのお茶会のお誘いを貰いまして‥。手紙をくださった方とは面識もあり仲も良いのですが、2人でお話するだけなのか分からなかったのでアンジェリカさんを頼らせて頂きました。」


「ふ、ふん、別にそんな事言ったって嬉しくないのですからね。」


ツンとまた頬を赤くして視線を逸らされる。嫌われてる可能性にまた一歩進んだ。

ぐす‥気にしない気にしない。


「このお茶会どう思いますか?」


「え、そ、そうですわね、おそらく2人っきりではなく一般的なお茶会のお誘いでしょう。聖女様なので他の貴族の方々に顔を覚えさせる為でしょうから。」


やっぱり面倒くさい方か。


「でも私なんかが参加してもよろしいのでしょうか?礼儀とか作法とかよく分からないのですが‥。」


「問題ないと思いますわ。その‥失礼ですが、聖女様が平民出身なのは周知されております。ですから、突っかかって来る人はいないと思います。」


「そうですか‥。」


そうかなぁ。この前、あの珍獣と出会ったから似たようなの居そうな気がするよ。

でも、いずれ貴族とはもっと絡む場面増えるだろうし、早いか遅いかの違いだよね。


スゥ様もいるし、これはちょびっと頑張ってみますか。



相談に乗ってくれたアンジェリカさんにお礼を告げる。

やっぱり顔を真っ赤にして逃げられる。

大丈夫大丈夫、嫌われてない照れ臭くなっただけ。そうだよね?


少し聖堂で膝を抱えて落ち込んだよ。




ちょっと傷心気味の俺の下に使者さんが戻ってきた。

トーラスさんとのお話は終わったみたいだね。


「聖女様、お返事をお聞かせ願いますか?」


「はい、スゥ様からのお誘い参加させて頂きます。ただ礼儀などなってないですから怒らないで下さいねとお伝えしてもらえますか?」


「はは、聖女様は居てくれるだけ‥はっ何でもありません。はい、ちゃんとお伝え致します!」


しどろもどろで何を言いかけたか分かんないけど、これで少しは文句を言われないで済むといいな。



お茶会は4日後。

ついに普段のローブ姿ではなくドレス着用が決行される。


俺の不格好なドレス姿で笑われないか心配が募っていく。

相変わらずのロコルお姉ちゃんの可愛いです大丈夫ですを信用していいかは悩みどころだ。



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