気弱ちゃんがお仲間さん
今日は王都散策!
教会内は現在面倒くさいことになってるけど全然関係ない。ある意味貴族連中と関わらなければ自由にしていいって事だもんね。
トーラスさんがお供をつけてくれるって言ってたし早速伺ってみよう。
だけど居場所が分からないので教会内をウロウロ。
そこのシスターに聞いてみよう。
「すいません、すこしお聞きしたいことがあるんですが‥」
「あら、なにかしら?」
声に反応して向いてくれる。
でも、俺を確認したらすぐに鼻をフンッとさせて高圧的に見下げてくる。
まあ俺の背が低いのもあるけど‥
「まぁ噂の聖女様ではありませんか?随分と慎ましい御姿ですこと、おほほほ」
高笑いしながら胸の前に両腕を組み、分かりやすく凹凸を強調してくる。
そこはかとなく漂う豚司教臭。
俺の成長はこれからです。
「そうですね。無駄なものが無いので軽くて動きやすいですよ。ふふふ」
ちらりとお腹を凝視してさしあげる。
視線に気づいて少し青筋を立てている。
「ふん、平民の分際で‥。あまり聖女だからと言って調子に乗らない方がよろしくてよ。」
「お気遣い頂きありがとうございます。ですが、私は調子に乗る気はございません。私は私の信じる道をただ歩み続けるだけですよ。」
青筋立てて睨むシスターを笑顔で見据える。特訓で身に付いた威圧を少し滲ませながら。
その程度で俺がビビるとでも?
魔物の方が何倍も怖いよ。
威圧が効いたのか徐々に汗が流れ始めてる。
「ふん、ず随分と傲慢なお考えだこと。失礼させて頂きますわ。」
捨て台詞を吐いてつかつかと去っていく。
あ、トーラスさんの居場所聞きたかったのに‥。
そこで近くでオロオロと陰から様子を見ていたシスターに声をかける。
さっきの人とは正反対のビクビクと癖っ毛のある茶髪を震わせて怯えたような様子。
「あ、あのー」
「は、はい聖女様!な、なんでしょうか?」
さっきの威圧はこの子には当ててない。
でも、この怯えよう。
あのシスターを怖がっているのかもしれない。高圧的な態度は人によっては恐怖の対象だもん。
「大丈夫ですよ。あのシスターはいないので落ち着いてください。」
「い、いえすみません。わ、私途中から2人の様子を見てて、でも、こ怖くて間に入れなくて‥。申し訳ございません。」
「いえいえ謝る必要はありませんよ。私は気にしてませんし。これでも私けっこう強いんですよ。」
えへんと自分の腕をポンポン叩いてみせる。
お、少し笑ってくれた。
「あの、ところでお聞きしたいんですが、トーラス司祭は今どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
「は、はい。私も呼ばれていたので丁度向かうところでした。」
「まぁ、ではご一緒してもよろしいでしょうか?」
まだ視線がキョロキョロと挙動が変なので、優しく笑顔でお願いする。
「は、はい!聖女様とご一緒出来て光栄です!ぜ、ぜひご案内させて頂きます!」
おおう、まくし立てるように返事が返ってくる。
「申し訳ございませんが、よろしくお願いします!」
トーラスさんの所までぴこぴこと癖っ毛を揺らすシスターとご一緒する。
移動の間でこのシスターの名前が聞けた。
ロコルという名前。
俺と同じ平民組でよくあの高圧シスターにちょっかいをかけられていたらしい。
本当に豚司教という毒がシスターにまで蔓延しているんだね。
そうこうしているうちに到着。
俺の部屋の3つ左の部屋でした。
ロコルさんがドアをノックし、返事に合わせて開ける。
「やあ、ロコルよく来たね。聖女様も一緒にいらしたんですね。おはようございます。昨晩はよくお眠りになられましたか?」
トーラスさんは一緒に入ってきた俺に気づき挨拶してくる。
「はい、手入れの行き届いたベッドで大変心地よく眠れました。」
「それは良かったです。ちょうどロコルと一緒にいらっしゃったのでお伝えいたします。ロコル。」
「は、はい」
声をかけられたロコルさんは一瞬ビクッとする。
「お前を聖女様のお供に任命する。聖女様が王都内を散策される際は一緒に同行するように。」
「えっ!?私ですか‥。わ、私なんかじゃ聖女様を不快にさせてしまいます。」
俺、避けられてる訳じゃないよね?
ちょっと不安が過ったけど、ここは思い切るか。
急な任命にビクビクするロコルさんの両手を握る。
「ふぉっ!?」
「ロコルさん、私は決して不快になどなりませんよ。だって、私はロコルさんがいいんですもの!」
「せ、聖女さまぁ‥」
ロコルさんの少し驚きに見開く目から、少しずつ涙が準備運動し始めている。
準備完了からの決壊。
ちょっ!どうしよう!なんか変なことを言ったかな
困惑する俺に助け舟。
「ロコル、聖女様が困ってらっしゃる。少し落ち着きなさい。」
「ふぐ‥はい、いきなり泣いてずみません。ありがとうごじゃいます。精一杯頑張りまず!」
良かった、泣いてるけど笑ってる。
こうして俺に少し泣き虫な女の子がお供になりました!
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