ミーナ日記
今日はいつものお仕事はお休み。
あたしはこの王都にある宿屋にある食堂で給仕として雇ってもらっている。
優しいおじさんとおばさんの経営で楽しく働かせてもらってます。
お父さんの足の怪我が治ってお世話をする必要が無くなったから、お陰でお兄ちゃんと同じように生活のために働けちゃう。
お父さんもちゃんと歩けるようになって働き始めたから、まだ先の話だけど路地裏の住人から抜けられるかもしれない。
これも全てあの日出会えた女神様のおかげ。
屋台で美味しそうに食事をするアリスお姉様に出会えなければ、ミーナはこんな楽しい日々を迎えることは出来なかったです。
あたしは、アリスお姉様への感謝を忘れない為、エルドおじさんと共にアリス教を広めることにしました。
毎朝毎晩アリスお姉様を想い祈りを捧げたり、王都に住む人たちにいかにお姉様が尊く崇高で、崇拝すべき存在かをお教えしている。
お姉様の女神っぷりはすでに多くの人達に知れ渡っています。
その甲斐もあってかアリス教に入信する人が後を絶たない。
エルドおじさんが王都外でも素晴らしさを説いているからこれからもっと増えるはず。
お姉様、ミーナ頑張ります。
そんなある日、王都を散歩するあたしの目の前にアリスお姉様が。後光が射して眩しいです。
あたしはお姉様が気付くよりも我先にと駆け寄り、思いっきりお腹に抱きつく。
女神様で聖女様なお姉様、本来なら触れることすらおこがましい尊き御方。でも、どこまでも広くもしかしたらこの世界のどこよりも広い寛容な心をお持ちで、あたしの抱擁を許してくれます。
だから、抱きついても陽だまりに咲く花のような輝きを放つ笑顔を浮かべ、あたしの頭を優しく撫でてくださる。
ついついいつまでも抱きついていたい。離れ難い御方です。
すーはーすーはー
お姉様は相変わらず良い香りがして素敵ですぅ。
あ、剥がされてしまいました。ちぇっ残念。
今日、お姉様はお買い物。今度王城でお茶会というものがあるらしくて、お土産を買うそうです。
お茶会が何かよく分からないけど、お姉様とお茶を飲むなんて羨ましいです。
ちょっと頬を膨らますあたしに、お姉様が一緒に買い物する?って提案してきました。
はい、喜んで。
あたしは即返事でご一緒する事になりました。
今日という日に感謝を!
お姉様と他愛もない話をしながらついて行く。
こんなに幸せでいいのでしょうか。
こうして、着いたお店は家事道具から小物、装飾品などが売られている。
お姉様は確か王城へのお土産って言ってたと思うけど、このお店で良いのかな?
店自体は大衆向けでお値段も手頃な良店。
でも、貴族相手の手土産としては不十分に感じる。
路地裏の住人なあたしがふと思った疑問。
伝えた方がいいのかな、けどお付きのロコルさんは特に何も言っていない。
大丈夫ってこと?
ううん、アリスお姉様ですもの、何があったってどうにでもするはずです。
あたしが心配する必要も無いですね。
結局、お姉様は綺麗な青水晶のネックレスを買いました。
スゥ様っていう王女様へのプレゼントらしい。
だ、大丈夫ですよね?
これでお買い物は終了。
お買い物の後は、夕暮れがやって来るまで、屋台巡りをしました。
お姉様の肉を頬張る姿はいつまでも見ていられます。
その頬についたお肉の欠片舐めとりたいですね。
薄暗くなり始めた景色が楽しいひとときに終わりを告げる。
また少しのお別れ寂しいです。
俯くあたしの頭をいつもと変わらない優しさで撫でてくれる。
そして、首に何かかけられた。
ネックレスでした。
「ミーナちゃんの瞳と同じ翡翠色の水晶だよ。
似合うと思って買っちゃった。今日買い物を付き合ってくれたお礼だよ。」
「お、お姉様ぁ‥‥」
やだ、惚れちゃう。
あたしは顔を紅潮させてトロンとした目で見つめてしまう。
お姉様はそのままバイバイまたねと言って教会に帰っていく。
その背中が消える最後まで見続けました。
興奮収まらぬあたしが次の朝までニヤニヤとネックレスを見続けていたのは言うまでもないことでしょう。
今日も元気にお姉様の素晴らしさを説いていきます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます