反省終了さあ散策
最初の王都散策からおよそ5日ほど経過した。
その間、ずっと身体強化に励んでいた。少し間を空けるだけでも、体とは鈍っていくものだ。
だから、ここ最近は朝何故かトーラスさんと一緒にお祈り→夕方まで庭で特訓の繰り返し。
何か手伝えることがあれば良いけど、トーラスさんが優秀すぎて人手はしっかりと足りているようだ。
あの今日も来ていない豚司教の件が無ければもっと表立ってやれることが増えるのになぁ。
まあいいや、今日は王都散策を再開だ。特訓続きだったし息抜きは必要。
早速いつも通りあわあわしているロコルさんを捕まえる。
そして、トーラスさんに行ってきますの挨拶を済ます。
さあ、今日はどこの屋台を攻めるかな。
そして、屋台の連立する道に到着。
おいおい、あれはなんだ?
この前来た時無かったぞ。パンに揚げた肉塊を挟んでやがる。ちょっと待て!赤い液体もかけてたぞ。
なんだよなんだよ、めちゃめちゃ美味しそうじゃないかい。
目の前のお客がその至宝に思いっきりかぶりつく。
止まらない、涎が自制なく溢れ出る。
俺はロコルお姉ちゃんの手を強く握り、足を踏み出す。あの奇跡の産物に向けて。
ロコルお姉ちゃんもあれを見て興奮しているのだろう。顔が赤くなっている。
分かるよ、お姉ちゃん。
あれは絶対美味しい。
「おじちゃん、2つくーだーさい!」
「あいよ、嬢ちゃん!銅貨60枚ね。」
あぁ、俺の手の中に奇跡が‥。
ロコルお姉ちゃんに1つ渡して、いざ実食。
ふわぁ、肉汁が止まんないよぉ‥
なんなのこの赤い奴、憎たらしいほどにかぶりつく衝動を止めさせてくれない。
ロコルお姉ちゃんも美味しかったのか俺を見ながら恍惚とした表情をしている。
うんうん、美味しいね。
その後も何軒もの屋台を巡りまくりました。
常に毎日新しい発見がある。
王都の屋台恐るべし。
ぽんぽこお腹を叩きながらうろうろと歩く。
今回は大広場ではない。ただ目的もなく歩いている。ちなみに手には果物を凍らせてそこに蜂蜜をかけたデザート。シャリシャリとした食感がたまらない。
食べながら何か無いかなーとキョロキョロしていると視線を感じた。
視線の感じた方向を見る。建物と建物の間にある薄暗い路地から俺を見ている。
俺より2、3歳下の子供が2人。
じっと羨ましそうに見ている。
「あの子達、食べたいのかな?」
「アリスさ‥ちゃん、あの子達はいわゆる路地裏の住人と呼ばれています。身寄りのない者や怪我や病気で行き場を失った者達が路地裏を溜まり場にしているのです。」
怪我や病気かぁ‥だったら、治せばいい。
「アリスちゃん、あの者達の中には気性の荒い者もいます。危険ですのでやめた方がよろしいかと。」
俺の意気込む表情を読み取ったのかすぐに止めに入ってくる。
「ロコルお姉ちゃん、私は大丈夫です。路地裏の住人だろうが気性の荒い人だろうと私にとって全て平等に治してあげなきゃいけない患者です。とても大切な患者ですよ。」
「あ、アリスさま‥」
やっぱりまた様付けしちゃう。
久しぶりの散策だから仕方ないけどさ。
うるうるとしばらく俺を見つめ続けていたロコルお姉ちゃんがちゃんとした表情になる。
「分かりました。では、私はアリス様に降りかかる危険を全て振り払ってみせます。」
キリッとした決意の目で俺の手を強く握る。
おそらく例え危険が迫っても俺1人でなんとかなると思うけど、それでも心配してくれる人がいるのは心強い。
「ありがとう、ロコルお姉ちゃん。では行きましょう。」
「は、はい!」
それでは、そこにいる子供達に声を掛けましょうかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます